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私案日本を取り戻す② 新産業は暇人から

2023-06-06 12:43:38 | 日記

私案日本を取り戻す② 新産業は暇人から

 勤労に価値ありは、西洋ではアダムスミスが言ったのか誰が言ったのか知らないが多分近々数百年のことだろう。わが国では石田梅岩が言い出してはじめは誰も聞いてくれなかったとの話があるがこれも近々数百年のことである。はじめは忙しく働くと利益が働きに正比例したので面白くてたまらないがだんだん働きと利益が正比例しなくなるようになって面白くないなーとなってきた。さらに工業製品の豊作貧乏(軽くて不景気重くて恐慌)が起こると働けば働くほど損が出ることまで起こった。

勤勉な人が立派なのは作ると儲かるときに限る。作っても損が出る状況下では勤勉な人は立派とは言えない。しかし、勤勉な人の誇りを傷つけないようにと財政出動して公共事業を準備する。何も近代国家に限ったことではなく古くエジプトのピラミッドやイースター島のモアイ像でさえ勤勉な人のための公共事業であったとの説がある。公共事業をやりすぎるとその共同体が弱ってくること今も昔も変わらない。しからば、勤勉な人は却ってその所属する共同体を弱くする可能性まである。よかれと思ってしたことが悪い結果をひきおこすことがあるのはよくあるが、これはその最たるものである。

そこでアダムスミスにもわが石田梅岩にもしばらくお蔵入りを願って全く新しい原理を考えねばならない。それには暇な人を大量に準備する必要がある。そして衣食住は提供するが何も作ってはならぬと命じるのである。暇な人はあまりの退屈に耐えかねて新しい原理を考え付くのである。むかし中国の後宮ではヒマに耐えかねて麻雀を発明したという。これはなかなか面白いが世界を動かすほどの産業にはならなかった。しかしペルシャの後宮では千夜一夜物語を発明した。これは単純な娯楽ではない。空飛ぶ魔法のじゅうたんも召使が出てくる魔法のランプも、ヒコーキやスマホの登場を促したのである。世界を揺り動かすほどの産業になったのである。

ペルシャの後宮かインドであったのかは知らないが、将棋もここで発明されて世界中に伝わったらしい。ネット上に新しいゲームが導入されようとしているが、新しい発想のゲームを作るには新しい後宮を建設するに如くはない。別にゲームに限らない、新しい発想が生まれるだけでいい。ただし、後宮に入ることはかなり心理的には苦しいであろう。麻雀も千夜一夜物語も苦しみながら作られたものである可能性が高い気がする。案外退屈というのは苦しいものであるような気がする。それが生みの苦しみであろう。

日本を取り戻すためには、この退屈に耐えて新しい発想を作り出せるかどうかにかかっている。

 



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