シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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カラヤンの映像ものの音質は …

2023年06月29日 | カリスマは死せず
左から 1960年制作の『ばらの騎士』映画ポスター、67年制作の『カルメン』DVD ジャケ、68年制作の『第九・第六』映画ポスター。  
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カラヤンは録音だけでなく 映像収録まで活躍の範囲を広げ、クラシック音楽の普及に努めました (… というか 目ざとい御大はそこにも商機を見出したのでしょう)。 きっかけは、日本に演奏旅行に来日した時、自分の演奏会の録画がテレビに流れているのを見て、演奏会ではせいぜい二千人だが、テレビなら何万人もの人が聴衆になると気づいたともいわれています。

そうして制作されたクラシック音楽の映像作品が、70年前後に『ばらの騎士』『カルメン』『第九・第六』(全てカラヤン指揮) などがヤマハホール他で上映され、見に行った記憶があります。 クラシック音楽の観客人口が圧倒的に少なく、一般映画館には掛からなかったんですね。 第六は演奏映像というより、凝った映像の映画的作品ですね。

一方で それらが少しずつメディアでも提供されるようになります。 メディアといっても安価なビデオテープが普及する前でしたから、確かUマチック規格ものでポニーキャニオン社から数本で25万円もするバカ高いものでした (あまり売れたとは思えません)。

その後 VHS・ベータ版の安価なビデオテープの時代に入り映画ものが普及してきましたが、元々音質が良くないメディアでしたから クラシック音楽の VHS・ベータ版ビデオは殆ど出なかったと記憶しています。
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70年代の中頃になると 音質の良いレーザーディスク (LD) が普及してきて、クラシック音楽ものの LD も多く発売されるようになります。 それでも LP 音質に慣れた私には、若干の違和感がつきまとっていると感じたものです。 けれど これは映像ものであり、音楽だけの LP とは違う別物だからと自分を納得させていました。

カラヤン指揮のベートーヴェン交響曲全集 (70年前後の収録)・チャイコ4~6番・P協1番・『ばらの騎士』『ラ・ボエーム』『オテロ』『ラインの黄金』、バーンスタイン指揮ツィンメルマンのブラP協1~2番・クレメルのブラV協、レヴァイン指揮の『ワルキューレ』『ジーグフリート』『神々の黄昏』『パルシファル』などの LD を買いましたが、(残念ながら映像ものは一度見ると早く飽きる傾向があり) 繰り返し鑑賞は余りしないです。
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今回 『カラヤン大全集』CD・DVD 360枚購入後 未視聴だったベートーヴェン交響曲全集 DVD から7~9番を、“映像を見ずに“ 聴いてみました。 音声は7~8番が71年 EMI の録音クルーによる収録、9番が68年収録 (録音クルー不明) です。 全体的に音が硬く、70年代半ば収録の LP 盤よりも、また60年代初期収録の LP 盤よりも音質がやや劣ると感じました。

これらから なぜ映像ものの音質があまり良くないのか考察してみました。 自分なりの結論としては __ 1) 映像作品に求められるのは先ず “映像品質“ であり、音声品質ではない。 2) 映像ものだからといって 制作に掛けられる予算が LP より多いとは限らず、ほぼ同程度と思われる。 3) すると 限られた予算から映像編集に予算の殆どを回し、音声編集には少額の予算しか回らないことになる。 4) その結果 音声編集では (高レベル音質にしても評価されないから) 音質が低レベルのままに据え置かれる。
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__ というわけです。 60年前後までの映画音楽のサウンドトラック盤などを聴くと、あまりに音質が悪いのでびっくりしたものです (59年の『ベン・ハー』や63年の『007 危機一発』など)。 それに比べ 60年初期のカラヤン BPO のベートーヴェン交響曲全集 LP などの高音質には感激しました (ドイツ直輸入盤だからだろうと自己納得していました)。

ですから 納得できる音質のクラシック音楽ものを求めるなら、映像ものではない 音声だけのメディアを購入した方がいいと断言します (もっとも 最近は映像・音質ともに収録品質が向上してきており、どちらも素晴らしい品質ものが増えていますが … 玉石混交ですから よく吟味して選ぶのに越した事はありません)。

今日はここまでです。

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