カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

子どもの人身売買防止プロジェクト現地出張報告第2弾<“最”貧困層支援を考える/第3回>

2005年10月08日 15時10分36秒 | 人身売買防止プロジェクト(収入向上)
みなさんこんにちは、平野です。
国際子ども権利センター支援によるHCCのプロジェクト地、プレイベン州コムチャイミア郡での収入向上プログラム(家畜銀行)の進捗報告を通じて、“最”貧困層への支援につい考える3回連載シリーズですが、今回で第3回となりました。最後となる今回は、“最”貧困層支援の難しさについてお話したいと思います。

【この子に豚は・・・】

いくつかの家族に豚支援を断られた(昨日付けブログご参照ください)我々は、村の有力者たちの推薦を得て、いくつかの家庭を廻りました。支援の条件には、学校に行っている少女がたくさんいることや、家畜を一切持っていないことなどが含まれますが、状況が状況なので、細かい部分は条件に合致しない家庭も紹介されました。

そんな中、こんな家庭環境の少女の家を訪問しました。お母さんは既に他界、お父さんはシェムリアップで仕事、お兄さんも同地で建設労働のため、68歳と76歳の祖父母と暮らしている12歳の少女です。学校は辞めておらず、貧しさという意味でも、条件と合います。しかしHCCスタッフは「この子に豚を育てるのは無理だ」。年老いた祖父母との3人暮らしの中で、家事のすべてをこなしながら豚まで彼女が育てるのは、確かに無理があるのでしょう。

【持たざるものはさらに・・・】

“最”貧困層、とは最も助けを必要としている”人たちです。そしてそういう人たちへのアクセスこそ最も難しいのです。さまざまなNGOが、農業技術指導や、家畜銀行、職業訓練などの貧困削減プログラムを実施しています。その際、最も助けを必要としているから、と闇雲に最貧困層の人々を集めたらどうなるでしょう。豚を持たない人に豚飼育トレーニングを?文字の読めない人にレジメを?そこまで来る手段もお金もない人を職業訓練所で待つ?村で実施したとしても、いざとなったら誰も来ない。他の村人に聞くと「出稼ぎに行ったよ」。そんなことも起こりかねません。

結局のところ、多くのNGOが「毎回参加できること」「読み書きができること」「教わった事を実行に移せること」などを参加の条件としています。その結果、最貧困層はNGOの支援からさえ疎外されてしまいかねないのです。これまでお伝えしてきたSBPN(School Based Prevention Network=学校ベースの人身売買防止ネットワーク)も、学校に通っている生徒を対象にしています。このことは、貧しくて学校にも通えない子どもはどうなるのか、という問いにつながってしかるべきでしょう。

それぞれのNGOが、それぞれによかれと思ったやり方で一生懸命活動しています。それでもなお、最貧困層の支援はこれほどまでに難しいものです

(この項終わり)

※写真は動物シリーズ第3弾で、最も美しい動物、人間の子どもです(大きくて美しくないのも混じっていますが)。
 

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