見るミステリー小説相棒Ⅴ:第十話『名探偵登場』

「タフでなければ生きて行けない。
優しくなれなければ生きている資格がない」


小説家レイモンド・チャンドラーが生み出した名探偵
フィリップ・マーローの名セリフ。

今回は完全にまずゲストありきのストーリーだった。

(※あらすじは『相棒公式サイト』で)

自らマーロウと名乗る探偵矢木(高橋克実)の
トレンチコートに帽子というハードボイルド探偵小説の主人公
フリップ・マーロウそっくりなファッション。
それと現実にこんな奴がいたらそれだけで怪しいという
二人組みの殺し屋の古い洋画からでてきたようなギャングファッション。

高橋克実がゲスト(探偵の矢木役)ということで
コメディタッチだとは想像できたが、
ここまで徹底的にやってくれたおかげで
割り切れてとても楽しむことができた

偵小説好きの探偵さんに合わせてストーリーの題材が
あのミステリーの名作『裏窓』をはじめ
今まで映画や小説で数々の名作を生んでいる
『偶然に窓越しに目撃してしまった殺人事件』
というミステリーの定番ネタがいい。

自分の連れ去られた経路を知らせるために
タバコを落としていくなどとという古典的な手法など
笑えるネタを随所に散りばめながらも、
謎解きにいたる過程はすごく本格的だったし、
ミステリーという視点からも十分に楽しめる内容だった。

芝居は高橋が活きていた。
彼の良さを活かす脚本は見事だったし、右京をもとより
今回は亀山刑事のコミカルな面も十分堪能できた作品でもあった。

このゲストの高橋を中心にした面白さの部分と
レギュラーのトリオ・ザ・捜一の面白さの部分の
ダブルのおかしさに街のいろいろな連中に好かれている
矢木のキャラクターが醸し出す人情話的要素が加わることで
いいコメディの味がでていた作品。

そしてあの『あなたは見られている』の看板。
これはすごいアイディア!素直に感動!
それも矢木探偵のキャラを好んでくれてる
落書きを消す仕事をしていた看板屋さんが協力してくれるという
唐突な感じがしない自然なストーリー展開の中からでてきたのが実に見事。
これだけ街のいろいろな連中から捜査に協力してもらえる矢木は
やはり名探偵といっていいでしょう。

今回は異色な作品だったけどオレ的には高評価。

さて次は元旦のスペシャル!これは楽しみ!DVDに録画しよう!



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今度は逆の視点!『硫黄島からの手紙』(2006年18本目)

  
クリント・イーストウッド監督の硫黄島二部作の二部作目だ。
一部がアメリカ側の硫黄島戦にまつわる話を描いた「父親たちの星条旗」で
こちらが日本軍を描いた作品となっている。
(あらすじと内容は硫黄島からの手紙 - goo 映画を参照してください)

あ~二部作って、すごい効果があるな~!

海岸線防御のために作られたトーチカをめぐる戦いのシーン。
『父親達の星条旗』では観ている自分も米兵の目線になっていたから、
トーチカの機銃に狙われる側の恐怖を感じ。
今回はトーチカの内部から上陸してくる米兵を狙い撃ちする日本兵の目線。
前作では外から見ていた火炎放射に今度は自分がそれで焼かれる恐怖を味わう。

さらに前回は米軍艦船や上陸用舟艇から見上げた擂鉢山だが
今回はその擂鉢山の上から前回乗ってきた艦船や
上陸用舟艇を見下ろすことになるのである。

そして前作で洞窟の奥から聞こえてきた
連続するあの『爆発音』の音源の正体は・・・・。


『硫黄島』・・・東京、沖縄、グアム島のどこからも約1200Kmの距離。
すでに米軍の前線基地となっているグアムから、ここへ転進できれば、
米軍は一気に沖縄、日本本土への攻撃の距離が半分に短縮できる。

そして日本軍にとっては沖縄と本土防衛のためにも
絶対に失うことができない島。
でも当時の日本軍は本土を守る戦力すら心もとない状況。
もはや島に十分な支援もなく、硫黄島の日本軍は孤立無援の状況。

