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ジャニーズ性加害問題は日本社会全体の問題でもあることを認識しないといけません。

2023年09月16日 23時33分22秒 | 社会・経済
なかなか手強いですね。
今のところ、結構いろいろと迷走しそうな印象があります。
社名の件であったり、株の件であったり…。

あれからいろいろテレビやネットで情報を見たりしていますが、この問題に対してジャニーズ事務所所属のタレントはもちろん、そうじゃないタレントまでもが何か奥歯にものが挟まったような言い方ばかりでしかできないようです。
見れば見るほど腹が立って仕方がないので休み休みにテレビを見るようにしているんですが、なかなか腹の虫がおさまらずこれを書いています。

一方で、CMなどでジャニーズ事務所所属のタレントを採用しているスポンサー企業の契約の見直しや見送り、契約解除などの動きが多くみられます。
特に世界の市場でビジネスをしている企業などは毅然とした態度で臨んでおり国際的な感覚として当然のことでしょうし、今回の問題の本当の性質や大きさなどを如実に物語っているように思います。

で、
今回の発火点になった、BBCのドキュメンタリーをちゃんと観たのですが、やはりこの番組が指摘しているのは、ジャニーズ事務所の性加害問題はもとより、日本社会としてどうするのか?です。日本社会が問われています。



いわば日本特有の「事なかれ主義」が、何か問題が発生した時に警鐘を鳴らせない。そして解決を先送りし、さらなる被害者を生む可能性があること。

そして、グルーミングの問題。
被害者をだまし被害の認識を遅らせ犯罪の発覚を遅らせ、さらなる被害を重ねる可能性。


今年7月の刑法改正でグルーミングにも処罰が下るようになりました。
今回のジャニー喜多川氏の性加害についてもこのグルーミングの問題性を指摘していますが、先週のジャニーズ事務所の記者会見の後でもこのことについて取り上げているテレビ番組はわずかなように思います。


上記の動画は今年の5月25日放映のBS-TBSの「報道1930」です。
ジャニーズ事務所が5月14日にサイトに公開した謝罪動画などをうけて放映されています。また、冒頭のBBCのドキュメンタリー番組で取材をした、モビーン・アザー氏も出演しています。
この中で、アザー氏は、
日本特有の問題と言えるのは「迷惑をかける」という考え方があることだと思います。誰かが勇気を出して自らの体験を共有し声を上げたとしても社会には迷惑な行動だと見なされるのです。社会にとっての「ジャニーズ観」や「ジャニー喜多川観」と一致しないからです。
(中略)
ほとんどの報道機関が疑惑を無視していたことを忘れてはなりません。
そのこと自体が問題です。自発的に背を向けたのです。目を背け事実に向き合うことをしませんでした。これは大きな問題です。
多くの人に愛され尊敬されたジャニー喜多川氏は権力を乱用し子どもを虐待する男だった。
私たちは「搾取や虐待は絶対に許さない」という明確な一線を引かなければなりません。
つまりケジメが必要なのです。
と、わかりやすい言葉で冒頭のBBCの番組で伝えたかったことを要約してくれています。
特に「ほとんどの報道機関が疑惑を無視していたことを忘れてはなりません。
そのこと自体が問題です。自発的に背を向けたのです。目を背け事実に向き合うことをしませんでした。これは大きな問題です。」は、日本社会にとって重大な指摘です。これは報道機関=マスコミとして致命的な失態です。そんなマスコミばかりの国ではどこの国の国民も不幸になること必至です。
だからこそ、第三者委員会を設置し検証の必要性が大いにあるわけです。

