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宝塚歌劇団だけではなく、どこの企業もハラスメントはなかなか認めない。

2023年11月18日 23時55分55秒 | 社会・経済
様々なハラスメントの話が世の中を跋扈しています。
旧統一教会、ジャニーズなど…。

そして、14日には宝塚歌劇団の記者会見がありました。
記者会見から総じてまず感じたのは、あの阪急・宝塚歌劇団でも今の時代そんな程度なのか、という非常に深い残念感でした。
山梨出身の小林一三氏が関西でつくった、阪急電鉄・宝塚歌劇団には僕は若い頃から一定の評価をしていましたが、これにてその気持ちは裏切られた気持ちです。
阪急電鉄の駅員さんの丁寧な対応、車掌さんの丁寧なアナウンス。在阪の鉄道では昔からそのレベルは高かったと思います。
宝塚歌劇団には、実は学生の頃はそんなに評価はしていなかったのですが、旧・宝塚大劇場の最後の公演に仕事で写真を撮影する機会があり、その時の杜けあきさんの引退公演を観ましたが、非常に愉しくレベルも高く「確かにあれだけのファンがいるのにも納得できる」と思ったのです。

しかし、今回の記者会見は今の時代のごくごく一般的な「組織を守る」目的だけに終始しただけのもので、何ら阪急や宝塚歌劇団の「良さ」を微塵も感じることができませんでした。
やはりそれは誰もがそう感じたように亡くなった被害者の遺族にまったくと言っていいほど寄り添っていない内容であったこと。
過重労働は認めつつもパワハラについてはまったく認めない内容に、これまで僕が見聞きしてきた職場でハラスメントがあった時の企業側の逃げや無責任な姿勢とまったく同じだと思いました。
また、今日の報道では調査を担当した弁護士チームが完全な外部弁護士事務所の者ではなかった旨が伝えられましたが、そのあたりも遺族感情を逆なでするもので、調査そのものの中立性・信頼性が疑われるところです。

今回の記者会見で大きな問題と思ったポイントは、
「例えば『うそつき野郎』『やる気がない』といった発言については、すべて伝聞情報であり、そのような発言があったことは確認されていない」
という部分。
伝聞情報というのが、LINE(ライン)の記録のことを指しているのか不明ですが、それを単に「伝聞情報」としているのも疑問ですし、このあたり外部弁護士チームはどのように判断し取り扱ったのかわかりませんが、いずれにしても伝聞情報があるのであれえば、十分にパワハラはあった可能性があると推測されます。それをなぜ事実関係が確認できなかっただけで否定できるのか大きな疑問です。
当事者本人が不利になるのであれば事実は明らかにしないのが人間の心理です。そもそも最初から本当のことを言うはずがありません。極端な話、この場合普通に事実を確認しようとすること自体、非常にお粗末です。
また、ヘアーアイロンでおでこに火傷を負わせた件も「社会通念上、許容される範囲」で済ませていることも疑問があります。
理容師だった母に言わせると、即答で「そんなん故意やろ」と言ってしまいます。つづけて「宝塚の人っておでこ(の髪の毛を)あげて舞台に立つやん、だからなおさらや。(だからこそハラスメントだ)」と。
発言についての伝聞情報も「確認されていない」と逃げ、ヘアーアイロンの件も「社会通念上、許容される範囲」として逃げている姿勢だけで歌劇団が保身に走っていると判断するには十分です。

ここまで遺族に寄り添わず歌劇団側に立った偏った報告を聞くと、本当に外部弁護士チームに調査を依頼したのか?と思いました。現に記者会見にはその弁護士も姿を見せていない。もしかすると、外部弁護士チームに調査を依頼した態で、実は単なる社内調査ではないのか?と思うぐらいでしたが、実際はその外部弁護士の事務所には阪急電鉄のグループ企業の役員が所属していることが明らかになり中立性が疑われています。
どこまでグダグダなんでしょう。

何よりも被害者はパワハラがあったと主張していたわけです。
そして自ら命を絶っているわけです。
それ以上に何の事実を確認する必要があるでしょうか。
この時点で基本的にパワハラはあったものとして、それ前提で企業は動かないといけないはずです。

実は僕は誤解を恐れずに書くと、記者会見前、ひょっとしたら歌劇団はすべて認めて全面謝罪するのではないか?と少しばかり期待していたのです。僕にとってはそれを期待させる企業だったからです。もし、そうしていたら宝塚歌劇団の評価はより一層あがったでしょう。しかしそういう部分においても裏切られ、もちろんその期待は甘かったわけです。
こんなにも保身に走った記者会見の内容となり落胆しました。ある一般紙では宝塚歌劇団のイメージと阪急電鉄の沿線価値の低下を危惧する見出しの記事も見ました。

記者会見で歌劇団は過重労働については認めていますが、見方を変えるとそれも企業組織からのパワハラともとれます。
わずか25歳で業務委託契約となっていたことにも驚きましたが、ほかにもいろいろと労働法的に問題があるようなことばかりでびっくりしました。
過重労働と言われるほど長い労働時間に加えかなり安いと言える給与。まさに宝塚歌劇団への夢につけこんで労働力(俳優としての演技力などの能力も含め)を搾取しているような印象です。いわゆる「好きでやっているんだからタダでもいいでしょ?」的な考え方に近いです。好きでやっているのは単にその仕事をやるきっかけなだけで、労働に対する対価は必ず支払わなければなりません。何を勘違いしているのでしょう。

あと、触れられていない細かいことですが宝塚歌劇団のある同じ宝塚市内に住んでいたことからおそらく徒歩か自転車での通勤だったのかもしれません。そうなると一般的な会社員のように公共交通機関を使う通勤ではなく、使わない通勤になっているとそこに「終電」などとかのタイムリミットもないわけで、これは本当に長時間労働に拍車をかける要素のひとつになりえます。

また夢の実現のため、さらなる飛躍のため、朝から深夜まで演劇漬けだったと思いますが、そこに常に軍隊のような統制だったとも聞きます。そういったことからジャニーズの件と比較されますが、記者会見だけ比較したとしても前提として違うのは、ジャニーズの件はすでに裁判で犯罪が認定された後20年ほど経っていたこと、宝塚歌劇団は今のところはそのような状態に至っていません。宝塚歌劇団はそのような状態に至っていないだけにパワハラを認めなかったと考えられますし、ジャニーズは性加害を認めざるを得ない状況で認めたものの、さらにあのような記者会見になってしまったのはご周知のとおりです。

いずれにしても、ジャニーズ、宝塚歌劇団だけでなく、日本の企業はハラスメント事案に対して被害者が亡くなっていてもそういう態度を取るということです。同時に日本はそういう社会なのです。
だからこそ、いつまで指をくわえて見ているだけではなく、それが間違っていることを多くの人が機会あるごとに言い、伝え、話し、表明し、主張しなければなりません。
マスコミに「マスゴミ」と言う前に、それらを世論であることを知らしめマスコミを動かすことも重要です。

そしてもし被害者になった場合、死なずに状況を訴えたほうがいい。ハラスメント(いじめ)で悪いのは被害者ではなく加害者です。それは明白なことであり、それが徹底的に正しく普通の考えであることを定着していない間違った日本に定着させなければなりません。

それこそが本当の「清く、正しく、美しく」ではありませんか?


いつも読んでいただいている読者の皆様にはすでにわかっていただいていると思っていますが、今回の宝塚歌劇団の件も含め、ジャニーズ、旧統一教会の件もマスコミがどこまで真実を追及するのか注視しています。手ぬるい場合はこのブログも含めいろいろ手段で声をあげていくつもりです。

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