統計ブログはじめました!

各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

医学と統計(お知らせ)

2014-01-13 16:29:27 | インポート

情報統計研究所へのアクセスはここから.


寒中お見舞い申し上げます。
本年は茶会形式の気さくな集いを企画しています。高松市近辺の方で少しでも統計に興味のある方は、どうぞ気軽にご参加下さいませ。例えば、MS-Excel で表計算はしているけれど統計分析の実際を経験して見たいなど、また、統計的な分析力を経験して一味も二味も違った企画を提案したい、就活に役立てたいなど、お茶を飲みながら語り合い経験して見ませんか。

Photo





医学と統計(45)

2010-05-18 11:35:04 | インポート

情報統計研究所へのアクセスはここから。

多重共線性(2)について。
多重共線性の検討は「SPSS」(統計解析専用ソフト)の「回帰」の選択から「線形」を選び、ダイアロボックスの「統計」をクリックし、「共線性の診断」を選択すれば良いのです。なお、
共線性の統計量は、
変数(Ⅹ1)を従属変数とし変数(Ⅹ2+Ⅹ3+Ⅹ4)を独立変数としたときの「R^2」から、
 Ⅹ1の許容量=1-R^2、VIF=1/許容量 

となります。同じように、
変数(Ⅹ2)を従属変数とし変数(Ⅹ1+Ⅹ3+Ⅹ4)を独立変数としてⅩ2の許容量と VIF を求めます。

表3 共線性の統計量
Viftable

共線性があれば許容量は0 に近く、VIF は大きくなり、通常 VIF >= 5 で要注意と言われていますが、表3 の統計量はいずれも VIF<5 です。だからと言って多重共線性を否定することは出来ません。ここは、
前回の表2の相関関係からどちらか一方の変数を選ぶ必要がありそうですので、主成分分析で統合できる変数かどうかを見てみましょう。

図2 主成分散布図

Pcascatter

図3 主成分負荷量
Pcaloading

図2と図3の主成分散布図と第1主成分負荷量から負荷量の大きな変数は統合しても良さそうです。わざわざ、主成分分析をしなくても医学的な知識から変数間の関連性に気づけば、相関性の高い変数は取り除いておけば良いのです。しかし、
ここでは、
多重共線性の例題を示していますので、その様なことは当然としながら話を進めたいと思います。医学統計では重回帰モデルの推定よりも有意変数(因子)の特定に重きを置くことが多いようです。もちろん、モデル式の善し悪しは大切です。しかし、
統計の目的が有意変数を知ることであれば、多重共線性があってもなくても変数選択(stepwise)へと進めば良いのでしょうか?ここでは、表4に例題の stepwise の結果を示しました。

表4 例題における変数選択の結果
Stepwise

変数選択の結果、統計学的に有意な変数は、「Ⅹ4」だけでした。変数選択によって多重共線性のある変数は除去されています。
重回帰型分析で理屈に合わない結果のときは多重共線性を疑って下さい。


 


医学と統計(43)

2010-04-19 11:25:27 | インポート

情報統計研究所へのアクセスはここから。

AHP(Analytic Hierarchy Process、階層分析法)について(続き)。
前回のAHPでは救命救急処置の評価基準の重要度を知ることが出来ました。重要度の指数は、
 A=0.649、B=0.279、C=0.072

であり、アンケートでは、
 ”誰でも使用できること”>”有資格者の限る”>安全で誤作動しないこと”

の順で重要だと読み取れます。AHPでは、次に、”代替案”について一対比較を適用します。
”代替案”の一対比較は次の様であったとします。

表2 代替案の一対比較の評価
Daitaiahp

表2では、救命救急処置として「a=人工呼吸、b=心マーサージ、c=AED」の一対比較を示しています。前回(表1)ごとの3つの評価基準に関する各代替案のCI はいずれも CI<0.1 であり有効と言えますので、救命救急で重要な処置は”人工呼吸”と”心マッサージ”の様です。総合評価は図2の行列式で求められます。

図2 総合評価を求める計算
Matrixahp

ここで、図2の行列計算はMSエクセルの関数(MMULT)で簡単に求めることが出来ます。
救命救急処置での総合評価(重要度)は、図2の通りであり、
 人工呼吸(a)=0.652、心マッサージ(b)=0.259、AED(c)=0.089

となりました。これは、図3の様にスコアーとして表すことが出来ます。

図3 総合評価のスコアー
Blogahp

以上、AHPについて簡単な例題をもとに基本的な考え方を説明しましたが、詳しくは、成書にて学習されることを願っています。   


医学と統計(42)

