シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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ジェイコム男やその他のその後は

2012年07月23日 | 経済あーだこーだ
グラフは、“ジェイコム男” 資産の推移グラフ。 写真は、ウクライナの Kleven にある緑で包まれた鉄道トンネル。
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みずほ証券の「ジェイコム株大量誤発注」で、もう1人 大きな利益を得たトレーダーがいることが、ウィキペディアに載っている__“ジェイコム男” よりは額が低いが、東京都港区在住の24歳の会社役員が、3,701株 (発行済み株式の 25.52%) を取得し、現金決済で約 5億6,300万円 の利益を上げていたことが、大量保有報告書で分かった。

ほか 欧州大手証券 UBS 証券がジェイコム株の発行済み株式総数の 2.6倍 にあたる 3万8198株 を取得していたのをはじめ、国内外の証券会社5社が大量に株を買い、2005年12月13日の現金決済で合計 160億円 を超える利益を得たと見られる (「失敗事例データベース」から)。

みずほ証券の損失は 407億円 だったから、多くのにわか成金トレーダーが出現したことだろう。 2009年 東京地方裁判所が東証に 107億円 の支払いを命じたものの、残りの 300億円 がみずほ証券の損失となった。

「ジェイコム株大量誤発注」は2005年12月8日に発生したが、“ジェイコム男” の2005年11月の資産は既に 80億円 に達していたので、一時 100億円 になったものの、2005年末には元の 80億円 に戻り、その後 再び資産を増やして、今は 200億円 を越えている模様だ。

“ジェイコム男” にとって、「ジェイコム株大量誤発注」だけで大儲けしたのではなく、他に投資しても着実に大きな利益を上げているから、“ジェイコムだけの成金男” ということではないようだ。 これは、見方を変えないといけないと思いますね。
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そして気になるのが、大量誤発注した みずほ証券の男性担当者の “行くすえ” です。 人間は必ずミスをするもの__なんて 甘っちょろいもんじゃないでしょう、会社は。 当然 大目玉を食らい、当分の間 自宅謹慎などの措置だったでしょうが、その上司や担当部長 担当役員まで ”監督不行き届き” なり、何らかの “制裁措置” が取られたはずです。

男性担当者は会社を辞めるに辞められず、トレーダー業務を外され、恐らく暫くの間は (最悪を想像すると) 社内で陽の当たらない部屋の片隅で独りで面白くもない仕事をいいつけられ、話す相手もいず、鬱々とした日々で過ごしているのではないかと想像します。

会社にとしては、クビにしてしまった方が気楽ですが、組織として見せしめの意味もあり、今後 絶対に同じような “誤発注” を繰り返さないために、多少のカネを掛けてでも男性担当者を雇い続けて置いていくことでしょう。 彼にとっては地獄の日々です。 辞めた方がどれほど楽か。 そうやって苦しむ様を、社内に暗黙に認知させることでしょうね。

もう あれから7年近く経過していますし、4年後の東京地裁判決で東証から支払金が確定したのを機に辞表が受理され、つまり許可が出て既に退社しているかも知れません。 彼にとっての地獄の日々は終わったのでしょうか?

本人はもうトレーダー業務には就くことは出来ないでしょう。 再就職しようとしても、証券会社はこういう 何百億円もの損失を出した人物を採用しないはずです。 では別の職種に? 20代なら可能でしょうが、30代以降になると 柔軟性がなくなり、なかなか別の職種で仕事をするのは難しくなると想像しますね。 結局 元のトレーダー業務の経験を活かした類似の職種に就いているんじゃないでしょうか。 
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ウィキペディアから__ B・N・F (ビー・エヌ・エフ、1978~) は、日本の資産家・投資家。 東京都港区在住。 2ちゃんねるでのハンドルネームは「B・N・F」、マスコミなどでの通称は “ジェイコム男” であるが、ネット上ではほとんど使われていない (※追加1へ)。
「サラリーマンが株・FXで資産を運用し、年利 20% を目指す日記」から__ジェイコム男で有名な bnf こと 小手川隆さん (※追加2へ)。
「みずほ証券ミス 16分で 270億円 損失」(05年12月11日 水谷 哲也/All About)__みずほ証券が東証マザーズ市場に上場したジェイコム株を誤発注。 わずか16分の間で大損失になってしまいました。 同様のトラブルが起きないようシステム的にどう対処したらよいか考えてみましょう (※追加3へ)。

