2015年7月17日のブログ記事一覧-原発問題

『世界が見た福島原発災害』第１３章カク・ミチオ教授の警告 ※２回目の紹介＜避難指示も何もなかった＞

2015-07-17 22:02:48 | 【世界が見た福島原発災害】

＊『世界が見た福島原発災害』著者：大沼安史

「第１３章カク・ミチオ教授の警告」を複数回に分け紹介します。２回目の紹介

　福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されることになってしまう。

　本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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＊＊『世界が見た福島原発災害』著書　「第１３章カク・ミチオ教授の警告」の紹介

前回の話：『世界が見た福島原発災害』第１３章カク・ミチオ教授の警告 ※１回目の紹介＜原発難民＞

　避難指示も何もなかった

　この「ヒロシマ」と「フクシマ」に共通するものについては、あとで見ることにして、話を元に戻すことにしよう。事故発生当日およびその翌日ごろまでの現地の状況を振り返ってみたい。AP通信が「スクープ」として３月２２日に、全世界に流した特ダネ記事を元に、当時を思い返すことにする。

　APのスクープのタイトルは「原発事故の準備はできていなかった」。

　AP通信もまた避難した周辺住民数十人にインタビューを重ね、事故当時の模様を取材したわけだが、その結果がこれだった。

　３月１１日、地震に襲われた住民たちは何年もの間、地震避難訓練を続けているので、その対処の仕方は知っていた。

　自分で自分の身を守り、地震が収まると、津波の襲来に備え高台に走った。

　しかし福島「ダイイチ」から放射能が漏れているという言葉が届いた時、住民たちは困惑した。避難すべきか、屋内に留まるべきか？　水を飲んでいいのか？　食べていいのか？

　政府・東電はそれまで「安全だ、安全だ」の大合唱を続けていた。「原発は安全」を意識にすり込まれた住民が、原発の恐怖に突然、直面させられた時の驚きは相当なものだったろう。

　AP通信は取材の結果、こう結論付けた。

　事故が起きたとき、放射能の脅威をどう回避したらいいか、一切何も知らされていなかった！

　「国民」を訓練することが大好きなこの国は、「いざフクシマ」が起きた時、「国民」を構成する「フクシマ」周辺住民の「安全」のことなど、たぶん忘れ去っていたのだ。

　「原発もと暗し」　ー政府・東電の視線は「原子炉」に集中し、（無意識にせよ）周辺地域の住民たちを見捨てていたのだ。

　年に一度、行われていた「ダイイチ」の防災訓練についても、インタビューを受けた住民らはそろって「聞いたこともない」と証言した。

　（事故後、テレビなどで聞く）政府当局者の放射線測定値も技術的な用語も、何を言っているか分からなかった。

　「国民」を訓練するのが大好きなこの国は、原発周辺住民避難を「いっさい何もしなかった（原発作業員の証言）。

　もう一度、確認しておこう。「一切、避難活動を行わなかった」のである。

　たしかにパンフレットは配られていた。県庁も原発に隣接する２万世帯にだけ、新聞折込みで月２回、リーフレットを配布していた。

　しかし、３０キロ圏の住民の大半は、事故の際、逃げろとも留まれとも言われなかった。何の指示もなかった。

　これは原発に最も隣接した住民の場合も同じだった。原発から６キロのところで雑貨店を営んでいた店主は言った。「東電はいつも、安全です、と言うだけだった」

　３０キロ圏にかかる田村市の担当者は、「原発時の対応マニュアルさえなかった」と証言した。