2010-04-12 10:35:19 | インポート

情報統計研究所へのアクセスはここから。

AHP(Analytic Hierarchy Process、階層分析法)について。
前回、前々回と同じアンケート・データを用いてAHPについて考えてみたいと思います。
AHPはサーストンやシェッフェの一対比較に「代替案」を取り入れたものと考えることが出来ます。アンケートでのAEDに対する質問は、

 A:誰でも使用出来るのが良い。 
 B:医師や救命救急士(有資格者)に限るべきだ。 
 C:間違っても安全であること(誤操作で作動しない)。

でした。そして、そのプライオリティは表1の様にまとめる事が出来たとします。

表1 一対比較の評価
Ahptable1

すなわち、
誰でも使用できること(A)は、
 有資格者に限る(B)より”やや重要”で、AEDは誤動作しないとの前提なら、
 安全である(C)よりも、誰でも使用できることが”非常に重要”であるとなります。
AEDの使用は有資格者が行うべきだ(B)は、
 安全で誤動作しない(C)と云っても、やはり、有資格者に限った使用の方が”かなり重要”であるとなります。
AEDの安全性(C)は、
 厳格なME機器の審査で安全性が保障されているのなら、誰れも使用出来ることが”非常に重要”と判断されます。

この結果は、AEDに関して相対的な尺度で判断したもので、ここでの、一対比較は、
 1=同じくらい、3=やや重要、5=かなり重要、7=非常に重要、9=きわめて重要

であり、その逆は、
 1/3、1/5、1/7、1/9 で表します。また、2、4、6、8、は中間のときに使います。

ここで、
表1の重要度の指数は、
 A=0.649、B=0.279、C=0.072 で 表1の整合性 (CI:Consistency Index ) は CI=0.032 であり、CI<0.1 ですので有効とみなします。
表1の一対比較から、救命救急におけるアンケートからAEDの使用は「誰でも使用出来る」ことが重要と判断されますが、AHPでは図1の様な階層構造から、最上段の”救命救急処置”でのプライオリティを考える事になります。

図1 階層構造

 

Ahpgraph

AHPでは、図1の様な階層構造を考えて目的である”救命救急処置”に求められる”評価基準”の重要さを判断し、次に、”評価基準”から見て重要な”代替案”を決め、最終目的である”救命救急処置”に重要なものは何かをアンケートから導きます。

次回に続く!


医学と統計(41)

2010-04-01 12:13:31 | インポート

情報統計研究所へのアクセスはここから。

シェッフェの一対比較(Scheffe's Paired Comparison)について。
前回と同じ、医療従事者の救命救急講習会でのAED使用に関するアンケート調査をしたとします。

 A:誰でも使用出来るのが良い。 
 B:医師や救命救急士に限るべきだ。 
 C:間違っても安全であること。

シェッフェの一対比較ではアンケートを次の表1の様にまとめます。

表1:重要性の要素で集計したアンケート結果

        重要 やや重要 普通 やや重要      重要
[A]    5           10           18           5             2      [B]
[A]    3           7              23          3             4     [C]
[B]    6           6              14          5             9      [C]

表1は、
AとBでの重要性は、
 ・「Aの方が重要が5人、やや重要が10人」
 ・「Bの方が重要が2人、やや重要が5人 」
 ・「普通(どちらとも言えない)が18人       」
AとCでの重要性は、
 ・「Aの方が重要が3人、やや重要が7人」          
 ・「Cの方が重要が4人、やや重要が3人」
 ・「普通(どちらとも言えない)が23人      」
BとCでの重要性は、
 ・「Bの方が重要が6人、やや重要が6人」          
 ・「Cの方が重要が9人、やや重要が5人」
 ・「普通(どちらとも言えない)が14人      」

であることを表しています。そして、重要性の重み付けを次により与えました。
重要度の重み付け係数

重要       やや重要  普通  やや重要   重要
    4            2           0           -2         -4

AED 使用の重要性の認識に差があるかを見るのがシェッフェの一対比較です。
分析結果は図1の様に一次元上の Score の散布によって表すことが出来ます。

図1:Scheffe's Score 散布図
Blogscheffe

 

この様に、複数の対象を一対にして比較するのが一対比較法で、その集計結果から複数の対象の順位づけをおこなうことが出来ます。
看護研究や看護の現場で役立つ方法だと思います。