シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

結末が物足りない小説 Coma と Brain

2017年12月03日 | アート/書籍/食事
左から 映画 Coma の J. ビュジョルド、M. ダグラス。 小説「コーマ」(ロビン・クック原作/林克己訳 ハヤカワ文庫)。 小説「ブレイン」(同 ハヤカワ文庫)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小説『Coma』では 女子医学生 (ヒロイン) が、所属するボストンの大病院内の特定の手術室で 患者が連続して昏睡に陥る不自然さを調査する過程で、病院側からの様々な妨害 (“殺し屋” まで登場する) にもめげず、その原因を暴いていく痛快なサスペンス小説です。

しかし 原作者は、誰もが望む結末 (正義が悪を懲らしめる勧善懲悪) を華々しくは描かず、ヒロインが一服盛られて意識が混濁し、問題の手術室で危うく黒幕の犠牲者 (Coma) になりかける土壇場で、中堅医師 (ヒーロー) が救援に駆けつける途中シーンで終わるのは少し物足りない気がします。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
ウィキペディアから __『コーマ』(Coma 昏睡状態) は、1978年の米国の 医療を舞台としたサスペンス映画。 113分。 カラー。 監督/脚本マイケル・クライトン、原作ロビン・クック、音楽ジェリー・ゴールドスミス。 マイケル・ダグラス、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド、リチャード・ウィドマーク出演。 予算 $4M、興収 $50M (※追加1へ)。
★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★
映画は見ていませんが、原作よりもっと劇的にヒロインが救われて 黒幕がヒーローにぶっ倒されるか逮捕されて、ヒロインが覚醒して終わるという展開にしたんじゃないかと想像します。 でないと 観客の溜まっていた不満のはけ口というか、手に汗握るスリルからの解放感がありません (YouTube で見たら 警官2人が手術室の外から『待っているんですけどね … We’re waiting for you, Doctor …』でした)。

予算の10倍以上の興収を稼いだからには、そうした 観客が求めるに足る スカッとした結末展開 (ハッピーエンド) があったはずです。 “針金で吊るされた昏睡患者” が小説の表紙に描かれ、映画スチル写真 (冒頭) にもあるのが印象的です。

TV 伴奏音楽のような J. ゴールドスミスの BGM は、後年の「氷の微笑」ほど洗練されていませんが、緊迫感ある曲調はこの映画によく合っています。 病院電算機の CRT 表示で、黒画面上に緑のキャラクター文字が出てくるのが懐かしいです。 また 映画全体の雰囲気は同じ監督の『ウエストワールド』(1973) に似ていましたね。
………………………………………………
ロビン・クックのもう1作『Brain』(脳 1981年出版) は、もっと結末の出来が悪く、これでは読者の不満が解消されません。 病院内で脳が侵され 植物人間になっていく若い女性患者の複数例を追いかける医師がヒーローですが、原因追求過程の最後で 犯人とその犯行理由が暴かれます。

しかし これも勧善懲悪とはならず、ヒーローが犯罪者側に否応なく とり込まれてしまうという、読者には鬱憤のやり場がないラストシーンでは、もやもやした不満が残るばかりです。 Coma の二番煎じの印象もあり、しかも不完全な結末ときては 映画化されなかったのも当然でしょう。 スリルとサスペンスの度合いは、少し物足りなかったですね。

以上


追加1 _ 医師らが臓器移植、臓器売買を悪用し、金儲けのために秘密裏に患者を殺している可能性に対する警告が織り込まれた作品。

映画ストーリー … 女医のスーザンは、ボストン記念病院で働いている。 彼女の恋人で医師のマークも同じ病院で勤務している。

同病院は大病院で、非常に頻繁に手術が行われている。 ある日 スーザンの親友のナンシーが、ごく平凡な中絶手術を同病院で受けることになった。 ところがナンシーは手術を受けたあと、覚醒せず昏睡状態 (植物状態、脳死状態) に陥ってしまった。 親友を失ったスーザンはひどくショックを受けた。

同病院では、親友ナンシーの死と同時期に右ひざ関節の手術を受けた若い男性も、植物状態に陥るという事故が起きていた。 同病院において軽い手術を受けただけの人間が次々と植物状態になってしまうことにスーザンは疑念を抱き、調べてみることにした。 まずは親友ナンシーのカルテを見てみようと担当麻酔科医のジョージにそれを頼んだのだが … _中略_

スーザンは、意識が朦朧としたまま、無力な患者として 第8手術室へ運ばれてゆく。 手術室に運び込まれる寸前、恋人のマークが駆けつけてきた。 マークに対し、残る力をふりしぼって、か細い声で手術を止めさせよう、助けてもらおう、とするスーザン。 だが 盛られたクスリのせいで声が十分に出ず、いおうとしていることがマークにうまく伝わらない。 手術室に運びこまれてしまった …

以上

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。