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 オープン戦(10日、楽天8-6西武、明石トーカロ)被災地とともに、前へ-。2011年3月11日の東日本大震災による津波で大きな被害を受けた東京電力福島第1原発に近い福島・浪江町出身の2年目、楽天・横山貴明投手(23)が10日、西武とのオープン戦(明石)で6回2失点と好投し、開幕ローテーション入りへ前進した。また、嶋基宏捕手(30)=日本プロ野球選手会会長=はサンケイスポーツに手記を寄せ、被災地への思いとチーム再浮上の決意を示した。楽天は11日、兵庫・姫路市で西武と練習試合を行う。

 2011年3月11日午後2時46分-。楽天はこの明石で、ロッテと試合中だった。震災の一報を受け、八回途中コールドで試合終了となった。4年後の3月10日、被災地出身の横山が、新たなページをめくった。

 「調子があまりよくない中で、ある程度の結果を残せたのは、自信になります」。気温5度、小雪がちらつき、風速12メートルの強風が吹き付けても、集中を保った。一回、先頭の秋山に四球を与え、続く栗山に左中間へ先制二塁打を浴びた。それでも立ち直り、奪ったアウト18個のうち、12個がゴロ。先発ローテーション入りを、自らの右腕でたぐり寄せた。

 「去年、1軍で何度か先発させてもらって、そのたびに離ればなれになった浪江町の人たちが集まってくれた」

 どうしても先発にしがみつきたい。故郷・浪江町は福島第1原発から10キロ圏内。津波と原発事故のため、町民は離ればなれになった。横山の登板日、町民が誘い合ってコボスタ宮城へ応援に駆けつけ、投球に勇気づけられながら、未来を語り合っていたという。

 「4年がたっても地元では、時が止まったまま。被災地代表のプロ野球選手として活躍して、現状を発信したい」

 中学時代に所属した「相双中央シニア」の監督だった渡辺潤也さん(享年36)は津波の被害で他界。黒いグラブには「3・11Junya」と刺繍(ししゅう)している。祈りを胸に、2年目右腕は復興の星になる。 (山田結軌)

横山 貴明(よこやま・たかあき)

 1991(平成3)年4月10日生まれ、23歳。福島県出身。聖光学院高から早大を経て2014年ドラフト6位で楽天入団。昨年8月30日のソフトバンク戦(コボスタ宮城)で中継ぎ登板し、史上初の1球でプロ初勝利をマークした。1メートル80、79キロ。右投げ右打ち。独身。年俸810万円。背番号54。

 

フレーフレー横山