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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(94)

2013-02-06 10:33:54 | 日記・エッセイ・コラム

情報統計研究所へのアクセスはここから.

PPVとNPV について。

PPV(Positive Predective Value)とNPV(Negative Predictive Value)については、前回(93)でその計算方法をMS-Excel 関数で示しました。
下記の URLからMS-Excel file をDownLoad ( ROC_index_2.xls ) して確認する事が出来ます。
http://sky.geocities.jp/dqcdr872/dbase/MedicalStat.html

ご存じの様に、
PPV 及び NPV は事前確率 ( Pretest Probability:検査前での病気の確率 ) によって変わりますので、上記の MS-Excel を開き Sheet名「F分布による方法」でご確認下さい(自己責任でご使用の事)。
ここで、
事前確率は検査前の病態ですので有病率 ( Prevalence ) と同じですが、適中度( Predictive Value ) は事後確率、すなわち、検査後に病気ある ( なし ) の確率です。
それでは、
有病率で PPV と NPV がどの様に変わるかを見てみたいと思います。
例えば、
分り易く切りの良い下記の分割表を見てみましょう。

表1 50%有病率のとき(確かではないが臨床症状と一致する場合)。
..................disease-.....disease+
Test-.......... 400...............100
Test+..........100...............400

Prevalence=0.5
Spe=0.8 ( 0.7622 to 0.8342 )、Spe=0.8
PPV=0.8 ( 0.7695 to 0.8274 )、NPV=0.8

ここで、
総数を変えずに一般的な有病率を10%にすると表2の様な分割表になります。

表2 10%有病率のとき(臨床的に可能性がある場合)。
.................disease-.....disease+
Test-.......... 720...............20
Test+..........180...............80

Prevalence=0.1
PPV=0.3077 ( 0.2706 to 0.3475 )、NPV=0.973 ( 0.9678 to 0.9773 )

表3 1%有病率のとき(ハッキリした徴候がない場合)。
.................. disease-.... disease+
Test-........... 792...............2
Test+...........198...............8

PPV=0.0388 ( 0.0326 to 0.0462 )、NPV=0.9975 ( 0.997 to 0.9979 )

この様に、
PPV と NPV は事前確率(至適基準としての有病率)によって変わりますので、その値と 95% 信頼限界の計算には事前確率が必要になります。
上記の URL ( 例題は異なる ) には至適基準 ( 有病率 ) での計算方法を MS-Excel 関数 ( F分布による方法 )で示していまのでご確認下さい。

前回(93) と今回(94) を掲載するに当たり、各 index の 95% 信頼限界の求め方を調べて見ました。
Web online soft の利用は便利ですが、どの様な計算式を用いているのか分りません。
大まかに、正規近似式が多いように思えました(違うかも知れません)。
今回の投稿では、下記の成書と Web ページを参考にさせて頂きました。

参考図書
・ 医学・薬学・生命科学を学ぶ人のための統計学入門、杉本典夫、プレアデス出版、2008年.
・ 医学論文を読む、森田茂穂 訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル、1992年.
 
参考ホームページ
http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat09/stat0902.html