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以上


※追加1_ B・N・Fという名前の由来は米国の投資家、ヴィクター・ニーダーホッファー (Victor Niederhoffer) をもじったもの。

● ジェイコム株大量誤発注事件 ●
彼がマスメディアに初めて登場したのは、2005年12月8日 新規上場したジェイコム (人材派遣業。 ケーブルテレビの J:COM とは関連なし) の株式において みずほ証券の男性担当者が、「61万円 1株売り」とすべき注文を「1円 61万株売り」と誤注文し、株式市場を混乱させたジェイコム株大量誤発注事件である。

この事件において 7,100株 を取得、同日中に市場で 1,100株 を売り抜け、残る 6,000株 (発行済み株式の 41.38%) を現金決済 (20億3,500万円) していたことが大量保有報告書で分かった。

わずか 10分程度の間に自己資金 40億円 以上を投入し、当日の売買益は不明ながらも、強制決済による清算益だけでも約 20億円 超を稼いだ計算になる。 これは、個人が相場で稼いだ利益としては最高額であるとされる。

2009年12月4日 みずほ証券が東京証券取引所 (東証) に対して損害賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所が東証に 107億円1212万8058円 の支払いを命じた。
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※追加2_ よく、「61万円 1株売り」とすべき注文を「1円 61万株売り」と誤注文したと報道されるために、1円 でジェイコムの株を購入できたと勘違いされている方がおられるようですが、正確には、東京証券取引所にはストップ安なる制度が存在するために、購入価格はストップ安の 57万2000円 でした。

そのため いくら株の素人が儲けるチャンスがあったといえども、一般人には数株程度しか買えなかったでしょう。(笑)

そこを、“ジェイコム男” は約 40億円 かけて 7100株 をも取得したのですから、最初から只者ではありません。
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※追加3_ ■ みずほ証券が誤発注 ■
12月8日 (木) 東証マザーズ市場に上場したジェイコム株をみずほ証券が誤発注。 当日はジェイコム株の上場日。 取引開始直後に、投資家からジェイコム株の売り注文をみずほ証券が受託します。

ところが、『1株 61万円』の売り注文を『61万株 1円』とうっかりミスで発注してしまいます。 みずほ証券ではすぐにミスに気づき、取り消し処理を行いましたが、取り消し処理ができませんでした。

9時27分 ジェイコム株が 67万2000円 で初値がつきます。 マザーズ市場への上場でしたので投資家も市場の動きに着目していました。 そこへ大量の売りが出て、3分後の9時30分に 57万2000円 となりストップ安になります。

大量売りの異変から投資家が誤発注に気づき買いが殺到。 みずほ証券はあわてて買い戻しに出ますが、初値が出てから16分後の9時43分ストップ高に。 結局 約13万株が買い戻せませんでした。 16分あまりの出来事で 270億円 の損失になってしまいます。

■ 誤表示でも契約は成立 ■
株式市場では、株券がなくても売買ができる『空売り』制度があります。

このため ジェイコム株の発行済み株式数は 1万4500株 ですが、株式数を上回った売買契約でも成立しており、契約無効を訴えるのは難しい状況です。

また同じ株式市場では、2001年11月に誤発注事件がありました。 東証へ上場した電通株を同様に『61万円 16株』の売り注文を『16円で 61万株』と誤発注し、損失を出した証券会社があります。 今回はこの事例がいかされませんでした。

■ 原因はどこに? ■
そもそもはポカミスでしたが、みずほ証券では入力された金額が市場価格と隔たりがある場合、警告が出るシステムを設置していました。 ところがよく警告が出るため、慣れの中で無視してしまいました。

すぐにミスに気づいて東京証券取引所へ『1円』の売り注文の取り消し処理を出しました
が、『1円』の価格が『57万2000円』のストップ安の価格に自動更新されていました。

