
写真はニコルソン在日米軍沖縄地域調整官。 中央は翁長知事に謝罪するニコルソン在日米軍沖縄地域調整官 (3月 米兵による女性暴行事件を受けて)。 右は12月 沖縄県名護市安部の海岸に近い浅瀬で大破したオスプレイ。
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会話で双方の思惑違いで行き違いが生じ、互いに “そんな積りじゃなかった”、なんてことは時々あります。 それが同国人の友人や家族でも多いのに、外国人同士となると、時々どころか山ほど “しょっちゅうある” と思って間違いありません。
沖縄県における米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの不時着事故では、米軍トップと副知事の会談で まさに “この行き違い” が生じてしまった感がありますね。
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『沖縄海兵隊トップ “感謝されるべきだ” 副知事 “植民地意識丸出し”』(The Huffington Post 12月14日) __ ※追加1へ
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何が行き違いが生じる前の思惑かというと、抗議を受けた米軍側は「我々はわざわざ遠い米国からやってきて 日本を、沖縄を汗を流して守っている。 今回の事故機のパイロットは住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したのだから、米軍とパイロットにはまず感謝の言葉をもらい (A)、その上で沖縄側から要望や抗議などを受けたい (B)」と考えていたのかも知れません。
抗議した沖縄県副知事側は、「事故が多く発生しているオスプレイについては、元々沖縄配備を認めていない。 今回の事故では住民の住宅や人命に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、改めてオスプレイの飛行停止と配備撤回を求める抗議文を手渡したい。 その際 まず米軍側から謝罪の言葉があった後 (C)、事故機のパイロットが住宅や人命に被害が及ばないよう行動したことを賞賛したい (D)」と考えていたのかも知れません。
報道記事を読むと、副知事側は米軍側のAを考えていないし、米軍側は副知事側のCを考えていません。 これが行き違いの原因ではないでしょうか。
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そもそも 沖縄の米軍基地の件そのものが、日米の了解と、国と沖縄の了解が一致していないことから、ヒトコトではいい尽くせないものであり、中国が沖縄は中国の一部だなどといっているものですから さらに複雑です。 それは、近代以前の沖縄 つまり琉球王国は日中双方 (薩摩藩や明・清) に朝貢していたのですが、明治時代以降に日本に編入されたという歴史的経緯があるからです。
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オスプレイ事故では、お互いにこういう順序で話せば良かったのかもしれません。
米軍側 __「オスプレイの飛行には事故を起こさないよう普通以上に訓練しているが、今回 事故を起こして、沖縄県民に不安の気持ちを起こさせてしまって大変申し訳ない。 今回の事故機のパイロットは住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したのだから、パイロットにはまず感謝の言葉をかけてもらいたい。 その上で沖縄側から要望や抗議などがあれば受けたい」
沖縄県副知事側 __「米軍が沖縄を守っていることには、常日ごろから大変感謝している。 事故機のパイロットが住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したことには感謝している。 ただし 事故が多く発生しているオスプレイについては、我々沖縄県は、元々沖縄配備を認めていない。 今回の事故では住民の住宅や人命に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、改めてオスプレイの飛行停止と配備撤回を求める抗議文を手渡したい」
まぁ実際 こういう話しは後だしジャンケンのようなもので、実際には難しいですけどね。
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ニコルソン氏も全く頭を下げない軍人ではありません。 冒頭写真のように、3月の米兵による女性暴行事件の際には、翁長知事に頭を下げて謝罪しています。 今回のパイロットの事故報告を聞いて、住宅地に墜落しないよう オスプレイを墜落の限界まで持ちこたえさせて、海上に誘導して不時着させたことに よくやったと自分の部下を褒めたい気持ちが強く出たのでしょう。
ただ 副知事との会談で、そうしたことに対して日本側から言及がなかったので、米軍トップという立場での謝罪がどこかに吹っ飛んでいって、謝罪表明をし忘れたのかも __ 実際 この会談後の記者会見では「沖縄の人々に謝罪する」と述べています。 けれど 一旦こじれた会談がマスコミで流れた後では、同じ謝罪でも重みが軽くなり、その価値も殆どなくなってしまった印象ですね。
沖縄米軍トップとしては、行動に思慮深さが足りなかったようです。
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『オスプレイ、午後に飛行全面再開=沖縄知事 “言語道断”』(時事通信 12月19日) __ 事故原因となった空中給油については当面の間、見合わせ、地上でのシミュレーションにとどめる。防衛省沖縄防衛局が同日午前、沖縄県に説明した。
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「ヘリと固定翼の機能を持つ夢のような乗り物だが、飛行時は両者の技術と判断が求められ、操縦は難しいのでは」と防衛省幹部が話す (時事通信 12月16日) ことからして、操縦に難ありの機体ですが、米軍が採用に積極的なのは以下の理由からのようです。
1) オスプレイ胴体サイズは、米海兵隊が兵員・物資輸送に使用している中型ヘリコプター CH46E シーナイトと変わらず、キャビンに25人分の兵員用シートがあり、完全武装の歩兵2個分隊を一度に運べるという輸送力もほぼ同じ。 CH46E は最大速力が時速 265キロ、巡航速力は同 250キロで、いずれもオスプレイの半分強というレベルにとどまり、航続距離に至っては 426キロしかない。 オスプレイの飛行性能は最大速力が時速 509キロ、巡航速力が同 463キロ、最大航続距離 (貨物なし) は 3334キロ。
