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空海のメモ書きを見る(神護寺展 東京国立博物館)

2024-08-06 22:20:33 | 日記

空海のメモ書きを見る(神護寺展 東京国立博物館)

 神護寺なら行ったことがある。京都の西北にあって、もともとは吉備氏が管理していたという。(山の見晴らしのいいところにあるから、都の防衛拠点の役割を果たしていたのではないかと想像した。もちろん根拠はないけど。)それが空海さんに賜って真言宗のお寺になったらしい。博物館では実際に行ったときには見ることのできなかったモノを説明付きで見ることができて、ありがたいことである。実際に行く方が風情があっていいのだが、説明がないのが良くない。またライトアップしてくれるし近くで見ることができるのもいいところである。

皆さんこれはあんまり興味ないようで立ち止まる人がいなかったが「空海のメモ書き」というのがあった。教え子らしいヒトの名前が数十人書き連ねてあってどうやら卒業名簿のようである。7,8人に一人くらい墨で塗りつぶしてあるのは卒業延期か留年かと思ってしまう。結構厳しい。面白いのはその字が下手くそで気迫も何もないことである。空海さん普段はこんな字をお書きのようである。これではわたしと同じレベルである。安心した。(ただしこれは空海さんだけあって国宝である。実際は他人のとても真似できない文字なのかもしれないが、わたしには真似できそうな気がする。)

数年前、同じ東京博物館で顔真卿(孔子の弟子の顔回の子孫らしい)の書き損じの手紙の下書きというのを見たことがある。これは大変な人気で大勢の人が行列をして見る。博物館のヒトが立ち止まらないで下さいと大声を張り上げるものであった。字の良しあしの分からない私にはなぜこれが人気なのか理解に苦しみながら行列に並んだことがある。空海のメモ書きは誰も列を作らない、大違いである。

顔真卿の手紙の下書きはやたら大きな紙で大きな字で書いてあってそこが空海のメモ書きとは違うところである。わたしは、中国の大人(タイジン)というのは紙や筆や墨をケチらないところに感心したがそれに比べると空海のメモ書きは小さな紙の切れ端に小さく書かれていた。そこが違うところである。それが拝見する行列ができるかできないかの差か。

薬師如来にしてはちょっと厳しすぎる顔立ちの像や、十二神将など密教美術を満喫できた。



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