ラティハン日記2

ラティハンと人生の散歩道

ラティハンの普及を阻害するもの

2016-01-26 | 日記

インドネシアの人口は日本の約2倍で、会員数は3000人程です。

ということは、日本の会員数もやり方次第では1500人程になってもいいのですね。

しかしながら、ご存じの様に協会のラティハンの説明のやり方は日本の状況は考慮されず、インドネシアの状況に合ったやり方そのままなので、なかなか1500人には届きません。

そうして、日本でのラティハンの普及を阻害しているのは、二つの国で主流になっている宗教の違いによるところが大きい様です。


さてバパのトークにあるように、ラティハンそのものは「その人がどのような宗教に属しているか」という事による差別はしません。

思想、信条、宗教の影響を受けないのがラティハンであります。

しかしながら、オープンにまでたどり着けるか否かは、ハート、マインド、つまりは頭の判断、頭の仕事でありますれば、このことはその人の思想、信条、宗教の影響下にあるのは当然の事なのでありました。


それで次は、日本以外の例としてマレーシアを取り上げましょう。

マレーシアは集計上は「インドネシアと同じイスラム教」が国教であります。<--リンク

そうして、この国の人口はインドネシアの12.1%ほどです。

従いまして、インドネシアの会員数3272人から計算しますと387名の会員数になります。

しかしながら実際に報告されているは38名に留まっています。


インドネシアのイスラムもマレーシアのイスラムも集計上では同じスンニー派のイスラムです。

しかしながらマレーシアのイスラムは神秘主義を認めないイスラムの様です。

ですので、インドネシアでは力を持っている、伝統的イスラム、それはNUに代表されるものでもありますが、それとは相いれません。<--リンク

そのことはまた、「マレーシアのイスラムはバパのイスラムとの相性が悪い」ということでもあります。<--リンク

従いまして、「バパのラティハンの説明の仕方はマレーシアでは受け入れられにくい」ということになります。

その結果が「387名ほどの会員がいてもおかしくはないイスラムの国であるマレーシアの会員数が38名に留まっている」ということになる訳です。

このように同じイスラムを名乗っていても、二つの国のイスラムは主義、主張に相違があります。

そうして、そのことが阻害要因となって、名目上はインドネシアと同じ宗教でありながら、ここでもラティハンの普及が妨げられています。


同じことがイスラム発祥の地、中東でも起きています。

ここでもバパの主張は認められることはありませんでした。<--リンク

イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、エジプト、すべてイスラムが主流の国々です。

そうして、人口の合計は21795万人、インドネシアの人口比率から考えますと2972人程の会員がいても良いのですが、報告されている会員数は0人であります。

さあこれがハート、マインド、頭の働きが思想、信条、主義、主張にしばられ、同じ宗教、同じイスラムでありながらバパの説明を受け入れることができない、ひいてはラティハンを受けることができないという結果につながっていくのでありました。<--リンク


さて、そうなると「インドネシアはバパのお膝下だから、会員数が多いのさ」という反論が聞こえてきそうです。

それでは同じ一神教のグループであるキリスト教とユダヤ教が主流の国々を含めて全体像を見ていきましょう。

会員数を総人口数で割った百万分率で比較します。

イスラム教圏    百万分率
インドネシア    13.64
マレーシア      1.34
中東主要5カ国    0.00     

キリスト教圏
8カ国平均     13.97

ユダヤ教圏     17.12

仏教圏
4カ国平均     0.98

ヒンドゥー教圏   0.15

以上から分かるように、インドネシアがほかの一神教文化圏に比べて「特段に人口に占める会員比率が高い」という訳ではないことがわかります。

それから「一神教のグループに属しているか否か」という「宗教そのものによる違い」、これは仏教圏とヒンドゥー教圏の数値が一神教圏の数値に対して1~2ケタ低いことに表れていますが、これによって「ラティハンの普及が妨げられている事」がわかります。

次に同じイスラムを名乗っていても「国による教義の違い」によって「ラティハンの普及が妨げられている事」がインドネシアの数値とそれ以外のイスラム教圏の国の数値を比較することで明確になるのであります。


