神が宿るところ

古社寺、磐座、不思議・パワースポット、古代史など極私的な興味の対象を見に行く

國神神社(茨城県潮来市古高)と鹿嶋吉田神社(同 新宮)

2022-11-19 23:35:10 | 神社
國神神社(くにがみじんじゃ)。國上神社とも表記される。
場所:茨城県潮来市古高3216。国道51号線と茨城県道50号線(水戸神栖線)の「須賀」交差点から県道を北へ約350mで右折(北東へ)、約1.5kmの三叉路のところで右折(東へ)、直ぐ(約30m)。駐車場なし。「古高農村集落センター」の手前(南)、約100m。

鹿嶋吉田神社(かしまよしだじんじゃ)。
場所:茨城県潮来市新宮1866。国道51号線「延方西」交差点から北へ約80mの交差点の先に一之鳥居、そこから更に北へ約400mで二之鳥居・境内入口。駐車場なし。「潮来第二中学校」の南側。

それぞれの社伝等を総合すると、「國神神社」の創建年代は不明だが、往古、土着の神を祀る神社だった。その後、当地(旧・延方村)が多(おお)氏の支配となると、その氏神である鹿島神(武甕槌命)も祀るようになり、専ら「鹿島神社」と呼ばれるようになったが、国津神・天津神の並立相殿の神社であった。「常陸国風土記」行方郡条に、崇神天皇の御代に建借間命(タケカシマ)が反抗する国栖(くず。土着の先住民)を計略によって征伐する記述があるが、このとき「痛く殺す、と言ったところを今は「伊多久」の郷と謂い、臨(ふつ)に斬ると言ったところを今は「布都奈」の村と謂い、・・・」(現代語訳)という地名起源譚も語られている。「伊多久(いたく)」は現・潮来市潮来(いたこ)が遺称地であることに異論はない。また、「臨に」は刀剣でバッサリ斬るさま、あるいは音を指し、「布都奈(ふつな)」は現・潮来市古高(ふったか)が遺称地とされる。国津神・天津神の並立相殿というのは、この「常陸国風土記」の記述を踏まえて、「元鹿島宮」とも称される「大生神社」(2017年12月9日記事)などの影響が及んだために鹿島神を祀ることになったということを示したものだろう(「大生神社」は、当神社の北西、約3.5km(直線距離)の場所にある。)。応永20年(1413年)に島崎城主・島崎彦四郎が神輿修営した際、大同2年(807年)と記してあったという。江戸時代に入ると、水戸藩第2代藩主・徳川光圀のとき、一郷一社寺の改革により、延方村は古高・須賀・洲崎の3村を合併し、寺院は潮来村の真言宗「普門院」(2022年10月1日記事)を延方村洲崎に移転(旧来の8ヵ寺は廃寺)、神社は古高村の鎮守社「鹿島神社」を延方村の諏訪ヶ原に建立して、地名を新宮とした(これにより、「國神神社」は国津神のみを祀るようになった。)。このとき、水戸藩から材木15石の下付と、奉行1名・棟梁1名が派遣されて建築に当った。また、元の洲崎村鎮守は「諏訪神社」で、旧領主・島崎氏の守り神だったが、「吉田神社」に祭神変更され、相殿として「鹿嶋吉田神社」となった。現在の祭神は、「國神神社」が大己貴命・少彦名命、「鹿嶋吉田神社」が武甕槌命・日本武尊(日本武尊は、現・茨城県水戸市の常陸国式内社「吉田神社」(2018年3月10日記事)の祭神と同じ。)。
蛇足:「國神神社」の方は境内地も狭く、やや寂れた感じなのに対して、「鹿嶋吉田神社」はかなり立派な神社である(因みに、「大生神社」の御朱印は「鹿嶋吉田神社」でいただけるそうである。)。また、潮来市の「國神神社」といえば、(旧・牛堀町)上戸の「國神神社」の方が有名(例祭の「上戸の獅子舞」が茨城県無形民俗文化財となっている。なお、「八代の大椎」(2022年9月17日記事)の北、約200mのところに鎮座。)だろう。古高「國神神社」の社伝では、上戸「國神神社」は古高からの分社であるとしているようであるが、上戸側の社伝では嘉歴元年(1326年)に常陸国式内社「大洗磯前神社」(2018年5月19日記事)から分霊を迎えて鎮斎したとしている。このため、古高「國神神社」も、その頃に創建されたのではないかとする説もある。


潮来市のHPから(延方相撲)


写真1:「國神神社」境内入口、鳥居。


写真2:同上、社殿


写真3:「鹿嶋吉田神社」一之鳥居。道路の片側を占めて、鳥居と灯籠がある。その先は桜並木の長い参道。


写真4:同上、境内入口、鳥居


写真5:同上、由緒碑


写真6:同上、社殿前。当神社祭礼の「延方相撲」(茨城県無形民俗文化財)が有名で、畳まれたテントの下に土俵があるのだろう。


写真7:同上、拝殿


写真8:同上、本殿
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