シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

感動と技術進歩は比例しない?

2023年01月15日 | カリスマは死せず
DG 盤カラヤン BPO のベートーヴェン交響曲全集3種 (’60年代・’70年代・’80年代)
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去年秋 ユニクロで綿のセーターを買いましたが、3千円ほどでした。 そういえば 半世紀前の学生の頃買った 同じようなセーターは千円ほどだったかと思い出しました。 その頃の大学出の初任給は4~5万だったと思います。

今の4~5分の1ですね。 そうすると 今 セーターが4~5千円してもおかしくないはずです。 セーター価格は3倍になったが、4~5千円でないのは、半世紀前 縫製は日本人がやっていて、今は新興国の人がしていますから、人件費の差で3倍で済んでいるのでしょう。
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60年前 中学生の頃 購入したカラヤン BPO のベートーヴェン交響曲全集 (’60年代前半録音・独 DGG LP ※1) は当時定価 1.5万でした。 その数年前 父が購入したクリュイタンス BPO ベー全集 (’50年代後半録音・東芝 EMI LP ※2 後述) は定価 1.1万でした。 どちらも8枚ステレオ LP の箱もの重量級です。 カラヤン盤には「さすが輸入盤で凄く音がいいなァ」と大感激、お値打ち品だと納得したものです。

45年ほど前 購入したカラヤン BPO のベー交響曲全集 (’70年代後半録音・独 DG LP ※3) は 1.8万でした。 ※1は今の物価感覚からすると 15万、※2は 11万、※3は5万と推測します。 この辺りの値付けは „私の独断“ です。

30年ほど前のカラヤン BPO の最後のベー交響曲全集 (’80年代デジタル録音・独 DG か国産 CD ※4) は購入しなかったので、発売当時の価格は正確には覚えていないのですが1万数千円 (?)、今の価格は1万弱らしいです。

すると カラヤン BPO のベー全集は、60年前ものが 15万、45年前ものが5万、30年前ものが1万と推移しているといえます。 けれど LP → LP → CD と媒体が変わり、品質 (その時々の録音技術による音質) が向上している一方 絶対価格は殆ど同じなのに „相対価格“ は下がっています。 相対価格が下がったのは、愛好家が増えて大量生産によるコスト減、技術向上によるコスト減効果があったためです。

一方で 1枚もの LP 価格は、60年前@¥2,000、45年前@¥2,800、30年前@¥3,800 と上がっています (この辺りの価格は „ざっと“ です)。 45年前の値上がりは石油ショック後のコスト増、30年前の値上がりは CD 登場後の LP 生産数減によるコスト増です。
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現役指揮者が、ライヴものやエアチェック、プライヴェート録音、映像ものなどを聴き比べての個人的評価を YouTube 動画で投稿しています__『カラヤンのベートーヴェン交響曲全集きき比べ! 全部で何種類? その違いは? Karajan【ヒストリカル解説 Vol.45】お話:徳岡直樹』(2022/09/21 https://www.youtube.com/watch?v=RI9SWPQcV9w)。「カラヤンが DG・EMI を支配、2社は録音・発売させていただくだけだった」の発言が面白いですね。 70~80年代の状況で、当たらずとも遠からずでしょう。

そしてよくも こんなにも膨大な記録を集めて聴いたもんだなぁと、まずぶったまげます。 本業が指揮者だからこそ 色々と様々な角度から評価できるのでしょう。 結論的には、60年代の最初のステレオ録音が最もいいと断じています。

世の中の評価も、おおかた同じかと思います。 もっとも これも私の感じた総論ですから、違う感覚をお持ちの方もいると想像します。 それはそれでいいのではないでしょうか? 絶対評価など あり得ないのですから。
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良くないと思うのは、意見の押し付け、他人への否定意見の押し付けです。 あなたはそういうけど、私はこう思う、という程度は許容範囲ですが、あなたの考えや物言いはおかしい、絶対こうであるべきというのはいただけません。 多様性を尊重すべきではないかと思います。

ブログなどへの 読み手からの書き込みで、こうした主張が見受けられます。 大体において、こうした書き込みをする人は、“挨拶もなく“ 自説をまくしたてる人が多いように感じます。 もっと礼儀をわきまえて、ブロガーを尊重しながらの書き込み・主張が望ましいと思います (もちろん ブロガーの主張そのものが、ある人物・団体・事象への一方的・独断的・排除的・非難的意見だとしたら、これも問題ですが)。


クリュイタンス BPO ベートーヴェン交響曲全集 LP  (赤い色で やや透き通っている東芝 EMI 盤で60年以上前に発売されたもの) とフランス製 CD 。
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十年ほど前 私が見つけて入手したクリュイタンス BPO ベー全集 CD 盤 (上右) は 1,100円でしたから、相対価格は ’50年代後半発売時の百分の1になってしまったともいえます。 需要と供給の関係から、また技術向上によるコスト変化から、1,100円でないと売れないんでしょうね (この話しは、既に2019年4月21日『半世紀以上前の LP セット価格は100倍の感覚』でも書いていますから、自分でもクドイと思いますが ご勘弁を)。

クリュイタンス盤の演奏について付け加えると __「第7をきく。 実に整った演奏である。 だが、ちっとも面白くない。 この演奏の弱点は、ダイナミックな上での変化と、テンポの上での動きとの間に、何の繋がりもないのである。 もしクリュイタンスのベートーヴェンを古典的と呼ぶとすれば、それは動的であるよりも静的な様式のそれであろう」__『世界の指揮者』(吉田秀和著 ラジオ技術社 昭和48年刊から抜粋)

そういわれれば、確かにそうともいえます。
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今 Blu-ray 盤1枚でカラヤン BPO のベー全集が発売されています。 外見は CD と同じです。 これを見ると、15万でも価値があった60年前の全集ボックスは一体何だったのかと考えさせられてしまいます。

パチパチノイズもなく、取り扱いも遥かに楽な CD・Blu-ray ですが、出てくる音楽を聴いた時の感動は、“LP 時代の方が逆に大きかった“ と思います。 不思議なものですね。 感動と技術は比例するとは限らないのかも知れません。

今日はここまでです。

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