付け焼き刃の覚え書き

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らのべヒロイン列伝「三ツ橋初美(鬼切り夜鳥子)」

2018-04-03 | 雑談・覚え書き
○三ツ橋初美 「鬼切り夜鳥子」桝田省治(スニーカー文庫)

 元気が取り柄の全国レベルのスプリンター、女子高生の桂木駒子に平安時代の陰陽師の霊が取り憑いた。
 校舎の工事で塚が壊されて封じていた鬼が逃げ出したため、それを退治するために蘇り、子孫である駒子に取り憑いたのだと陰陽師の夜鳥子は言う。しかし、夜鳥子の戦いはその身に入れ墨のカタチで潜ませている8つの式神を使役するというもの。事情を偶然知ってしまった幼馴染みの久遠久らの助けを借り、駒子と夜鳥子は高校に潜伏した鬼、物の怪を退治すべく動き出すのだが、式神が眠っている時は身体中に大蜘蛛やら百足やらの魔物の入れ墨が浮き出てしまい、夏だというのに半袖シャツを着ることもできない。しかも、式神が現出するときには服が邪魔になるので脱がねばならないのだ。
 かくして時には半裸、時には全裸で放課後の校舎内を駒子は走り回ることになる……という、セーラー服の陰陽師バトル。
 作者がゲームデザイナーということもあって、著者・桝田省治デザインの『俺の屍を越えてゆけ』などと共通する設定やキャラクターもあり、ゲームをしていてもニヤリとさせられるし、読んでいても「これがあれか!」という発見もあって楽しいのです。

 さてさて、この作品のヒロインというとやはりポニーテイルに薄い胸、毎回何かと脱ぐ羽目に陥る桂木駒子なんだけれど、押しとしては最初の事件の被害者Aとして登場し、やがて駒子の友人となったクラスの学級委員でお好み焼き屋の看板娘、三ツ橋初美を挙げたいと思います。
 最初は単なる「生き物好きで頭の良い学級委員。おっとりした性格でしゃべり方がとろく、いつも楽しげに笑っている」というキャラだったのですが、その頭の良さは「Gカップのバストには第2第3の頭脳が詰まっている」と言われるまでとなり、「アレレ? オヤオヤ? 何かヘンですね?」と、参謀ポジションどころか最終巻では名探偵ポジションまで確保してしまいます。基本的におっとりしているくせに行き過ぎキャラ。「生き物好き」も単に猫とか犬とか好き……にとどまらず、式神やら物の怪まで「すべてをカワイイ」のひとことでくくってしまい、いきなりの身に覚えのない処女受胎さえ「私、妊娠したみたいなんですよぉ」のひとことで報告してしまう大物です。なんてこうなったかわからないけど、「産めば、わかりますよ」と実証主義でいくあたり、才媛というよりマッドなのです。

 ただ、本文中でもイラストでも眼鏡をかけている描写がなかったにもかかわらず、なぜか読者が「委員長だから眼鏡キャラ」と思い込んでいたようで、このあたりはmixiの鬼切り夜鳥子コミュに詳しいのだけれど、それに応えて2巻では“これといった理由も無く”眼鏡をかけてみせ、4巻では伊達メガネで表紙を飾ってしまいます。
 彼女が主役のスピンオフを読みたいよね。
コメント
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