結果的にこの状況が示していることは、協会が公言しているような「我々は宗教ではない」ゆえに「全ての人類が差別なく入ることができる」という主張を協会がいまだに実現できていないという事であります。

そうして、その原因はどうやら「協会のラティハンの説明のやり方とそれぞれの国で主流となっている宗教との相性」にあるようです。

そうであるとするならば、「それぞれの国でその国の人々によって受け入れられるようなラティハンの説明のやり方をする」という事が回答になるのでありました。

PS
以下集計詳細です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
          人口(万人)  会員数(人)  百万分率
イスラム教圏
インドネシア    23987万    3272   13.64

マレーシア     2840万人     38    1.34

イラン         7397万人     0     0.0
イラク         3167万人     0     0.0
クウェート       274万人      0     0.0
サウジアラビア     2745万人     0     0.0
エジプト        8121万人     0     0.0

キリスト教圏
オーストラリア     2227万人    348   15.63
ニュージーランド    437万人    175    40.06
アメリカ        31038万人  1715    5.53
カナダ         3402万人    390   11.46
イギリス        6204万人   1140   18.38
オランダ        1661万人   195    11.74
フランス        6279万人   175     2.79
ドイツ          8230万人   510    6.20
平均値                         13.97

ユダヤ教圏
イスラエル       742万人   127     17.12

仏教圏
日本         12654万人   141     1.11
ベトナム        8785万人   114     1.30
タイ          6912万人    11     0.16
スリランカ       2086万人    28     1.34
平均値                          0.98

ヒンドゥー教圏
インド       122450万人    187     0.15
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人口は2010年推計値使用(Wikiベース)
会員数はWSAのHPから8月~11月確認のもの

PS
ラティハンの普及についての違うアプローチからの集計結果についてはこちらから入れます。<--リンク

そうして、こちらの分析でも結論は今回の集計結果と同じでありました。

これは同じ対象を分析しているのですから、まあ当然といえば当然の話ではあります。

PS
現在の協会の主流は欧米のキリスト教徒とインドネシアのイスラム教徒の様に思われます。

そうして、それらの方々によって随分前から協会は運営され、活動方針やら目的やらスローガンやらが決められてきました。

さて、そのことによって結果的にネガティブな影響を受けているのが、非インドネシア系のイスラム教徒、それからアブラハムの宗教に属さない系列の宗教を奉じる国々の人々、そうして特定の宗教を持たない人々であります。

それらの方々はラティハンについての、それぞれの方達が受けいれ可能であるような、適切な説明を受けてオープンされれば協会の一員になれる可能性があります。

しかしながら現実はそのような状況にはなく、本当に人類の一部の人たちにしかラティハンの道は開かれていない様にみえます。

つまり、現在の協会のありようはグローバルというにはほど遠く、本当にローカルな様相を呈しています。

さて、そのようにしいたげられているグループの中に我々が住む日本も属しています。

そうして、もし今の様なローカル協会のあり様からグローバル協会の姿に変化できるとしたら、それこそまさに日本の仕事ではないかと思われるのであります。

ちなみに、その際にインドが強力なパートナーになる様に思われます。

彼の国も文化的には随分とインドネシアに貢献してきたのですが、ことラティハンにおいては日本と同様に今の協会の在り方からはネガティブな影響を被っている様であります。

PS
ご参考までに。
ラティハンの普及についてのまとめです。<--リンク

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ナフダトール・ウラマ(Nahdlatul Ulama or NU)

2016-01-06 | 日記
バパのエンタプライズや社会事業のトークを読んでいると、どうしてもナフダトール・ウラマ(The Nahdlatul Ulama)の事が浮んできます。

「イスラムの考え方、そうしてそれに基づいてインドネシアが置かれている(あるいは、いた)状況を改善する為の行動方針というものは必然的に似たものになる」と言うことでしょうか。

いずれにしても、そこにバパが協会に期待したであろう姿が重なってくるのでありました。

事の始まり

インドネシアの伝統的イスラムの在り方に対抗する形でムハマディア(Muhammadiyah)という組織が1912年にジョグジャカルタで立ち上がり、「イスラム近代化運動」がはじまりました。

