シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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オイストラフのブラコン CD にやっと満足

2016年11月06日 | 渋い作曲家といえば
左帯と中央上がクレンペラー/フランス国立放送管 (1960年 EMI)、中央下と右帯が “ART” マークが入るセル/クリーヴランド管 (1969年 EMI)。 全て自分でスキャンして読み取ったもの。
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オイストラフが独奏するブラームスのヴァイオリン協奏曲で、セル指揮クリーヴランド管と共演した1969年録音 (最後の?) は音質が気に入らず、別録音ものを探してきました。

そこで見つけたのが、クレンペラー指揮フランス国立放送管との1960年録音ものです。 ところが 見つかったのはいいが2つもあり、1つは “ART” とジャケットに明記してあり、もう1つは ART マークはなく “24ビットリマスタリング” と帯に書いてあるだけです。 どちらも日本版。 さあて 迷いましたね __ どちらを選ぶべきか (ハムレットの心境です)。
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「CD の 20bit・24bit マスタリング・リマスター」(B級オーディオファン http://audiof.zouri.jp/y-cd-02.htm) から〜
Abbey Road Technology とは __ 名前のとおりビートルズで有名な EMI のアビー・ロード・スタジオで開発された技術です。 マスターを 24bit のデジタル・データへ変換し、Prism SNS system を使用したノイズ除去などを行い、16bit の CD データに変換します。

 HS2088 とは __ 別名「ハイサンプリング・レコーディングシステム」 20bit/88.2khz のデータを使用してマスタリングを行うもので、データはハードディスクに保存した後に、編集・音質処理されます。 CD の 16bit データへの変換には「Fs-bit コンバータ」が使われ、人間の耳では聞き取りにくい周波数のデータは極力削り、鋭敏な帯域はデータの情報量は多くするという方法が取られています。 東芝 EMI では現在、24bit/96khz のリマスターを行っています。
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ページをめくるように頭の中の記憶を懸命に辿ると、セル/クリーヴランド版のジャケットにも “ART” のマークがあった __ それで 今度は違うリマスター版にしようと、”24ビットリマスタリング” ものを選びました。

開封して中をあらためると、”Remastering Engineer : Yoshio Okazaki” と書いてあります。 これで 日本国内でリマスターしたのが分かりました。 ART はもちろん、英国内でリマスター。 ART が良くないといっているのじゃなく、オリジナル録音がいいかどうかの違いだと思います。 ですから どちらを選んでも、恐らく同じ (つまり セル/クリーヴランド版よりも) いい音質だっただろうと思います。

実際に聴いてみると、セル/クリーヴランドで聴いた1・3楽章の “音割れ” はなく、オケの強奏でも歪みがありません。 勿論 1960年録音ですから最高の音質ではありませんが、十分な音質です。 良かった。
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さらに音質を追求するなら、EMI を買収したワーナー盤の CD でも発売されているそうですから、これも聴いてみたいですね。 

あと コンヴィチュニー指揮シュターツカペレ・ドレスデン伴奏による1954年録音は、DG オリジナル CD で復活していますが、もうショップには置いてありませんでした。 YouTube に投稿されていますから、これも聴いてみようかと思っています。

こう書いてくると、高音質 SACD をリマスターして発売するエソテリックが、オイストラフのブラームスのヴァイオリン協奏曲に選んだのが、”セル/クリーヴランド版” だったのが不思議に思えてきます。 選別者はちゃんと聞き分ける “高音質の耳” を持っているのか疑ってしまいます。

想像するに、毎月毎月 何枚もルーチンワークで仕事していると、多くの類似版を聴いている暇がなく、つい締め切り時間に追われて最後の録音年のを選んでしまったのかと思います。 まぁ 宮仕えしてるとね、そういうこともありますって。 It’s not unusual. (よくあることです)。

