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鬼が来た!
2002
チアン・ウェン(Jiang Wen)


第二次世界大戦中の中国のある小さな村での出来事。
ある日「私」と名乗る男が2つの麻袋を預かれと一方的に置いていった。その中には二人の男が。一人は日本兵、一人は中国人。
そうして何故か日本兵を匿うことになってしまった村の住人と日本兵の関係を描いた作品です。
カンヌ国際映画祭グランプリ。

面白いです。これは凄い。
なんと言っても香川照之の名演。あまりにも役に入り込んでしまって、本当にこの人はこういう人なんじゃないか?と思ってしまうほど。
捕らわれの身を恥じ「殺してくれと」頼み、中国人を罵る状態と、その後の生きようとする状態の繋がり方がハンパじゃありません。

もしかしたら本当にこういうことが当時起こっていたかもしれない戦時の中国。
やっぱり戦っていたのは国であって、人は戦わされていたんだなぁ、と当時であったら真っ先に銃殺されそうなことを思わざるを得ません。
アメリカの描く戦争モノとは全く違う切り口で戦時の人々を描く本作。日本でもこうは描けない。
侵略されてるのかどうかもイマイチわかっていないのどかな村の人々の動きも妙なリアリティがあります。
自分の誇りと、生きる意志と、生かす気持ちと。人間の本質を描いている作品です。

とはいえ、描かれているのは人間の不条理さ。
その瞬間の意志に理由はなく、状況や経緯ではないという不条理。偶然の「ゆらぎ」から発生した刹那。しかし、それは取り返しが付かないのが常。

これは傑作。
是非。

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