アメリカ軍は硫黄島を5日で占領できると読んでいたが実際は36日かかり
日本軍20,993名中、死者20,129名に対して、
アメリカ軍戦死6,821名、戦傷21,865名と戦死者こそ少ないが
人的被害が太平洋戦争中唯一日本軍を上回った戦場となった。

このアメリカ軍の予想外の苦戦が戦争継続の資金不足を招き、
『父親たちの星条旗』のあの不幸な英雄を作り出すことにもなる。
もっと言えばこの米国側の犠牲の多さや戦闘の長期化が、
後に終戦を急ぐアメリカの原爆の投下を決断させたのかもしれない。
36日持ちこたえたことが本当に日本にとってよかったとも
広い目で見れば一概に言えないのだ。

だから両方見ると前に書いた戦闘シーン以外でもリンクが発生して
とてもじゃないけど「日本軍頑張った!栗林中将偉い!」などとは感じられない。
勝者に英雄がいなかったように、敗者にも英雄などいなかったのだ。

だからどちらか片方しか見ていないのでは、
この映画の伝えたいことを完全に理解することは不可能だと思う。

これはどちらが先でもかまわないので、
この映画を観るなら必ず二作とも観るべき!


こちらの作品はそんなアメリカに多大な被害を与えた日本軍の戦いの内側に迫る。

この島を守る日本軍には職業軍人の将校と
召集令状(赤紙)によって、戦争に駆り出された一般兵がいる。

主に戦いが地下陣地のトンネル内という閉塞感のある世界のため
それぞれがこの戦争にいだく思いがより鮮明に浮かび上がっていた。

まず、いまやハリウッド俳優の渡辺謙演じる栗林中将。
この人は合理的な思考ができる現代的な職業軍人だなと感じた。

たしかに人格者だったのだろうが、それ以上にプロの軍人だったと思う。
それは米国でのお別れパーティの席で米国人の友人の奥さんから
「戦場で敵になった時、夫を殺せる?」と聞かれ
「国に殉じます」と答えているところや

島で
「誰一人生きて本国に帰れると思うな!
    1人10人の敵を殺すまで死んではならない」と
命じているシーンからそれが伺える。

新兵をいじめたり、殺すのを止めるのも人格的な部分以上に
無駄に兵力を消耗したくないという思いからだったと思う。


彼は目的の
『島を1日でも長く維持し、少しでも多くアメリカに損害を与える』
を達成するために手段を選ばないし、見栄やプライドにもこだわらない。

今までの多くの日本映画に登場する司令官は、
弾丸が飛び交う戦場で勇ましく先頭に立って指揮をとったり、
どっしりと構えて大物ぶりをアピールしたりと
どこか戦国武将的なイメージが強かったが、
この映画で描かれる栗林中将は机に向かって
作戦を練っているシーンが圧倒的に多い。

伊藤や林に代表される旧来の軍人が武士道精神と
『大日本帝国軍人』という見栄と誇りに縛られた戦いを繰り広げるのに対し、
栗林はためらいなく『弱者の兵法』を選ぶ。

彼が米軍上陸に備えて作らせたトンネルに隠れてゲリラ戦を行い、
少しでも相手に大きな損害を与えることに専心する。
だから旧来の『華々しく散る』などという考えはないし、
彼にとって自決して果てるなどというのは
逆に甘い考えとしか映らなかったのだろう。

このゲリラ戦法はその後の朝鮮戦争、ベトナム戦争、
さらに最近のイラン内戦に至るまで
圧倒的な兵力のアメリカ軍を苦しめ続けている。

彼は戦争には反対だったのかもしれないが、
いったん戦争になればとことん戦う・・・
栗林中将にはそんな軍人の本能ともいうべき意志の強さを感じた。


1932年のロスオリンピックの馬術障害競技の金メダリストで
戦車隊の隊長バロン西こと西大佐(井原剛)。
彼も負傷した米兵を助けるリベラル性を持ち、
英語で会話ができる国際人でもあり
良き家庭人であるのに栗林と同様に最後は玉砕して果てる。

いったいこれってどうしてなんだろうな?と思っていたのだけど。
ちょうどテレビの日曜洋画劇場で放送されてた
あの「ラストサムライ」を観てふとふと思い出したのが
、戦前の明治憲法下で日本軍は
天皇の軍隊『皇軍』であったということ。
これを見落とすと日本の戦争の本質を見失う。