2) ヘリコプターの能力不足で (イランの首都テヘランで米国大使館職員数十人を救出する) 1979年の軍事作戦が無残に失敗し、米国の威信が地に落ちた手痛い経験があるから。
以上
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会話で双方の思惑違いで行き違いが生じ、互いに “そんな積りじゃなかった”、なんてことは時々あります。 それが同国人の友人や家族でも多いのに、外国人同士となると、時々どころか山ほど “しょっちゅうある” と思って間違いありません。
沖縄県における米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの不時着事故では、米軍トップと副知事の会談で まさに “この行き違い” が生じてしまった感がありますね。
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『沖縄海兵隊トップ “感謝されるべきだ” 副知事 “植民地意識丸出し”』(The Huffington Post 12月14日) __ ※追加1へ
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何が行き違いが生じる前の思惑かというと、抗議を受けた米軍側は「我々はわざわざ遠い米国からやってきて 日本を、沖縄を汗を流して守っている。 今回の事故機のパイロットは住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したのだから、米軍とパイロットにはまず感謝の言葉をもらい (A)、その上で沖縄側から要望や抗議などを受けたい (B)」と考えていたのかも知れません。
抗議した沖縄県副知事側は、「事故が多く発生しているオスプレイについては、元々沖縄配備を認めていない。 今回の事故では住民の住宅や人命に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、改めてオスプレイの飛行停止と配備撤回を求める抗議文を手渡したい。 その際 まず米軍側から謝罪の言葉があった後 (C)、事故機のパイロットが住宅や人命に被害が及ばないよう行動したことを賞賛したい (D)」と考えていたのかも知れません。
報道記事を読むと、副知事側は米軍側のAを考えていないし、米軍側は副知事側のCを考えていません。 これが行き違いの原因ではないでしょうか。
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そもそも 沖縄の米軍基地の件そのものが、日米の了解と、国と沖縄の了解が一致していないことから、ヒトコトではいい尽くせないものであり、中国が沖縄は中国の一部だなどといっているものですから さらに複雑です。 それは、近代以前の沖縄 つまり琉球王国は日中双方 (薩摩藩や明・清) に朝貢していたのですが、明治時代以降に日本に編入されたという歴史的経緯があるからです。
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オスプレイ事故では、お互いにこういう順序で話せば良かったのかもしれません。
米軍側 __「オスプレイの飛行には事故を起こさないよう普通以上に訓練しているが、今回 事故を起こして、沖縄県民に不安の気持ちを起こさせてしまって大変申し訳ない。 今回の事故機のパイロットは住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したのだから、パイロットにはまず感謝の言葉をかけてもらいたい。 その上で沖縄側から要望や抗議などがあれば受けたい」
沖縄県副知事側 __「米軍が沖縄を守っていることには、常日ごろから大変感謝している。 事故機のパイロットが住宅地の上空を通って基地に戻るルートを避け、海上に不時着することを判断したことには感謝している。 ただし 事故が多く発生しているオスプレイについては、我々沖縄県は、元々沖縄配備を認めていない。 今回の事故では住民の住宅や人命に被害がなかったのは不幸中の幸いだが、改めてオスプレイの飛行停止と配備撤回を求める抗議文を手渡したい」
まぁ実際 こういう話しは後だしジャンケンのようなもので、実際には難しいですけどね。
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ニコルソン氏も全く頭を下げない軍人ではありません。 冒頭写真のように、3月の米兵による女性暴行事件の際には、翁長知事に頭を下げて謝罪しています。 今回のパイロットの事故報告を聞いて、住宅地に墜落しないよう オスプレイを墜落の限界まで持ちこたえさせて、海上に誘導して不時着させたことに よくやったと自分の部下を褒めたい気持ちが強く出たのでしょう。
ただ 副知事との会談で、そうしたことに対して日本側から言及がなかったので、米軍トップという立場での謝罪がどこかに吹っ飛んでいって、謝罪表明をし忘れたのかも __ 実際 この会談後の記者会見では「沖縄の人々に謝罪する」と述べています。 けれど 一旦こじれた会談がマスコミで流れた後では、同じ謝罪でも重みが軽くなり、その価値も殆どなくなってしまった印象ですね。
沖縄米軍トップとしては、行動に思慮深さが足りなかったようです。
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『オスプレイ、午後に飛行全面再開=沖縄知事 “言語道断”』(時事通信 12月19日) __ 事故原因となった空中給油については当面の間、見合わせ、地上でのシミュレーションにとどめる。防衛省沖縄防衛局が同日午前、沖縄県に説明した。
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「ヘリと固定翼の機能を持つ夢のような乗り物だが、飛行時は両者の技術と判断が求められ、操縦は難しいのでは」と防衛省幹部が話す (時事通信 12月16日) ことからして、操縦に難ありの機体ですが、米軍が採用に積極的なのは以下の理由からのようです。
1) オスプレイ胴体サイズは、米海兵隊が兵員・物資輸送に使用している中型ヘリコプター CH46E シーナイトと変わらず、キャビンに25人分の兵員用シートがあり、完全武装の歩兵2個分隊を一度に運べるという輸送力もほぼ同じ。 CH46E は最大速力が時速 265キロ、巡航速力は同 250キロで、いずれもオスプレイの半分強というレベルにとどまり、航続距離に至っては 426キロしかない。 オスプレイの飛行性能は最大速力が時速 509キロ、巡航速力が同 463キロ、最大航続距離 (貨物なし) は 3334キロ。
2) ヘリコプターの能力不足で (イランの首都テヘランで米国大使館職員数十人を救出する) 1979年の軍事作戦が無残に失敗し、米国の威信が地に落ちた手痛い経験があるから。
以上