2015年7月8日のブログ記事一覧-原発問題

『世界が見た福島原発災害』コンピュータによる事故解析モデルが示すもの ※４回目の紹介

2015-07-08 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

＊『世界が見た福島原発災害』著者：大沼安史

「第７章安全コード」を複数回に分け紹介します。４回目の紹介

　福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されることになってしまう。

　本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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＊＊『世界が見た福島原発災害』著書　「第７章安全コード」の紹介

前回の話：『世界が見た福島原発災害』コンピュータによる事故解析モデルが示すもの ※３回目の紹介

　政府は解析を隠している？

　しかし、ニューヨーク・タイムズによれば、こうした「原発事故向けのコンピューター事故解析モデル」を開発・保有する研究機関や企業は、世界中に数十もあるというから驚かされる。「アレヴァ」はそのうちのひとつに過ぎず、「カタリ」もまた数十ある事故解析モデルのひとつにすぎないわけである。

　ここから次のような結論が、別にコンピュータを使わなくともかんたんに導き出される。

　世界ではいま、数十もの政府・民間の研究機関・企業が入力データを更新しながら、「フクシマ」の現状を解析し、今後を予測しているのだ。

　放射能雲などの拡散予測だけが行われているわけではなく、「フクシマ」の事故そのものに対しても、「コンピュータの眼」は注がれているのである。

　「カタリ」以外に、ほかにどんな解析モデルがあるのか？ー。

　ニューヨーク・タイムズによると、たとえば米ニュージャージー州モンヴィルにある「マイクロ・シュミレーション・テクノロジー」社の解析モデルもそのひとつ。

　このモデル解析によると、「フクシマ」の炉心温度は２２５０℃以上に達している。炉の金属の多くを溶かしてしまう温度だそうだ。

　同社の社長はこう言ったそうだ。「炉心の一部が融解している。『フクシマ』は最初からずっとひどかった。水なし、注水なし。だから解析は、むしろ簡単だった」

　シカゴの「フォースク＆アソシエイツ」社には、ロバート・ヘンリー氏が開発した「モジュラー・アクシデント・アナリシス・プログラム」というのがある。

　ヘンリー氏は、「フクシマで部分的な炉心融解が起きていることを、私達は最初期からつかんでいました」と語ったそうだ。

　こうしたコンピューターによる原発事故解析モデルは、この業界では「安全コード」と呼ばれているそうだ。

　事故分析のモデルとしては不適当な呼称のような気がするが、いま「フクシマ」の事故と日々向き合っている私たちにとって問題なのは、この「安全コード」の存在すら、私達が知らされていないことだ。

　政府や研究機関、大企業は「フクシマ」の「ヴァーチャルな真実」を最初から見続けていたのに（これからも見続けるのに）、私たちはほとんど「カヤの外」に置かれ、「安全コード」の描く「フクシマの真実」から遠ざけられている。

　これまたひとつの「フクシマ」をめぐる「情報の落差」と言いうるものだろう。

　ニューヨーク・タイムズの記事にこうあった。

　米国の原子力既成委員会（NRC)は、ニューメキシコ州アルバカーキにあるサンディア国立研究所が開発した「安全コード」を使って、全米すべての原発の事故をコンピュータ解析できる態勢をとっている。

　「安全コード」は、日本にもいくつかある。

　「SPEEDI」を公開しなかった日本政府はおそらく「いくつかある」はずの「安全コード」による解析も隠しているのだ。