みなさんこんにちは、平野です。前回に続いて子どもや女性の人身売買の根絶のために望まれる取り組みについて私の意見を書かせていただきたいと思います。今回は全般についてお話させていただき、次回は子どもに焦点を絞りたいと思います。
【今後とも望まれる意識啓発活動の継続】
これまで国境地帯などを中心に人身売買防止のために多くの機関、団体が意識啓発活動をしてきており、一定の成果を挙げてきています。農村部で村の人に話を聞くと、人身売買防止を呼びかけるメッセージに触れたことのある人も少なくなく、その経緯は村の集まりで村長から、あるいはNGOや国際機関のワークショップに参加して、あるいはラジオやテレビのキャンペーンで、など多岐に渡ります。
しかしながら、村の寄り合いやNGOなどのワークショップに参加する人は比較的余裕のある人の場合もあります。例えば、頻繁に出稼ぎに出ている人はそういった機会にも不在だったりしますし、最貧困層の人は読み書きができないことなどから参加に及び腰になることもあります。つまり、実際に危険にあう可能性が高い人が意識啓発を受ける機会を逃している場合も少ないのです。よって意識啓発活動は今後とも継続していく必要がありますし、もっとも必要とする人々に届くようこれまで以上の工夫が必要とされていると思います。
【出稼ぎ、という大きな枠の中で】
危険があるので出稼ぎには出ないように、と訴えても人身売買の被害を根絶することは困難であること、また「よそ者は信用するな」という伝統的なアプローチだけでは現実に対応しきれないことは前回までにご説明させていただいたとおりです。
人身売買は、出稼ぎが村で常態化している中で起こされています。確率としては小さいが被害にあった人々の人生に与える被害が甚大である、というのが人身売買という凶悪犯罪です。こういった現状を踏まえると、人身売買対策は「安全で権利の守られた出稼ぎの実現」という枠組みの中でとらえるのが現実的かと私は思います。
【具体的で実効的な出稼ぎ対策を】
国際子ども権利センターが支援している団体を含め、安全な出稼ぎを推進するための意識啓発活動をしている団体は少なくありません。ただ、安全で信用できる職業斡旋とそうでないものを見極めることは大変困難です。その中で実効的な支援を行うには、職業斡旋業者のデーターベース化や問題が発生した際の(個人情報に配慮した上での)地域における情報の共有化、そして出稼ぎ先の情報/雇用主の照会/労働条件の確認/緊急時の連絡先(行き先が国外の場合現地の大使館の番号や国際電話のかけ方も教える)/労働法など労働者の権利、といった情報を出稼ぎする人々に提供することが必要です。これらは、NGOなどと協働するにしても、最終的には政府機関主導でないと達成は困難と思われ、政府機能の向上が望まれます。
次回は子どもの出稼ぎについてお話します。大人の出稼ぎと子どものそれは同じくくりでは語れないものです。
※写真はタイ入国を待つ人々と荷物です。のちに性的搾取や労働搾取を受けることになってしまう人々も、国境を越える時点ではこのような人々に混じって普通に入国することもよくあります。
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