明治憲法の皇軍思想とは政府に軍隊の統率権があるのではなく、
軍の統率権は大元帥の天皇にあるというもの。
この戦前の明治憲法下の日本独特の政府から独立した軍の存在が
この戦争には大きな影響があるし軍人の精神構造にも影響している。

この映画でも盛んに『皇軍』という言葉が出ていたし
栗林も「天皇陛下万歳」を叫んでいた。
元々戦前の明治憲法で規定されている日本軍が命をかけて守るものとは
国民や国土ではなく『国体』つまり天皇である。
この日本軍とは天皇を守る軍隊であると憲法で定められていた
厳然たる事実を無視はできない。

それを特に職業軍人は徹底的に教育されていたので、
いくら国際感覚を持っていようが、合理的な作戦をとろうが、
日本軍の軍人のアイデンティティは最終的にはそこにしかない。

たぶん優秀な軍人ほどその意識が強かったのではないかと思う。
見栄や誇りで簡単に自決する旧来型の軍人より、
栗林中将の方がもっと純粋に国体を守る気持ち
(欧米的に言えばミッションを遂行する意志と能力)
が強かったからこそあそこまで戦い抜けたのだと思う。


こうしてみると栗林もバロン西も英雄ではなく、
やはり戦争の(優秀な)駒でしかない
もちろん彼らもそれが本望だったのだろう。
なんとも悲しく虚しい思いになるがそれが軍人というものの本質だと思うし、
あんな素晴らしい人間を優秀な軍人にしてしまうのが戦争だとも思う。


日本人が描けば天皇の問題はとてもデリケートだからそれに触れずに
「愛する人のため」だとか「美しい日本のため」とか
なにかしらきれいな理由をつけて戦争を美化してしまう。
でもこの映画では玉砕や最後の栗林の万歳突撃などのシーンが
あまり脚色されずに描かれてることで、批判も美化もなく
彼らの行動の根底にある戦前の日本の『皇軍思想』が浮き彫りにされている。


それと新兵の憲兵時代の回想シーンで描かれた当時の日本国内の様子。
これも外人監督の目で作った映画だから描けたのかもしれない。


そんな職業軍人と対照的なのが
妻と生まれてくる子供と平凡で穏やかな生活を望んでいたにも関わらず、
集令状1枚でその夢を奪われ愛国婦人会の万歳に送られ戦場にやってきた
西郷(二宮和也)と
罪のない市民をかばったため、見せしめに最前線に送られた
元憲兵の新清水(加瀬亮)という配属前の環境がまったく違う二人の若い兵士やその他の一般の兵士たちの感情。

彼らの『皇軍』や『国体』より
『家族』や『友情』『命』を大切に思う気持ちは
「父親達の星条旗」のアメリカの若い兵士となんら変らない。
だが天皇の軍隊として敵に捕まることは
天皇の恥なるという職業軍人の理論に道連れにされる哀れさ。
もちろん栗林にしても西にしても兵に『投降』を勧めたりはしない。

そんな両国の若者が敵に救助されても手当の甲斐なく命を落としたり
敵に投降して無抵抗なのに殺されてしまうシーンは
戦争の悲惨さ非情さをよく表していた。

ラストで、オマエも清水のように死ぬのか~!
と思った西郷が目を覚ました時は心のそこからホッとした。

この二部作で戦争のすべてが描かれているわけではないけど、
戦争スペクタクル映画、反戦映画を問わず
今までの『戦争映画』では触れなかった部分に
光を当てた優れたヒューマンドラマだと思う。

タイトルである『硫黄島からの手紙』というのは、
冒頭に発見された『手紙』ではなく、
この映画こそがあの島で命を落とした人からの『手紙』であると
自分は理解している。

関連記事(1):硫黄島 戦場の郵便配達
(『手紙』というテーマであれば、こちらの方が見応えがありました)

関連記事(2):勝っても負けても戦争に英雄などいない!「父親たちの星条旗」
(1作目のレビューです)


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硫黄島 戦場の郵便配達(フジテレビドラマ:土曜プレミアム)

