
ハードエイト(HARD EIGHT)
1996
ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)
ポール・トーマス・アンダーソン監督のフィルモグラフィーからすると長編映画の最初となる作品。
後の作品にも通じる、皮肉丸出しだけれども人生を愛していることがバンバン伝わる作品です。
本作はややサスペンス風味。
ラスベガスのカジノ攻略法を伝授する老人との出会いが物語の発端。やはり、本作でも冒頭から引き込みまくる仕掛け。とはいえ、そこで動く人間達にちゃんと血が通い、肉があります。舞台装置で引き込んで、その後は結局人間の話。
ちなみに本作のタイトルでもある「Hard Eight」とは「サイコロを2つ振って4のぞろ目になること」だそうです。多分、難しいことの比喩でしょう。
ところで「一か八か」の「一」と「八」はそれぞれ「丁」と「半」の上の部分をとったものという説もあるそうです。人生にゲームを比喩するのは国は違えど、ですね。
突拍子もない行動を取ることもあれば、周到に計算されたことすらできないという人間達。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品ではそんな人間達が動き回る。
一瞬先は闇かもしれないけれども、急に光が差すこともある。
映画的ではないかもしれないけれども、じっくりゆっくり観てその後もしばらく鑑賞後感に浸れる。
ところで、ポール・トーマス・アンダーソン監督とウェス・アンダーソン監督というファミリーネームが一緒の二人の監督がやたら好きなんですが、アンダーソン一族に何かがあるのか。一瞬で心奪われることはまず無いのですが、全編を通した時に感じる目線の気持ちよさとか同化できる感覚とかとても他人事とは思えません。
人種やら国家を超えて響く両アンダーソン監督の作品。
方法は違えど、人生に対して感情を以て描く両監督の作品が好きです。
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