Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(235)

2018-10-23 09:56:46 | 日記

 「お父さんは私が居るから1人じゃないわ。」

蛍さんは父に言ったように、祖母の前でこう言葉を漏らすのでした。

 ここ迄、公園の回想をしていた蛍さんは、所々父の言葉や自分の言葉を興味深く孫の言葉に聞き入っていた祖母に我知らずの内に披露していたのでした。

 『成る程ねえ。』祖母には茜さんが何故スルメを持ち出したのかが分かりました。感情を噛みしめるというような難しい表現を、幼い子供が分かる訳が無いのでした。噛みしめると聞けば、思うのは食べ物の事ばかりです。この時代、噛みしめる食べ物と言えば真っ先に思い浮かぶのはスルメでした。

「それでスルメが出て来たんだ。」

と祖母は感慨深げでした。子供の単純な発想というものに改めて感じ入ると、蛍さんの顔を見詰めて、彼女の父である自分の息子の事を蛍さんに尋ね始めました。

「それで、何時も行く公園で、あんたのお父さんはよく、その、孤独とやら言う物を噛みしめているのかい?」

ああ、と祖母にそう言われて蛍さんはハッとしました。父からはこの事はあまり誰にでも言わないようにと口留めされていたのです。言いにくそうに「うん」と言葉を濁す蛍さんでした。祖母にしても、蛍さんの父は自分の息子の事、あれは孫に口止めしているのだなとピン!と来ました。そこで、この話題は置いておいて、例の難題、「諸行無常」の件に先に移ろうと決めました。


土筆(234)

2018-10-23 09:50:33 | 日記

 それが、つい先日、何度か尋ねる蛍さんが煩くなってきたのでしょう、父は、まぁ、分からなくてもいいかと、「話だけだが」と前置きするとこう話し出したのでした。

 「お父さんはこうやって、1人孤独を噛みしめているんだ。」

孤独だよ、こうやって1人だけで、世の中には自分以外他には誰もいないという事だ。こんな風に自分が世の中に1人だけでいると感じる事を、孤独と言うんだ。孤独で寂しいなぁと、寂しさを感じるている事を、孤独を味わう、孤独を噛みしめると言うんだ。と言ったのでした。

 ふうんと、1人だけでいる事ぐらいは分かる蛍さんでした。が、父の子供である私が傍にいるのに、何故父が1人だと思うのか?、孤独だと思うのかが分からない蛍さんでした。

「お父さんは1人じゃないよ。子供の、お父さんの家族の私が傍にいるでしょう。」

と、「だから孤独じゃ無いんじゃないの。」と、これは蛍さんが父に言った言葉でした。それに対して父はやっぱりと言うように横目で娘を見ると

「物質的な物じゃ無くてな、精神的な、心の問題なんだよ。」

と、彼は娘に言ってみるのですが、そう言ってもこんな子供には分からないなと、最初から彼自身思っていましたから、自分ながらに子供に生真面目に話した事が可笑しくなって来ました。彼はくすっと笑顔になるのでした。子供の手前も元気になって見せようと思い、

 「そうか、お父さんはお前がいるから1人じゃ無いな。」

そんな事を言って思わずほろりと涙ぐんだりしたのでした。


帽子

2018-10-23 09:43:54 | 日記

 近年購入した冬用の帽子が、私が持っている冬のファッションで一番お洒落な物です。婦人帽です。厚手の暖かい防寒用のハットです。つば有り帽、つば広帽と言うにはちょっとこじんまりした帽子です。年配者向けで落ち着いた感じです。割合気に入っています。