備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム174.笠井薬師

2009-05-17 11:36:24 | Weblog
笠井山薬師院妙法寺(かさいさん やくいしん みょうほうじ)。通称:笠井薬師。天台宗の寺院で、本尊は薬師如来。
場所:岡山市北区畑鮎67。玉柏側から「金山寺」に上る途中で、「岡山市笠井山霊園」方面に進む。いくつかある霊園の区画を通り過ぎ、笠井山(340m)山頂付近にある。当寺には駐車場はないが、山頂に「笠井山展望台」があり、付近に駐車スペースがある。
備前古社巡礼のブログだったのに、だんだん寄り道が酷くなって、パワースポット巡りのようになってきているが、せっかく聖山・金山に行くなら「金山妙見宮」・「金山八幡宮」・「金山寺」・「畑石鉄神社」などに加えて、「笠井薬師」(写真上)にも寄りたい。
寺伝によれば、天平勝宝元年(749年)に報恩大師が備前48ヶ寺を創建した際、その根本道場である「金山寺」の境外庵室として建立された。弘治年間(1555~1557年)に、日蓮宗への改宗を強いた金山城主松田左近将監に焼き討ちされ、堂宇は灰燼に帰した。現在は本堂と庫裏のみが残されている。しかし、「一畑薬師」(島根県出雲市)、「立石寺(通称:山寺)」(山形県山形市)と共に日本三大薬師の1つであるとする。
本堂前の石段の脇に温泉の井戸(湯壷)とされるものがある(写真中)。現在は温泉は出ていないようだし、かつても(温泉ではなく)鉱泉だったかもしれない。いずれにしても、温泉・鉱泉と薬師如来は関係が深い。温泉・鉱泉が出た場所に薬師如来を祀ったかもしれない。
さて、当寺は他にも「金山北辰稲荷大明神」も祀っている。そして、「最上稲荷」が報恩大師の開基であることによせて、「金山寺」がその根本道場であることから、こちらが「最上稲荷」の本家である、とする。北辰とは、北極星(または北斗七星)であり、金山には「妙見宮」がある。一方、ダキニ天は「辰狐王菩薩」の異名もある。関係がないようでいて、こんなところで繋がっている。


牧石学区連合町内会のHPから(薬師院):http://townweb.e-okayamacity.jp/makiishi-r/midokoro-yakusiin.html

同(笠井山展望台):http://townweb.e-okayamacity.jp/makiishi-r/


写真上:「笠井薬師」山門


写真中:湯の井戸


写真下:笠井山山頂近くにある大仏殿(パゴダ)。「笠井薬師」とは無関係。