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原発処理水の風評と報道と事実の間で。

2023年08月26日 15時20分10秒 | 政治
「誰かが毒見をしないと…」
少し過激かもしれませんが、僕は最初そう思っていました。

東日本大震災直後に発生した福島第一原子力発電所の事故。
それによって溶けて固まった核燃料(燃料デブリ)は冷やし続けないといけませんし、周囲からの地下水の流入もあり、核燃料に触れた水は放射性物質に高濃度汚染され汚染水となりどんどん増える一方です。それをALPS(多核種除去設備)で処理しALPS処理水となります。
そして、それは事故後12年以上経った今も溜まり続けています。
ALPSで処理できなかったとされるトリチウムは半減期が約12.3年で、事故発生直後の頃に使われたALPS処理水はちょうと半減期がこの7月頃にすぎたことになります。
また原発敷地内をほとんど埋めた処理水タンクもそろそろ限界にきていることもあります。
それで、今、海洋放出という話になっているのでしょう。
そして、それに伴う風評の件。

冒頭の話に戻りますが、風評を根本的に解決するには誰かが毒見するしかないようにも思っていました。
もちろん毒見することによって安全性は科学的に証明されないとは思いますが、今問題にしているのは風評です。
いつぞやに誰かがかいわれ大根を食べたように。
モノが違いすぎるので一緒にはできませんが、それぐらいの覚悟がないのかと。

いや、覚悟なんていらないのかもしれません。
政府が言うように本当に毒ではない、問題ない、安全なのであれば。
また海水で希釈するので飲料水にはそもそも適さないとのことですが、であれば淡水あるいは水道水で希釈すればいいだけです。

岸田文雄総理
西村康稔経産大臣
もしくは東京電力の責任者でも良いかもしれません。
誰かが毒見をすれば、非常に説得力はあります。

でも、誰も毒見をしない。

しかし過去に福島第一原子力発電所の5、6号機に溜まっていた低濃度とされる汚染水を飲んだ政治家がいました。
園田康博氏です。
2011年10月、民主党菅直人改造内閣時に内閣府大臣政務官として、当時の政府・東京電力の共同記者会見で原発敷地内に散布している5、6号機の建屋地下水を浄化した水を飲んだとのことです。
当時、報道機関は福島第一原子力発電所での現地取材を拒否されており、報道機関と政府・東京電力との間の現地取材や事実をめぐる駆け引きの中での出来事のようです。
詳細はこちらの記事を。
この時の問題の本筋は、事実を明らかにする姿勢です。
つまり、この時の報道機関が事実を追及する姿勢は当然ですが、何よりも政府・東京電力が自分たちに不利な情報も含めて事実を明らかにする姿勢がなければいけません。


今回、政府は海洋放出される処理水についてトリチウムの濃度は、
 ・国の安全基準の40分の1
 ・WHO飲料水基準の7分の1
としていますが、これはあくまでもトリチウムの濃度です。
他の核種については実は取り除かれるのではなく、規制基準内もしくは規制基準外のものもあるとのことです。
共同通信「基準値超の放射性物質検出/トリチウム以外、長寿命も」(2018年8月19日配信時のX(旧ツイッター)のポスト・記事は削除されています。)
またこの希釈(薄める)ということ自体、よく考えると(考えなくても)放出する前に薄めるか、放出してから薄まるか、の違いだけで、結局処理水を海洋放出、すなわち海洋投棄していることに変わりはないのです。

政府・東京電力側はこのような具体的なことを言っていないし、忖度する報道もやたらと「トリチウム」の連呼です。
そして、放出後のモニタリング調査もトリチウムのみ。
もちろん、モニタリング調査は他の核種についても調査しているのかもしれませんし報道でそこは触れていないだけかもしれません。

取れなかった言われているトリチウムを取り上げるのみ。(真面目に書いています)

そしてそのトリチウムは自然界にも存在するという…、原発事故当初にも聞いた話。
しかし自然界で生成される放射性物質と原発で人工的に生成された放射性物質は微妙に違うという話もそれに伴って聞いたことがあります。

挙句の果てに…。
ちょっと細かいこと書きますが、下記の動画。


開始26秒前後に画面下部に出る注意書きに「ALPS“飲料水”…」とあります。(近日中に訂正されるかも)
おそらく「ALPS処理水」の間違いなんでしょうが、言葉の扱いに自分たちも混乱しているのでしょう。それぐらいテキトーなことをしているのです。
そもそもこのような動画やポータルサイトを制作するのであれば、「みんなで知ろう、考えよう」と言うより「安全です」と言い切る証拠や事実を紹介する動画やポータルサイトを制作してはいかがでしょうか。

国民が考え始めるとどこまでも尽きない不安や疑問に、政府・東京電力側は正しく理解されるように努力しているのでしょうか。それをしているように見えず、自分たちに不利な情報でもつまびらかに明らかにするどころか隠蔽している姿勢が風評が起きる最大の原因と考えます。
そして、事実追及をせず、政府・東京電力側にその努力を促さず批判もせず、忖度する報道を行う報道機関も風評を広める一端を担っており政府・東京電力側と同罪です。このまま忖度報道を続けるのなら、処理水を淡水で放出する濃度に薄めたものを彼らも毒見してはいかがでしょうか。

要するに風評を作り出しているのは、政府・東京電力側がいつまでも国民に寄り添わず事実をつまびらかに明らかにしない姿勢そのものです。

「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」
2015年に政府・東京電力側が福島県漁連に伝えた言葉。実質これを裏切るかたちで海洋放出は行われてしまいました。
僕はこれを福島の人たちはもちろん、日本や世界中の人たちへの2回目の大きな被害と考えています。

そして、こんなにも大切なことで裏切るからこそ、日本の政治不信はいつもでも収まらないのだと思いました。

関連リンク。========






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