こんばんは。甲斐田です。今日、NHKの「クローズアップ現代」でカンボジアの特別法廷を取り上げ、ポルポト時代の虐殺を証言する人がいなくて、裁判が困難に直面しているという報道をしていました。
加害側当事者が村のすぐそばに住んでいる被害側当事者の人たちは、今でも恐怖に怯えているということを生々しく描いていました。一方、カンボジアの子どもたちがポルポト政権による大量虐殺について学校で教わるようになったのは、つい最近のことだということも伝えていました。私がカンボジアに住んでいるときも、虐殺を知らない・信じない若者がどんどん増えているという新聞記事を目にして驚いたものです。
さて、今日は3月のスタディツアー報告の最終回となる「その9」です。子どもを狙う観光客からストリートチルドレンを守る活動について古川さんが報告してくれました。
写真は、子どもを守るためのトレーニングをフレンズから受けたドライバーで、左下に見える指のOKマークがチャイルドセーフのステッカーです。
走れトゥクトゥク!笑顔を乗せて
古川 直子(大学生)
暑い太陽が照りつけ、バスや車、バイクのクラクション音、立ち上がる砂ぼこり。3月24日に訪れた、プノンペン市内のニックロバム停留所。地方からのバスの終着所である、この場所は、とても賑やかで交通量が激しい場所です。すぐ隣りの広場は週末となればナイトマーケットに様変わりし、工芸品や食料、衣服等様々な物が売られ、観光客や地元の人で溢れかえります。
今回、カンボジアで私たちの足となる欠かせない乗り物がありました。その名は「トゥクトゥク」。東南アジアから、南アジアにかけて、普及している軽便な交通機関です。三輪タクシーとも呼ばれ、料金は交渉制で各国の庶民のための足でもあり、都市に流入する労働者の受け皿となる産業でもあります。
今回は、フレンズ・インターナショナルのプロジェクトの一環でもある、トゥクトゥクやバイクタクシーのドライバーにチャイルドセーフ*のメンバーであることを証明するグッドマークの印のついたシャツを着用させたり、トゥクトゥクにグッドマークのステッカーを貼る等の、子どもの性的搾取や人身売買防止を促すキャンペーンに積極的に参加しているドライバー8人にインタビューを試みました。
*【編集部注】チャイルドセーフ・プログラムは、ドライバーなどに子どもの権利、子どもの性的搾取、法律などについて知らせ、疑わしい客を乗車拒否したり、危険な目にあっている子どもがいるときに通報したりすることを訓練するもので、シーライツ(国際子ども権利センター)はそのトレーニング、バイク、ホットラインの運営などを支援しています。
以下はドライバーの名前とドライバーになってからの勤務年数や、経験談をもとに書き示しました。
リッ・ソポワールさん(バイクタクシー)
・ 地方から来た2人の子どもを保護したことがある。
・ 見知らぬブローカーに連れていかれるストリートチルドレンを何度も見てきて、助けたいと思い参加。
ティエリティヤさん(バイクタクシー)
・ フレンズで3年間、トレーニングを受けた。
・ ストリートチルドレンが非常に多く、虐待を受けている子どもを助けたいという思いから参加。
・ ドラッグの広がりにも、とても悲しく思っている。
ナンバーナンさん(トゥクトゥク)
・ 3年間勤務。
・ 子どもを保護し、出稼ぎや性的搾取から子どもを守りたいと思い参加。
リアップ・トアさん(バイクタクシー)
・ 3年間勤務。
・ 孤児を守りたいと思い参加。外国人観光客が近年、非常に多くなった。悪いことはしてほしくない。
ハエポリーさん(トゥクトゥク)
・ 3年間勤務。
・ 貧困から、子どもたちを守り、フレンズの活動を沢山の人達に知ってもらいたいと思い参加。
ノイパリーさん(バイクタクシー)
・ 3年間勤務。
・ 孤児を助け、ストリートチルドレンを守りたいと思い活動に参加。
スンセンさん(トゥクトゥク)
・ 2年間勤務。
・ このプノンペンの繁華街の通りには、危険な状態にある子どもたちが多い。
・ 3~4人の出稼ぎに行こうとしていた子どもたちを救助した。フレンズの活動を是非、支援してほしいと思う。
ソンバニーさん(トゥクトゥク)
・ ストリートチルドレンが非常に多い。できるだけ多くのストリートチルドレンを助けていきたい。
彼らは、非常に積極的に、経験談や目標などを話してくれました。
そして、子どもの性的搾取の具体的な内容も話してくれました。
ある日の夕方頃、兄弟と思われる子ども2人に言い寄っている外国人がいて、またその場所に戻るとすでに子どもたちはいなくなっていて、近くにいたストリートチルドレンに聞いてみたところ、20~30ドルで、兄弟は売られていったと聞き、とても後悔したということでした。