そして、番組では過去にイギリスであったある事件を取り上げます。
「ジミー・サビル性的虐待事件」
詳細をご存知ない方はネットを検索していただくとして、番組はこの事件を今回の問題の参考にするべき事件として紹介しています。
公共放送BBCの番組の司会者で「イギリスの国宝」とまで呼ばれた男が長年にわたり200件以上の性的虐待(最年少の被害者は8歳)をやっていたことが死後に民放局の報道によってあきらかになり、警察が動き、最終的にBBCも検証委員会を設置し1000ページにも及ぶ報告書を提出。
アザー氏は、
報道機関が容認できないと報じ社会全体でサビル氏を点検し直し彼は国宝からモンスターになった。
英国社会がけじめをつけられたのはこの時です。
社会全体で点検し直したところも重要だと思います。
それから、警察が動いている(捜査している)というのも重要で、報道で明らかになってから、噂をつかんでいながら動いていなかったことを理由に警察として動いているわけですが、これには児童虐待が被害者の将来に大きな影響を与えることを英国社会がコンセンサスとして認識している(松谷創一郎さん談)からで、日本でもこのコンセンサスが「搾取や虐待は絶対に許さない」という明確な一線=けじめをつけれるかどうかの重要なポイントになると思います。


今回の問題で僕は、その昔角川書店を創業した角川源義氏が、「角川文庫発刊に際して」に書いていた「私たちの若い文化力の敗退であった。」の部分の再びの敗退を感じています。
つまり、戦後日本社会は高度成長期においてお金は稼いではきたものの、そのお金をどう活かすか?そしてどうより良く生きるかの部分でもある文化力についてはあまり力をつけていなかったのではないか?そして、物事の良し悪しについて明確な一線も引けずお金そのものを持っている持っていないかだけで物事の良しあしをつけてきてしまったのではないか?との疑問をいだいています。
そのほかの人間として生きるための必要ないろいろな基準・ものさしをどこかに置いてきてしまった。
単にお金を持っている人だけが善であり絶対的な権力をもち、その人物が悪いことをしても批判しない。またそれを容認してしまう。そんな世の中になってしまっているのではないか。
それは、日本人としての精神的指向が「文化力の敗退」に向かわせてしまっているようにも思うのです。
それは、アザー氏も指摘している「事なかれ主義」です。
「事なかれ主義」に沿うために単に根性や我慢だけを駆使しても何も生み出しません。いつまで「インパール作戦」をやっているのか?と問いたいです。
こんなことではおそらく今日本が戦争をやるか、巻き込まれても必ず負けるでしょう。日本がどれだけ正しくても負けます。(そもそも「正しい戦争」なんてありえませんが)国民も守られないでしょう。
より良い結果を生むのは何よりもより良い結果へ向かおうとする行動如何であり、そしてそのための正しい知識でしょう。
そのためにも、「報道1930」の中で松谷創一郎さんが仰られているように、マスコミのさらなる報道と専門家の正しい知識を広めるマスコミ本来の「仕事」をやることです。
そして何よりも、マスコミがその本来の「仕事」をしない時、私たち読者・視聴者である国民がマスコミに対して声をあげなければなりません。

もうひとつ思い出すのは、映画監督の是枝裕和さんが昨年母校・早稲田大学の入学式で述べられた言葉です。
詳細はこちらの過去の記事を読んでいただくとして、要は、ものわかりの良い大人になるということはどこかの弱者が受けている搾取や虐待に加担する可能性があるということです。
まさしく今回マスコミは少なくとも20年のも間、まったくと言っていいほどこの性加害問題に関して報道せず沈黙をつづけ、被害者が受け続けていた搾取や虐待に加担し、さらなる被害者を生んだと言えます。
マスコミはこのことを本当に反省するためにも第三者委員会を設置し過去の報道しなかったことについて検証しなければなりません。
それがなければ、また同じことを繰り返すことになります。また同じような被害者を生むことを許す社会で良いのでしょうか?

マスコミが第三者委員会による過去の検証やさらなる事実追及とその報道、そして専門家による正しい知識を広め社会に先行して「搾取や虐待を絶対に許さない」という一線を明確にしていく行動を、本来の「仕事」をしない場合、何度も言いますが、やはり私たち読者・視聴者である国民が声をあげ、マスコミに「仕事」をしろと言い、日本社会が「搾取や虐待を絶対に許さない」という明確な一線を引く行動を取らないといけません。
それがこの性加害問題について日本社会がけじめをつけれるかどうかにつながり、僕も今この記事を読んでいただいている読者の皆様も含めた日本社会全体の問題でもあることを認識しないといけません。そして行動しないといけません。

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