ナフダトール・ウラマはその近代化運動に対抗する形で、今度は伝統的イスラム側が立ち上げた組織の名称であります。

以下、WIKIから抜粋する形で概要を見ていきましょう。<--リンク

ーーーーーーーーーーーー
ナフダトール・ウラマ(宗教教師の復活/目覚め)が、イスラム前史のジャワの伝統を拒否するムハマディアという組織のモダニズム(近代化)の方針に反対する正統派イスラム教徒のための組織として、1926年に設立されました。

組織はHasjim Asjariという、東ジャワのイスラム宗教学校の校長により設立されました。

ナフダトール・ウラマ(NU)は、インドネシアの伝統イスラム教スンニ派の運動です。

NUは、サウジアラビアのWahabismの上昇とインドネシアのイスラムモダニズムへの対抗としてスラバヤで1926年1月31日に設立されました。[3] [4] [5]

NUは、2003年では4000万人のメンバーシップを持つ[6]インドネシアで最大の独立系のイスラム組織の一つである[1] [7]

NUは慈善機関として、社会におけるインドネシア政府の欠点の多くを埋めるために支援をします。

それは学校、病院に資金を提供し、貧困を支援するために、コミュニティを編成します。


NUはイスラムの教えを広めるために存在します。

同様に宗教教育としては、合計6830のイスラム寄宿学校(プサントレン)をもち、またはプサントレンのネットワークを通じて啓発活動を行っています。

また、44の大学を所有しており、経済や農業の研究、および家族計画などの社会活動にも関与している。
[35]

(引用注:ナフダトール・ウラマ(NU)4000万人に対し、ムハマディア 2800万人の様である。
インドネシアの人口を2.4億人とすると、4人に1人はこの2つの内のいずれかの組織に所属していることになる。)

イデオロギー

ナフダトール・ウラマーは、極端naqli(聖書研究家)と極端aqli(合理主義)の中間派をとる、 Ahlussunah Wal Jama'ahのイデオロギーに従います。

アイデアの源はクルアーン、スンナだけではなく、経験的現実を参照する心の能力も認めるからであります。

このような神学でアブ・ハサン・アル・Ash'ariとアブ・アル・マンスールMaturidiとして以前の思想家のこのような考え方に言及しました。

そして、法学の次の4つの学派で。ハナフィー、マリキ、シャーフィイー学派、およびハンバリー。

スーフィズムの分野では、それはAl-Ghazali(ガザーリー)Junaid al-Baghdadi(アルバグダッド)の経路をたどる。<--リンク
ーーーーーーーーーーーー
以上です。


シーア派かスンニー派かと問えばスンニー派でありましょう。

でもNUはスーフィーズムを受け入れているという点で「ほかの国のスンニー派とは一線を画す」のでありましょう。

この「イスラム神秘主義を受け入れる」という点でも、NUとムハマディアは鋭く対立しているのでありました。


さてNUはインドネシアに存在する、世界でも有数の巨大イスラム組織です。

その経済的な基盤は各地方の伝統的な実力者(富農)によっている様であります。

そうして、バパの描いた協会の最終的な到達目標をNUに見てしまうのは、少々複雑な思いがするのでありました。

PS
ちなみにバパが一時期勤めていたマシュミ(Masyumi )という組織は、ムハマディヤ(Muhammadiyah)とナフダトール・ウラマ(Nahdlatul Ulama or NU)を日本軍が一緒にまとめて誕生させたものでした。<--リンク

NUは伝統的イスラムであり、そうしてそれはワリソンゴを崇拝するものでもあり、「バパのイスラム」に親和性が高いのであります。<--リンク

PS
インドネシアの、そうしてジャワのイスラムも単色ではなく、いろいろな宗派が混在しています。

そうしてNUとは別の動きをしているイスラムに「ジャワSantriイスラム教」があります。<--リンク

こちらはジャワイスラム概論になります。

インドネシアのイスラム教におけるグローバルとローカル」<--リンク


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