ですから 信頼するのは、最終的に “自分の耳、自分の感性” ですよ。 有名な CD 企業が発売しているから、有名な演奏家が演奏しているから、有名な批評家が褒めているから、これだけで選んではいけません (雑音を排除して、自分自身を信用しましょう)。
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ここで 作曲の過程、初演時の評判などを拾い読みしたので追加しておきます。
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ウィキペディアから __ ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77は、1878年に作曲された。 ベートーヴェンの作品61、メンデルスゾーンの作品64と並んで3大ヴァイオリン協奏曲と称されている。 構成、各主題の性格などベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の影響が強い。

 交響曲第2番の翌年という、彼の創作活動が頂点に達した時期にあたり、交響的な重厚な響き、入念な主題操作、独奏楽器を突出させないバランス感覚、いずれもブラームスの個性が存分に表現された名作となった。
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ブラームスの伝記などを読むと、40歳を過ぎて推敲に推敲を重ねて 完成させた1876年の交響曲第1番の成功を受けた後は、幸せな時期だっただろうと思います。 実際 翌77年には交響曲第2番が、そして78年にヴァイオリン協奏曲と、連続して大作を世に送り出し、これら2曲で聴かれるのは、幸福感や喜びに溢れるものに近いと想像できるからです。
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同上 __ 1877年9月に バーデン=バーデンでブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番をサラサーテが演奏するのを聴いた時が、作曲動機であるとされている。 しかし ブラームスはヨアヒムが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に感銘を受けており、それが作曲動機でもある。

 78年8月 避暑地ペルチャッハ (オーストリア) で本格的にヴァイオリン協奏曲の作曲を行った。 9月 ヨアヒムはブラームスの元を訪れ、この曲について議論をしている。 10月中旬に ヨアヒムはブラームスを説得し、翌79年のライプツィヒでの新年のコンサートでこの曲を初演することを決めた。
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さらに「ヨアヒムは自分でカデンツァを作り上げて張りきっていた」(音楽之友社 名曲解説 協奏曲 ※) そうですから、この協奏曲は、友人の大ヴァイオリニスト ヨアヒムが、その作曲過程で大いに関わっていることが分かります。 
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同上 __ 1879年1月1日 ライプツィヒにて、ヨアヒムの独奏、ブラームス指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により演奏された。 大成功で、音楽批評家からも絶賛された。 この初演の1週間後にはブダペストで、さらに翌週にはウィーンで、いずれもヨアヒムの独奏により演奏され、好意的に受け容れられた。

 ※ から __ 急いで仕上げ、練習も不十分だったにも関わらず、初演はかなりの大成功をおさめ、相当の大好評を博した。 ヨアヒムはロンドンをはじめとして 各地で何回となく演奏し、自己のレパートリーに加えた。
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私が好きなこの曲で 特に好きな部分は第2楽章アダージョで、ヴァイオリン独奏の前のオーボエが主旋律を披露しますが、牧歌的で いかにブラームスの心が高揚感で満たされているかを感じ取ることができます。 楽章最後の部分で ヴァイオリンが切々と、長い静かな高音域で終わるのも実に魅力的です。
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オーボエが優美な牧歌風の、一抹の北国的な寂しさを持った旋律を出し、続いて独奏ヴァイオリンがこの旋律を装飾して美しく柔らかく奏する (※ から)。

 「オーボエが旋律を奏でて聴衆を魅了しているというのに、自分がヴァイオリンを持ってぼんやり それを眺めていることに我慢がならない」とサラサーテが語ったといわれる (ウィキから)。
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第1楽章の最後の前にカデンツァが置かれていますが、ブラームス自身は書いていないため、多くのヴァイオリニストがカデンツァを書いています。 主なものに 初演者のヨアヒムやフリッツ・クライスラーがありますが、殆どはヨアヒムのものが演奏されます。

私の手持ちで ヨアヒム以外のものは、ナージャ (クライスラー)、ミルステイン (ミルステイン)、クレメル (レーガー)、クレメル (エネスコ) くらいで、他は全てヨアヒムのものです。

あんまり 大きな違いはないと思うんですけどねぇ __ まぁ これはシロウトのタワゴトで、プロのヴァイオリニストにしてみれば、自分の感性に合ったカデンツァを弾きたい、ヨアヒムのは弾き過ぎて飽きた (?) んでしょうか。

以上

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