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テキストマイニングにおける共起ネットワーク
医学と統計(63)から、テキストマイニング分析ソフトの使用経験を
書いてきましたが、今回の共起ネットワークで使用経験を終えたいと思います。
「KH Coder」は優れたソフトであり、そのほんの一部のご紹介でした。
今回の共起ネットワークは素直に「KH Coder」のお力を借りた方が良さそうです。
KH Coder の、
「メニュー」→「抽出語」→「共起ネットワーク」
を選択すれば、図1 の様な共起ネットワークが得られます。
図1 共起ネットワーク
出現頻度の高い順に色分け(濃いピンク色、薄いピンク色、空色、白色)されており、太い線は関連性が強いものです。要するに、
共起とは類似性を線で結んだもので、前回までの「対応分析」、「クラスター分析」、「多次元尺度構成法」などと良く似ていますが、線で結ぶ事により類似性が良く分かると思います。
例えば、
「患者は疾患への理解」、「患者は前医の診断や治療に不満や疑問があり来院」、「ステロイドの使用や副作用、使用による症状の悪化」などが医師アンケートから読み取れると思います。
前回までは統計解析環境「R」を使いましたが、今回は共起ネットワークの理解に役立つかもしれない次のサンプル(病院組織構造)を遊び心で使ってみて下さい。
<< ここから下を clipboard cope して下さい >>
診療 技術
技術 リハビリ
リハビリ 管理
管理 看護
看護 診療
診療 医師
技術 薬剤師
薬剤師 検査技師
検査技師 放射線技師
放射線技師 臨床工学士
臨床工学士 薬剤師
リハビリ 理学作業療法士
管理 医事(会計)
医事(会計) 給食
給食 施設
施設 医事(会計)
看護 看護師
看護師 看護助手
看護助手 介護士
介護士 看護師
<< 診療~看護師まで clipboard copy して下さい >>
そして、「KH Coder」の「R.bat」を使用して、以下の「R」プログラムを実行してみて下さい。
-------------------------------------------------------
dat<- read.table("clipboard", header=F)
library(igraph)
g <- graph.data.frame(dat, directed=FALSE)
# グラフ描画
tkplot(g, layout=layout.kamada.kawai, vertex.label=V(g)$name)
-------------------------------------------------------
やり方は、
前回までと同じですが、慣れてない人は「R Console」の画面に、次のコマンドをそのままコピー&ペーストしておき、
dat<- read.table("clipboard", header=F)
それから、
上記の「最上段の診療~最下段の看護師」までのすべてをコピーし、上記のコマンドを実行(Enter)すれば良いでしょう(図2)。
医療現場は医師を頂点とするヒエラルギーからコメディカルの組織になって来ました。
正直言って、若い医師はベテランの看護師や技師からも多くを学びベテラン医師になります。
専業化すると医師と看護師・技師との疎通(コミュニケーション)が難しくなるようです。
筆者は新年早々、paget's disease の OP を受けましたが、確定診断には病理生検(数百枚?の病理標本)に関わった病理技師、病理医の存在を忘れていません(感謝!)。
それにしても、
病院組織の共起ネットワークを見ると、全スタッフが国家資格者ですね。
こんな組織は船舶(船長、航海士、機関士、通信士など)と同じで、人命をあずかる航海技術は医療も同じってことでしょう。