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東日本のヒトのための奈良市観光案内⑪ 新薬師寺

2024-08-19 10:28:07 | 日記

東日本のヒトのための奈良市観光案内⑪ 新薬師寺

 奈良まちを南に行って大きな通りを東(山の方)に向かうと高畑という場所に行き当たる。距離はそんなにない。ここに新薬師寺があって、十二神将の像がある。本尊は多分薬師如来だと思うが何度行ってもなかなか覚えられない。いけないことだとは思っているが、どうしても守護する大将の方に目が行ってしまう。(選挙演説を聞きに行って男前のSPばっかりに目が行って、演説何言ってたか覚えがないようなものである。)よくこれだけの存在感ある像が刻めるものだと感心する。婆裟羅大将の像がとくに有名なのは、写真によって広く世間に流布したからで他はたいしたことないというようなことは絶対ない。戦前、この表情を参考にしようと歌舞伎役者がわざわざ勉強のために見に来たという話が残っている。

この羅の付く大将は、名前の終わりが羅で終わらずに大将で終わっているので仏様ではなく生身の人間の像であると考えられる。羅や天で終わると仏様の中では格下だけど一応仏様の中に入ってるという話である。梵天とか帝釈天とかより格下であるはずだが、梵天帝釈天よりずーと強そうで頼りがいがある。その鎧兜からインドから来たとばかり思っていたが鎧がズボンになっているのはモンゴルから来た大将であるらしい。インドの大将はスカートみたいになっているという話である。暑いからズボンのようだと蒸れるんだろう。モンゴルから遠いところまでご苦労なことである。ただ、実物が本当に奈良まで来たのだろうか。僧侶や商人外交使節が来るのは良いけど、軍人がこんなに大挙して来るのだろうか。

古代にもいいデザインの鎧兜を作る技術があったものである。日本の中世末くらいの鎧兜をあちこちで見るけど、十二神将の方がはるかに現代的な感じがする。表情姿勢なども現代風で、我々は、中世近世と一体何をしてきたか却って退歩したのではないかと思わせるほど現代的な像である。

私事だが、腹の立つ上司同僚が居たとする。(実際山ほどいた)いよいよ腹に据えかねた時にどういう策略で足を引っ張ってやろうかと知恵を巡らす時には、または自身の進退を考えるときには戒壇院の四天王像を見に行く。智慧深いヒトと一緒に考えていただく時間がもてる。(頭がいいというのではない、智慧深いのである。)しかもお堂の中は静かである。いよいよ決行というときの勇気を頂きに行くときには、新薬師寺の十二神将を見に行く。怒髪天を抜いて戦う姿勢である。戦うときには戦わねば時期を逸すると思うときはこちらである。

それ以前の飛鳥時代の仏像には、上の二つの要素が全くない。飛鳥時代のヒトの心は現代のわれわれの心と隔絶したものがあったとはずである。しかし天平仏には、現在に通じるものがある。飛鳥から天平の間に、ヒトの心が劇的に変化したはずである。

 

もし一泊二日でおいでになるなら、東大寺法華堂(三月堂)と戒壇院と興福寺国宝館とこの新薬師寺は是非行っていただきたいところです。勿論興福寺南円堂と北円堂が一番のおすすめなんですが、日程が合いますかどうかです。南円堂北円堂が解放されていたら、一泊二日では難しいのではないでしょうか。ましてや法隆寺までお行きになるにはもっと時間が必要である。

 

 



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