神が宿るところ

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神部神社(駿河国式内社・その13)

2010-11-19 23:17:00 | 神社
神部神社(かんべじんじゃ)。祭神:大己貴命。
場所:静岡市葵区宮ケ崎町102-1。JR「静岡」駅の北西、約2km。駅前の大通り(県道27号線(井川湖御幸線))を北上し、「片羽」交差点を右折(東へ)。大きな赤い鳥居のところから「静岡浅間神社」の境内だが、当神社は先に進んで左(北)に回り込む。駐車場あり(30分無料)。
創建時期は不明。社伝によれば、崇神天皇の御代(在位:紀元前97~紀元前29年?)という。祭神は大己貴命(大国主命)で、国土開発の神であり、また当神社が「駿河国府」に近かったため、少なくとも平安時代末には「駿河国惣社(総社)」となっていた。
ただし、神社名の「神部」の由来は不明。式内社に「神部神社」は3社あるが、当神社のほかは隣国の甲斐国に2社あるのみである。しかも、甲斐国の2社のうち、旧・山梨郡の「神部神社」には論社があるが、1社(塩山市)の祭神は神直日神、もう1社(山梨市)の祭神は大山咋神となっている。また、旧・巨麻郡の「神部神社」の祭神は大物主命である(こちらは、神社名もかつては「ミワベ」と称したかもしれないという。)。大国主命と大物主命は同神であるとされるが、では、なぜ神名を書き分けるのかはわからない。このように同じ「神部神社」でも、祭神は一致していない。こういうこともあって、当神社の元の祭神は大己貴命ではなかったのではないか、ともいわれている。
さて、現在では、当神社と、同殿となっている「浅間神社(あさまじんじゃ)」、式内社「大歳御祖神社」の3社を中心に「静岡浅間神社(しずおかせんげんじんじゃ)」と称している。「浅間神社」は、社伝によれば、延暦元年(901年)に醍醐天皇の勅願によって駿河国一宮「富士本宮浅間大社」(2010年7月31日記事)の分霊を勧請したものといい、本宮に対して「富士新宮」と通称された。ただし、実際の勧請時期は、社伝よりは遅く、平安時代末か鎌倉時代初めかとされている。
これら3つの古社が同じ境内に鎮座するようになった時期は不詳であるが、「神部神社」は駿河国総社であり、「浅間神社」は駿河国一宮の分社であり、「大歳御祖神社」は駿府の元となった「安倍の市」の守護神である(このことは別項で書く予定。)ということを考えると、これは偶然ではなく、政治・祭祀・経済にわたる駿河国の信仰を全て集める意図の下に行われたと考えるべきであろう。


静岡浅間神社のHP:http://www.shizuokasengen.net/index.html


写真1:「静岡浅間神社」前の鳥居(通称:石鳥居)。社号標には「神部神社」と「浅間神社」が並列して記されている。


写真2:豪壮・華麗な拝殿(いわゆる浅間造)


写真3:本殿、向かって右が「神部神社」


写真4:同じく、向かって左が「浅間神社」

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