カンボジアだより シーライツ

国際子ども権利センターのカンボジアプロジェクト・スタッフによるカンボジアの子どもとプロジェクトについてのお便り

日本社会事業大学ワークショップ @ シェムリアップ ②

2009年03月26日 11時26分40秒 | Weblog
今回は、2月13日に、シェムリアップのアンコール・クラウ村コミュニティセンターにて、開催された、「カンボジア子どもとの仕事―現実、可能性と夢」と題した日本社会事業大学のワークショップの午後の部:学生と各団体の質疑応答について紹介します。

シーライツへの質問は、以下の通りでした。
・シーライツとHCC,AFESIP,Friends Internationalはどのように仕事を分担しているのでしょうか?
シーライツは、3つのNGOに資金援助をしていて、実際にプロジェクトを実施しているのは現地のNGOです。支援が差別を無くすために最も有効に使われるよう、一緒に考えたりプロジェクトが円滑に進むように助言もしています。

・HIV/AIDSに感染している子どもについてどのような印象を受けますか?
AFESIPの保護施設・職業訓練施設に、何人かHIV/AIDSに感染している子ども達がいます。AFESIPの施設には、HIV/AIDSで亡くなった子どもトムディの名前を付けてトムディセンターという名前が付いています。今後も差別なく受け入れていく予定です。
AFESIPは、保護活動のほかに、HIV/AIDS感染防止活動として、買春宿街にいる女性たちにコンドームや石鹸を配布しています。でも、コンドームの使用を拒否する男性も多いらしく、防止活動実施は容易ではないという印象を受けます。

・牛銀行とは何ですか?
スバイリエン州で対象の村を決めて、その村から選ばれた家庭(最貧困層の家庭で、特に子ども(娘)の多い家庭)牛の飼育法を指導した後、牛を支給します。これまで農耕作業をしていた子どもに代わって牛が農業をする事で、効率的な仕事ができ、収入が上がり、また、子ども達が労働から自由になる時間が増え、学校に行けるようにもなります。牛を受給した家庭は、貯蓄組合に入り、月々貯蓄をしていきます。その貯蓄金は、牛銀行受給家庭の家族が病気の時や、子どもが学校で使うの教材を買うお金がない時など、緊急事態に使用されます。

・チャイルドセーフ・ホットラインとセンターについて詳しく聞きたいです。
チャイルドセーフ・ホットラインとセンターは、プノンペン、シアヌークビル、シェムリアップにあります。、ホットラインは、子どもたちが危ない状況にあるのを目撃した時や子どもが危険にさらされそうなときなどに、直接電話をかけたりすることもできます。センターは、観光客への広報活動、情報提供をしたり、子どもたちが直接助けを求めて行くこともできる場所です。スタッフや、カウンセラーが24時間常に待機しており、必要に応じてサービスを受けられます。

・現時点でのチャイルドセーフ・メンバーは何人ですか?
現在、約1500人がチャイルドセーフ・メンバーとして認証されています。

・シーライツはなぜカンボジアで活動しているのでしょうか?
カンボジアの人身売買、性的搾取の現状に、少なからず日本が責任を問われる事態があるからです。例えば加害者のかなりが日本人だといわれています。

・プロジェクトを実施して、どのように結果が出ているのでしょうか?
アメリカの国務省が出している国別政府の人身売買への取り組みランク付けというものがあります。Tier1(第1階層)にランク付けされた国は、人身売買に関する政府の取り組みがアメリカの基準を満たしているというもの、Tier2(第2階層)の国は、基準は満たしているけれど、まだ努力が必要、Tier3(第3階層)は基準に達しておらず、努力が必要な国です。最近までカンボジアはTier3にランク付けされていましたが、今現在はTier2にランク付けされています。ちなみに日本もTier2です。シーライツのようなNGOがプロジェクトを実施することでカンボジア政府も以前と比べて取り組む姿勢を持つようになったといえるのではないでしょうか。

・今後の活動と10年20年後のカンボジアの社会について、お答えください。
結果が出るまでに時間がかかるプロジェクトを実施しているので、今後も当面は、今日説明をさせて頂いた、プロジェクトを実施していく予定です。また必要に応じて新しいプロジェクトを実施する可能性もあります。10年か20年か分かりませんが、支援ではなく連携と経験の共有が大事になるような社会、同じ問題がまだカンボジアにあったとしても、カンボジアの人たちが自分たちで積極的に解決に向けて歩んでいけるような社会になっていけばいいなと思います。あの雄大なアンコールワット遺跡群を建てた先祖を持つカンボジア人です。私は、カンボジアの将来に希望ありと信じています。

ワークショップは予定時刻を過ぎて終了しました。時間が限られてはいましたが、これを機会に今後も日本社会事業大学の皆様、ワークショップに参加をして下さった方々が、ワークショップについて、シーライツの活動について、報告会を設けたり、色々な人に話をする事で、少しずつでも、カンボジアの子どもの状況が日本において広がっていけばいいな、と思いました。

シーライツの活動が今後も継続的に実施されるよう、皆様のお力添えを頂けましたら幸いです。
シーライツ あなたにできること:http://www.c-right.org/join/kaiin.html
シーライツ ホームページ:http://www.c-rights.org

フレンズ写真ワークショップ報告書日本語版
「想像してみて!シェムリアップのストリートチルドレンから見た観光客」 500円
問合せ先:シーライツ東京事務所 03-5817-3980


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