ドライバーが18歳未満の子どもたちに向けて、注意していることは、カンボジア人と外国人をよく見極めること、少しでも怪しいと思ったら相手を疑うことだそうです。
特にバックパッカーが多く、安宿が立ち並んでいるボンコック湖近辺や、外国人オーナーの店が多い240通りは要注意だそうです。
そして、子どもたちが危険な目に遭いそうなときにはフレンズに連絡するよう、連絡先を教えているそうです。電話代などは、後で子どもたちに返すそうです。
出稼ぎに行く子どもたちは、家に返してしまうと、親に虐待される可能性が高いということで、職業訓練センターに送り、そこにいれば安全であるということも伝えるそうです。
保護を試みようとした際に、ドライバーを信じられず、騒いだり抵抗したりする子どももいるそうです。そんな時は警察を読んだり、フレンズから女性スタッフに応援にきてもらったりと、彼らは安全で、子どもを守るために保護をしているのだというふうに説得するそうです。
フレンズのスタッフは、僕達や彼らがいるから安全が保障されるというわけではないと言います。トレーニングを受けたからといって良い仕事をし続けるかどうかは分からないからです。常に、訓練をし続け、広報活動を続け、沢山の人に活動を広めていくことが大切なのだと言っていました。 そして、彼ら自身の友達や家族、周りの人達に、自分の活動を伝えていくこと。仲間同士の賭け事や、揉め事をせず、飲酒運転は絶対にしないこと。何よりも、責任感を持つことが自分達の使命でもあり、目標でもあると言っていました。
今回、ドライバーの方達から話を聞かせていただき、連携が大切なのだと強く感じました。まず、フレンズとドライバーの連携、地域住民とドライバーとの連携、公の機関との連携。
これらが全て、子どもたちを守り、治安を改善し、犯罪を減らしていくことへと繋がっていくのだと思いました。広報活動を続けながら、子どもたちへの視線を閉ざすことなくしていくのは、とても大変なことだと思いますが、カンボジアという国を安全で、安心な国にしていくには、このような活動は欠かせないと思います。一人一人の意識、責任感の持ち方が大切であることを痛感しました。
人の瞳ほど、真っ直ぐで正直なものはないと思います。だからこそ、色々な人の目が必要で、手も必要だと思いました。とても、考えさせられる問題でしたが、生の声や現場に行けたことで、現状が伝わりやすかったです。
日本でも、同じことが必要だと思いました。地域の目、親の目、周りの目、様々な目が子どもたちを、守ることにつながると確信できる体験でした。
加害側当事者が村のすぐそばに住んでいる被害側当事者の人たちは、今でも恐怖に怯えているということを生々しく描いていました。一方、カンボジアの子どもたちがポルポト政権による大量虐殺について学校で教わるようになったのは、つい最近のことだということも伝えていました。私がカンボジアに住んでいるときも、虐殺を知らない・信じない若者がどんどん増えているという新聞記事を目にして驚いたものです。
さて、今日は3月のスタディツアー報告の最終回となる「その9」です。子どもを狙う観光客からストリートチルドレンを守る活動について古川さんが報告してくれました。
写真は、子どもを守るためのトレーニングをフレンズから受けたドライバーで、左下に見える指のOKマークがチャイルドセーフのステッカーです。
走れトゥクトゥク!笑顔を乗せて
古川 直子(大学生)
暑い太陽が照りつけ、バスや車、バイクのクラクション音、立ち上がる砂ぼこり。3月24日に訪れた、プノンペン市内のニックロバム停留所。地方からのバスの終着所である、この場所は、とても賑やかで交通量が激しい場所です。すぐ隣りの広場は週末となればナイトマーケットに様変わりし、工芸品や食料、衣服等様々な物が売られ、観光客や地元の人で溢れかえります。
今回、カンボジアで私たちの足となる欠かせない乗り物がありました。その名は「トゥクトゥク」。東南アジアから、南アジアにかけて、普及している軽便な交通機関です。三輪タクシーとも呼ばれ、料金は交渉制で各国の庶民のための足でもあり、都市に流入する労働者の受け皿となる産業でもあります。
今回は、フレンズ・インターナショナルのプロジェクトの一環でもある、トゥクトゥクやバイクタクシーのドライバーにチャイルドセーフ*のメンバーであることを証明するグッドマークの印のついたシャツを着用させたり、トゥクトゥクにグッドマークのステッカーを貼る等の、子どもの性的搾取や人身売買防止を促すキャンペーンに積極的に参加しているドライバー8人にインタビューを試みました。
*【編集部注】チャイルドセーフ・プログラムは、ドライバーなどに子どもの権利、子どもの性的搾取、法律などについて知らせ、疑わしい客を乗車拒否したり、危険な目にあっている子どもがいるときに通報したりすることを訓練するもので、シーライツ(国際子ども権利センター)はそのトレーニング、バイク、ホットラインの運営などを支援しています。
