*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史
「第14章 ミステリー」を複数回に分け紹介します。1回目の紹介
福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。
本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。
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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第14章 ミステリー」の紹介
第14章 ミステリー
無音爆発映像のミステリー
「フクシマ」がINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)の「レベル7」、「深刻な事故」に引き上げられたのは4月12日のことだ。それから4日後の16日、私は英紙ガーディアンの「フクシマ・データ・サマリー」を覗いた。
このガーディアンの「フクシマ・データ・サマリー」は3月18日に同紙の電子版に解説され、更新が続いているもので、事故のデータを確認する上でとても役に立つ。
サマリーの表のチェックを終えようとして、私は思わず声を上げた。表の一番下に、私の思い込みの間違いを告げる、数字が並んでいたのだ。
7・7・7・3。
1号機・レベル7 2号機・レベル7 3号機・レベル7 4号機・レベル3−
私は「フクシマ」が全体で「レベル7」評価になったと思い込んでいた。
違っていた。INESの事故評価は各号機(炉)につくものだった。
同じ「レベルの7」の「チェルノブイリ」は、ひとつの炉だけの爆発事故。しかし、「フクシマ」は、「7」が3つも並んでいる!
「チェルノブイリ」×3(3倍)プラス「レベル3」×1=「フクシマ」
背筋が寒くなった・・・。
日本政府が事故直後から「フクシマ」の災害規模のスケールダウンを図り続けて来たのは、前述の枝野官房長官の「爆発的事象」「ポン」発言ひとつ取ってみても明らかである。「爆発音」はふつう「ドン」「ドカン」と響くものだが、「爆発的事象」では「ポン」と聴こえるらしい。
「フクシマ」で起きた一連の爆発は建屋も吹き飛ぶ、すさまじいものだった。たぶん、相当な爆発音が響き渡ったはずだ。しかしその爆発のありさまは、遠くからとらえた「映像」として報じられていたのみで、「爆発音」が聞こえる「音つき」の報道を視聴することはなかった。少なくとも、私の場合はなかった。
新聞は音を報じられないから仕方ないが、テレビやラジオなら映像と同時に音声も伝えられる。しかし電波で報じられた「爆発の瞬間」は、まるで無声映画のような無音の映像ばかり。
だから私は(私もまた)爆発音の録音はなかったものと思い込んでいたわけだ。ユーチューブにアップされた、英国スカイ・テレビが報じた、「3号機爆発シーン」の映像を観るまでは・・・。
観ていただければわかるように、すさまじい爆発音が3回、聞こえる。3回目の爆発音が聞こえたあと、ズーンと響くような音がする・・・。
「爆発音」が「ポン」と聞こえるものではないことは、今や明らかであろう。
この「フクシマ」の「無音爆発報道」のミステリーは、未だ解かれていない。
「フクシマ」でほんとうのところ何があったのか? 何が起きていたか? 事故の実像はどのようなものであったか?
これは「フクシマ」をめぐる日本政府の報道規制の問題を含め、今後、徹底して検証されねばならないことだ。真相は究明されなければならず、そこに事実の隠蔽、湾曲があってはならない。
※続き「第14章 ミステリー」は、7/27(月)22:00に投稿予定です。