*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。14回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第1章 オフサイトで起きていること
アメ玉の限界
(前回からの続き)
富岡町の状況は、大熊、双葉町とは異なる。大熊、双葉町は、町のほぼ全域が帰還困難区域に指定されているのに対し、富岡町は帰還困難区域と居住制限区域、避難指示解除準備区域と、3つの区域にすっぱり分かれている。帰還する、しないについて、町内で温度差があり、東電の賠償金をめぐる不公平感も大きく渦巻いている。原発関連の仕事に従事する人の割合も、大熊、双葉町に比べると低く、商業を営んでいた人も多い。帰れる見込みがほとんどなく、帰ったとしても福島第一原発が廃炉になる以上、仕事もないという状況の人が大熊、双葉町では多いのに対して、富岡町では帰れる見込みがあり、戻って商いを再開させることが可能な人も少なからず存在する。そうした人にとって、指定廃棄物処分場の建設は死活問題だ。
国が国有化の方針を打ち出さなかったことについても、町民から不満の声が上がった。中間貯蔵施設は当初から国有化する方針だったが、指定廃棄物処分場については民間の管理型処分場に業務委託し、国有化はしない方針だった。施設の安全性に対する不安と責任の明確化を理由に、国有化するべきだという意見が強かった。
---P89の図表から
図表7 各都県の指定廃棄物の量
岩手 475.6
宮城 3405.8
山形 2.7
福島 138490.6
茨城 3532.8
栃木 13533.1
群馬 1186.7
千葉 3690.2
東京 981.7
神奈川 2.9
新潟 1017.9
静岡 8.6
合計 166328.6
出展:環境省・放射性物質汚染廃物処理情報
※単位:トン。2015年9月末時点
---ここまで
※「アメ玉の限界」は次回に続く
2016/7/6(水)22:00に投稿予定です。
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