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東日本のヒトのための奈良市観光案内⑫ 三泊四日以上のヒトのために

2024-08-20 22:25:35 | 日記

東日本のヒトのための奈良市観光案内⑫ 三泊四日以上のヒトのために

 東大寺正倉院の裏側に空海寺というお寺がある。東大寺のお坊さんが亡くなった時に葬儀をまさか大仏さんの前で行うわけにもいかないので、お坊さん専用のそういうお寺と聞いたことがあるが間違えていたらすいません。空海寺という名前が東大寺別当(長官)に空海が就任したことがあるのでそれに因んでの命名かどうかもわかりません。

このあたり一帯は、昔の長安の街角がそうであったかのような版築の塀が並んだ風情のあるところです。最近はどういう訳か中国旅行の宣伝がなくなって寂しい限りです。たとえあったとしてもこんなに為替が安くなってしまうとちょっと行きにくい。そこで長安の街の風情を楽しみたい方は、為替を気にすることなく楽しめます。(風情は無料)このあたりには観光客はほとんどいないと思います。

ここから西に少し歩いて大きな通りに出ます。この通りが京都に向かうとおりです。南に歩くと手貝門があります。この門を入ったところを鼓坂(つづみさか または つざか)といってお寺で雅楽の催しをするときに、楽人が鼓を打ちながらこの坂を上ったのでこの名があります。なお、現在は時々大仏殿の前で雅楽の催しがあるようです。運が良ければ見ることができるはずです。この通りをさらに南に行くと「焼門」とある看板があります。ここに門があって焼けたのを再建しなかったのでこの名があります。門の礎石だけが残っています。(松尾芭蕉さんい一首捻っていただきたい礎石です)入って少し行くと戒壇院になるところです。この門を中御門といい、学僧の通った門で、今の東大赤門に相当するところです。当時から差別があったみたいで、楽人の通る門には「御」の字を使わないのです。「御」の付く門は他にもたくさんあったのですが今は一つもありません。

この焼門の前を真っすぐ西に行きますと奈良女子大の裏側に出ます。この場所が奈良奉行所のあとで江戸幕府の老中になった人の出世すごろくの振り出しの場所になります。本来東京芸大の彫刻科分校がここにできるはずでしたが、何かの理由でそれがダメになったようです。東京帝国大学の姉妹校がお茶の水に女子高等師範が作られたように京都帝国大学の姉妹校としてつくられたもので、本来京都にできるものなのですが、強引な政治家が当時居たと見えます。校舎は大正時代の建築として有名です。有名なのでは、評論家の日下公人さんのお母さんがご出身とか。

ここから南に行くと近鉄奈良駅で、お急ぎの方は直接西大寺経由西ノ京まで行ってください。お急ぎでなければ、タクシーで大極殿と朱雀門をちらとご覧になるとお土産になります。いずれもつい最近建てられたもので、京都の御所は最初の位置からずいぶんずれたところに再建されたようですが、こちらは位置はまず間違いありません。しかし、朱雀門は違います。大極殿から真南に向かう通りを朱雀大路といいその南端にあるのが本来の朱雀門なのです。(京都の羅生門に相当します。)しかし今建っている朱雀門は大極殿の真南ではあるようですが、ずいぶん大極殿よりになってしまって、これでは平城京がずいぶん小さいことになってしまいます。いずれも文化財として建てられたというより観光客のためのものでしょう。折角来たんだから見ておこうぐらいのつもりが宜しいかと。