戦後民主主義を乗り越えるための場の登場
2チャンネルとはインターネット上にある世界最大の匿名掲示板であり、その一部では全くの言論自由空間、プライバシーへの配慮などはまったくされないまま、悪意を持って言説が積み重ねられている。わかりやすい対象を挙げれば『朝日新聞』や『在日朝鮮人』『市民派』であったりときには『犯罪者』など、そういったものに対する強い嫌悪感、があらわされ、バッシングが続けられている場が2チャンネルには存在する。2チャンネルに書き込む人たち(2ちゃんねらー)に共通するものはなにか。
彼らには、世の中の主流の考え方、もしくは保護される対象に対する反撥心が見える。ものごとは多面的な見方が必要であるから、ひとつの価値観に縛られず異なった視点から意見を提出するということは有意義なことであるが、その表現の仕方には当然にルールがあるはずである。この点に関してのコンセンサスが一部の2ちゃんねらーにはない。 それはなぜなのか。
おもうにその点、コンセンサスがなくても許されるような場がインターネット的といえるからかもしれない。それは自己の情報を隠し匿名で発信することが前提となっていること、また、同時進行であっても対面することがなく画面上にあらわれる文字列以外に自分を抑制させるものがないということが要因としてあるように思う。時に対立する意見が画面上で繰り広げられるが、言葉の応酬に参加し続ける必要はなく電源を落とし退席すればそれで終わってしまうものである。また電源をおとし退席せずとも、画面を異なるフィールドに移しあらたな言説空間に参加することが容易である。
気軽に世界を転換できることが言論空間でのコンセンサスというものを考えに入れずにすむ要因であるように考えられる。
ルール無き言論空間で出来上がるものはなにか。それはルールが無いということに対する同調ができる者の集まりという、閉鎖的ウチワ空間である。このウチワ空間の中で特定のトピックが議論されるとその結果は公開のものと異なり、あるひとつの価値観を強調したもの、ときにそれは先鋭的な誹謗中傷というようなことにもなる。
つづく