*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第14章 ミステリー」を複数回に分け紹介します。4回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第14章 ミステリー」の紹介
前回の話:『世界が見た福島原発災害』第14章 ミステリー ※3回目の紹介 <地震で冷却水を喪失した1号機>
非常用ディーゼル発電機はツナミでも生きていた
「フクシマ」の事故の真相に関して、最後にひとつ、今後の検証の材料として「非常用ディーゼル発電機」と、発電機のディーゼル燃料「貯蔵タンク」をめぐる疑問点を提示しておこう。
私がこの疑問にこだわるようになったひとつのキッカケは、米国の「憂慮する科学者たち」が運営する「オール・シングス・ニュークリア」サイトに4月1日に載った1枚の写真を見たことによる。事故後の「フクシマ」を空撮した数枚の写真の1枚を見て、「燃料タンク」が消えていることに気付いたのだ。発電所の「1~4号機」部分(区域)の岸壁のすぐそばに2基並んであった白い「燃料タンク」が津波で流されていたのだ。
私の疑問は、その1枚の写真から出発した。
それからしばらく経って、4月14日付の日経新聞の電子版に、こんな記事が出た。「東電、余震対策で非常用発電機を高台に移送」。
東電は14日、東日本大震災の余震が相次いていることを受け、福島第一原子力発電所で非常時に電気を供給するディーゼル発電機を現在よりも海抜が10メートル程度高い地点に移す作業を始めると発表した。
「フクシマ」のディーゼル非常用発電機は各号機の海側のタービン建屋内に2台ずつあったはずだ。それを高いところへ移す・・・。移設作業は15日に終了。
私はこの記事を読んで驚いたのだ。薄々感じていた疑問が、いっぺんにカタチを取り始めた。
私の疑問は、移設された「ディーゼル発電機」と、「福島第一発電所」の1~4号機部分の最も海寄りにあったーそれも岸壁の海際に建っていた、例の白い2基の重油タンクをつなぐものだった。たぶん地震の振動で損傷し、津波でもっていかれてしまった、空撮写真から消えた、あの2つの白い燃料タンク!
私が日経の「高台へ移送」の記事を読んで驚いたのは、ほかでもない。
実は私の中に、「津波をかぶって動かなくなった発電機」のイメージが、いつの間にかできあがっていたのだ。潮水をかぶって使い物にならなくなった「発電機」のイメージが、いつの間にかできあがっていたのだ。
そのディーゼル発電機が移設されたということは、地震・津波によるダメージが軽微であるか、皆無であったことを意味する。
そこで私は遅ればせながら、ある可能性に気付いたわけだ。ディーゼル発電機は外部からの送電停止のあと正常に動いていたのではないか? タンクの流出による燃料切れで止まっただけのことではないか?
そして私の推測は、次の東電の報告書を知ることで、まもなく確証されることになる(何のことはない、私が知らなかっただけで、非常用発電機が事故後、動いていたことは周知の事実だったわけだ)。
※続き「第14章 ミステリー」は、7/31(金)22:00に投稿予定です。