原発問題

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『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~一次下請け企業~> ※22回目の紹介

2016-07-20 22:20:08 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。22回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第2章 原発と生計

一次下請け企業

(前回からの続き) 

 社長の谷川さんは2013年、創業者の父の跡を継いだ。大熊町に生まれ育ち、千葉県の大学を卒業した後、東京で3年間サラリーマン生活を経験し、Uターンした。会社は富岡町にあったが、結婚後、いわき市にアパートを借りて会社に通っていた。「創業者が長い間社長職に就いている会社には未来がない」という父の経営理念で、若くして社長の任を譲り受けた。跡を継ぐにあたって、「年齢的には他の選択肢もあったが、実際に経営に携わるようになって、今更投げ出せなくなった。むしろこれから迷うことが多いかもしれない」と語る。

 柏崎の事業所は、再稼働に向けた東電の働きかけもあって、2013年6月に再開した。だが、福島第一原発の廃炉が決まり、第二原発の運転再開も見込めない。今後、国の原発政策がどのようになるのか、先が見通せない中、経営の課題は山積みしている。最大の課題は人事の育成だ。メンテナンスの仕事は5年程度の経験が必要だ。原発事故後は毎年高卒、大卒を採用し、資格を持つ熟練の技術者に経験の浅い従業員を見習いでつかせ、技術を学ばせていた。新しいメンバーを育てるため、新卒の採用を検討しているが、長期的に現場勤めができる人材を確保できるかむずかしい。(略)

 孫請け会社

 2014年夏、郡山市。中井昭三さん(70歳)は郡山市発注の除染作業を行っていた。

「うわあ、こんなあ」。放射線量の測定結果を見て驚き、思わず声を上げそうになった。線量計は毎時15マイクロシーベルトを示している。除染作業中、「いやあ、ここは線量が高いなあ」とは絶対に言わないように指示されている。だが、近くには幼稚園があり、中井さんら作業員は夏場でも長袖にマスクをしながら作業しているというのに、子供たちは半袖で遊びまわっている。「子供達がかわいそうだとつくづく思った」。

 ※「第2章 原発と生計「孫請け会社」」は、次回に続く

2016/7/21(木)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


7月19日(火)のつぶやき

2016-07-20 02:30:27 | つぶやき