以下はドライバーの名前とドライバーになってからの勤務年数や、経験談をもとに書き示しました。
リッ・ソポワールさん(バイクタクシー)
・ 地方から来た2人の子どもを保護したことがある。
・ 見知らぬブローカーに連れていかれるストリートチルドレンを何度も見てきて、助けたいと思い参加。
ティエリティヤさん(バイクタクシー)
・ フレンズで3年間、トレーニングを受けた。
・ ストリートチルドレンが非常に多く、虐待を受けている子どもを助けたいという思いから参加。
・ ドラッグの広がりにも、とても悲しく思っている。
ナンバーナンさん(トゥクトゥク)
・ 3年間勤務。
・ 子どもを保護し、出稼ぎや性的搾取から子どもを守りたいと思い参加。
リアップ・トアさん(バイクタクシー)
・ 3年間勤務。
・ 孤児を守りたいと思い参加。外国人観光客が近年、非常に多くなった。悪いことはしてほしくない。
ハエポリーさん(トゥクトゥク)
・ 3年間勤務。
・ 貧困から、子どもたちを守り、フレンズの活動を沢山の人達に知ってもらいたいと思い参加。
ノイパリーさん(バイクタクシー)
・ 3年間勤務。
・ 孤児を助け、ストリートチルドレンを守りたいと思い活動に参加。
スンセンさん(トゥクトゥク)
・ 2年間勤務。
・ このプノンペンの繁華街の通りには、危険な状態にある子どもたちが多い。
・ 3~4人の出稼ぎに行こうとしていた子どもたちを救助した。フレンズの活動を是非、支援してほしいと思う。
ソンバニーさん(トゥクトゥク)
・ ストリートチルドレンが非常に多い。できるだけ多くのストリートチルドレンを助けていきたい。
彼らは、非常に積極的に、経験談や目標などを話してくれました。
そして、子どもの性的搾取の具体的な内容も話してくれました。
ある日の夕方頃、兄弟と思われる子ども2人に言い寄っている外国人がいて、またその場所に戻るとすでに子どもたちはいなくなっていて、近くにいたストリートチルドレンに聞いてみたところ、20~30ドルで、兄弟は売られていったと聞き、とても後悔したということでした。
ドライバーが18歳未満の子どもたちに向けて、注意していることは、カンボジア人と外国人をよく見極めること、少しでも怪しいと思ったら相手を疑うことだそうです。
特にバックパッカーが多く、安宿が立ち並んでいるボンコック湖近辺や、外国人オーナーの店が多い240通りは要注意だそうです。
そして、子どもたちが危険な目に遭いそうなときにはフレンズに連絡するよう、連絡先を教えているそうです。電話代などは、後で子どもたちに返すそうです。
出稼ぎに行く子どもたちは、家に返してしまうと、親に虐待される可能性が高いということで、職業訓練センターに送り、そこにいれば安全であるということも伝えるそうです。
保護を試みようとした際に、ドライバーを信じられず、騒いだり抵抗したりする子どももいるそうです。そんな時は警察を読んだり、フレンズから女性スタッフに応援にきてもらったりと、彼らは安全で、子どもを守るために保護をしているのだというふうに説得するそうです。
フレンズのスタッフは、僕達や彼らがいるから安全が保障されるというわけではないと言います。トレーニングを受けたからといって良い仕事をし続けるかどうかは分からないからです。常に、訓練をし続け、広報活動を続け、沢山の人に活動を広めていくことが大切なのだと言っていました。 そして、彼ら自身の友達や家族、周りの人達に、自分の活動を伝えていくこと。仲間同士の賭け事や、揉め事をせず、飲酒運転は絶対にしないこと。何よりも、責任感を持つことが自分達の使命でもあり、目標でもあると言っていました。
今回、ドライバーの方達から話を聞かせていただき、連携が大切なのだと強く感じました。まず、フレンズとドライバーの連携、地域住民とドライバーとの連携、公の機関との連携。
これらが全て、子どもたちを守り、治安を改善し、犯罪を減らしていくことへと繋がっていくのだと思いました。広報活動を続けながら、子どもたちへの視線を閉ざすことなくしていくのは、とても大変なことだと思いますが、カンボジアという国を安全で、安心な国にしていくには、このような活動は欠かせないと思います。一人一人の意識、責任感の持ち方が大切であることを痛感しました。
人の瞳ほど、真っ直ぐで正直なものはないと思います。だからこそ、色々な人の目が必要で、手も必要だと思いました。とても、考えさせられる問題でしたが、生の声や現場に行けたことで、現状が伝わりやすかったです。
日本でも、同じことが必要だと思いました。地域の目、親の目、周りの目、様々な目が子どもたちを、守ることにつながると確信できる体験でした。