東日本のヒトのための奈良市観光案内⑬ 三泊四日以上のヒトのために 長屋王邸宅と西大寺
石碑が立っているだけであるから下りるには及ばないが、この朱雀門周辺に長屋王邸宅跡がある。日本で初めてチーズを食した人であるらしい。最近木簡が大量に出土したので長屋王の食事が東京科学博物館で公開されていた。豪勢なものである。
今は改善なったかどうか知らないが、奈良を旅行して一番いけないことは食事の楽しみが薄いことである。一日でも一時間でも早く大阪京都に脱出したくなる。もし東京の起業家の方がこの拙文をお読みなら、この復元された長屋王のご飯を(材料は長屋王の御飯で勿論味は現代風にしないといけないが)この邸宅近くで提供するホテルかレストランを建ててもらえないか。奈良時代の衣装で奈良時代の髷を結った人が給仕してくれるとさらに嬉しい。奈良時代の衣装はJR奈良駅に大きく描かれているが、竜宮の乙姫様の風情である。これなら行きたくなる。
思い出したが、戦後すぐダグラスマッカーサー元帥の食事を日本が接待した時の写真を見たことがある。江戸芸者の髪型のヒトが給仕するのが妥当だと思うのだが、なんと奈良時代の髷を結った女性が給仕をしていた。戦後すぐの時代にあの髷を結える技術者が居たものだと感心する。写真だけではあるが、その給仕されている女性は実に堂々としていた。平安時代の長い髪では給仕できないから、江戸芸者のヒトからお断りがあったら奈良時代にまで立ち戻らねばならなかったと見える。
電車に乗って西大寺で降りたとする。(お急ぎなら降りないで西ノ京までお行きになるのを勧めします)東大寺と違って大仏はないが、ここには吉祥天女像がある。(常時公開かどうか存じ上げない。)乙姫様または羽衣天女の衣装でしもぶくれの肉感的な女性である。この時代の彫刻の特色はモデルがどんな人柄でどんな人物かを写し取ることにある。彫刻の前に立ったわたくしはその人の人となりを自分なりに思い描くことができる。平安時代にはその作風が消えてしまう。彫刻芸術のパワーは、鎌倉時代と並んで奈良時代が日本の黄金期であろう。わたくしの天女像から受けた印象は、頭のいい女性だが出しゃばらず必要なときに必要な範囲で的確にアドバイスしてくれる女性である。秘書になっていただくと最高であろう。
むかしギリシア時代、ソクラテスには自分の財産管理の雑用一切をやってくれる女性がついていたと聞いたことがある。それをやってくれる女性という印象である。ソクラテスは労働も家事労働も奴隷に任せ、自分の身の回りのことも全部この天女のような女性がやってくれたのであるから、そりゃヒマで哲学の祖にもなれるでしょう。ただ奥様のクサンチッペにはえらい目にあわされたようですが。
ギリシア時代と奈良時代はともに彫刻に見るべきものがでた。ならば社会が同じような発展段階にあったということか。
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