このため 取り消し注文は、この『57万2000円』という価格で出さなければなりませんでした。 みずほ証券ではこれに気づかず 取り消し処理ができなかったようです。

※11日夜 東京証券取引所の売買システムにおける不具合が主因と発表があり、結局 『57万円2000円』でも『1円』でも取り消しができなかったと公表されました。 システムがみなし処理の取り消しを受け付けしておらず、仕様の問題かシステムの構築ミスか原因を調査中。

そうこうする間に市場が大騒ぎとなり、仕方なく買い戻し注文を出すことになりました。

システム的には、どうミスを防げばよいのか考えてみましょう。

■ システムでミスをくいとめるには ■
システムを考える大前提は、『人は必ずミスをおかす』ということです。 みずほ証券でもミスをおかすという前提でシステムを構築していました。 市場価格と隔たりがある場合に警告を出すシステムを用意していましたが、出た警告は無視されてしまいました。

問題は『よく警告が出るため慣れてしまい無視してしまった』ところにあります。

システムを考える時に注意しなければならないのが、警告さえ出しておけばよいという発想です。 警告を出すのは重要ですが、リスクをなるべく減らそうと考えれば、のべつまくなしに警告が出ることになります。

よく警告が出るということは警告の意味がありません。 事例を分析し、警告は出るが現場でよく行う取引などは警告からはずす検討が必要になります。 またフールプルーフの考え方がシステムに取り入れられているかもこちらも検討が必要です。

『フールプルーフ』英語は【fool proof】で直訳すると「愚か者にも耐えられる」。 人間はミスするものを基本に誤った操作をしても、危険にさらされないように設計の段階で安全対策を施す考え方。 デジカメなどで正しい向きでないとメモリーカードが入らなくなっていますがフールプルーフの考え方で設計されています。

■ リスクの重大性によって警告を分ける ■
一つの方法として想定されるリスクの重大性によって警告を分ける方法が考えられます。

まず自社および他社のミス事例を集めてリスク分析を行います。 ミスが発生しても損失はそれほどでもない、会社にとって致命的な損失になるなどリスクの重大性を分析します。

また市場価格と入力した価格とに大きな差異があれば現在も警告が出ていますので、差異価格に入力した株数を掛け算すればリスク金額が想定できます。

ミスが出てもそれほど致命的な金額でない場合は黄色、ミスによってかなり損失が出そうな場合は赤色で表示し、警告を切り分けることで警告に慣れるということをなるべく少なくします。 ただ市場価格が決まっていない場合などは別の対処が必要になります。

■ ダブルチェック体制にする ■
一番効果的なのがダブルチェックです。

株式市場ではスピードが勝負ですが今回のようにミスによって致命的な損失が出るリスクに対しては時間を犠牲にせざるをえません。

多額の損害が発生するおそれがある場合、担当者でなく、ペアを組んでいる同僚や上司にも同様の警告を表示し、二人以上が警告をはずさなければ注文が出ないようにします。

今回の場合は、発行済株式数を大幅に上回った売り注文であったため注文時、銘柄ごとに発行済株式数をチェックして警告する方法が考えられます。 ただしシステムにかかる負荷の問題とのトレードオフになります。

また記録を残し、トレーサビリティが行えるようにします。 これはミスがなぜ発生したのか、システムがどう対応したのか分析できる資料となります。

大切なのはやはり教育と訓練です。 今回も取り消し処理ができていれば損害額もそれほどではありませんでしたが、現場があわててしまい、取り消し処理ができませんでした。 いろいろなケースに対して緊急時どう対応するか訓練したほうがよいでしょう。

■ 自社システムを再チェック ■
今回は証券会社が舞台でしたが、ネットワークによってミスが社外へ瞬時に出てしまう時代です。 電子メールを BCC で送るべきところを CC (同報メール) で送ってしまうのも同じ誤操作です。

人は必ずミスをおかすということを大前提にもう一度、自社システムを見直してください。

・外部へ流れる前にチェックし警告が出るようになっているか
・フールプルーフの考え方がシステムに取り入れられているか
・リスクの重大性によって警告に強弱をつけているか
・重大なリスクがある場合、ダブルチェックが機能しているか
・操作はログに記録され、後でトレーサビリティーが可能か
・緊急時操作など教育・訓練をしているか

以上





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