『硫黄島、もうひとつの感動のドキュメントドラマ』
昨夜9日に放映されたフジテレビのドラマ。

ちょうど同日から封切られた話題のクリント・イーストウッド監督の映画
『硫黄島からの手紙』の公開に合わせた企画なのだろうが、
これが単なる便乗企画と思ったら大間違いだった。

まだ映画の方は観ていないのだが、
映画「硫黄島からの手紙」は硫黄島の戦闘が終わって発見された
数百通の届かなかった手紙を基に作られた映画だけど、
こちらのテレビドラマは「硫黄島から届いた手紙」と手紙を届けた人の話。

だいたい、メールなどがない時代にあんな最前線の戦場から電信ではなく
ハガキや手紙が届いたこと自体が驚きだ。

その陰には
その手紙を書いた人のドラマ。
その手紙を受け取った人のドラマ。
そして手紙を命がけで運んだ人のドラマ。
など手紙というまさに『人の思いを込めたモノ』だからこその
数々のドラマがある。
この番組はそんな『硫黄島からの手紙』をテーマにした感動のドラマだ。

戦闘シーンのスケール感は、映画には遠くおよばないけど
島の郵便配達に関わったパイロットや
戦場でも『手紙を届ける』という職務に喜びを感じて働く郵便局員。
戦場で唯一兵士と愛する人たちと心の交流になる『手紙』を届けようと
する人たちの姿に心を打たれる。

戦闘シーンより実話を基に人間ドラマを中心に作られ
俳優陣が好演したドラマ部と
実写のフイルムや硫黄島で戦った本人や遺族の証言、
そして硫黄島から届いた多くの家族宛ての本物の手紙などの
ドキュメンタリー部がとてもよく組み合わされて
硫黄島で起きていたことが明らかになる。

このドラマとドキュメンタリーの組み合わせは
資金を大きく投入できる映画と同じ作りでは存在感がないし
『テレビ的』な方法としてなかなか工夫されていたと感心した。

硫黄島に赴任した日本兵は終戦間近ということでだんだんと人手が減り
30代~40代の中年の兵士が多かったことや、
本土に非難した島民に代わり10代の少年兵が
食料の野菜作りに島に送られてきたことなど
今まで知らないことが多く描かれていて
改めてその戦いの悲惨さを感じさせられた。

そして映画「硫黄島からの手紙」では渡辺謙が演じる
陸軍の栗林中将にスポットが当てられているが、
こちらでは海軍の市丸利之助少将にスポットを当てている。
彼が家族に宛てて書いた手紙の数々とそれを受け取った
彼の娘さんたちの証言。

父親が戦場から送ってくれた愛情あふれる手紙を大切に保管し
今も読んでは涙を流す娘さんの姿にジーンとしてしまった。
『手紙』という形で『想い』と『心』はいつまでも残っているもんなんだな~。

そして一番驚きだったのは、市丸少将が硫黄島で最後の突撃をする前に
なんとアメリカのルーズベルト大統領宛てに和文と英文で手紙を書いて
それを部下にアメリカに届けよと命じていたことだった。

これこそ驚きの手紙。

内容は「日本を戦争に追い込んだ責任は英米にもあること」を責め
この戦争はアメリカが勝つと認めたうえで
「第2次世界大戦は第一次世界大戦の戦勝国が
     ドイツを徹底的に責めたことが原因で起きた」
という事実を述べ、その二の舞を踏まないよう
「戦勝国アメリカは敗戦国の日本に寛大な措置をとるように」ということを
強く要望して書きしたためている。

この手紙は最後の総突撃で死んだ日本兵の遺体から見つかりアメリカ本土へ運ばれた。
硫黄島陥落直後に死んだルーズベルト大統領に届いたかどうかは不明だけど、
手紙の内容はアメリカの新聞に大々的に報道されたということなので
市丸少将の手紙も硫黄島から目的地に届いたということだと思う。
「硫黄島からの手紙」というのはなんといろいろな思いを
読む人に届けたのだろうか・・・とても感慨深いものがある。

自分も今週「硫黄島からの手紙」を見るつもりだけど、
この企画ドラマは映画の『届かなかった手紙』に対して『届いた手紙』
陸軍栗林中将に対して海軍の市丸少将と映画を補足、補強する内容になっており、
映画(2本)と合わせて観るとより硫黄島の真実に迫れる。

このドラマを観ずに、もう映画を観終わった方も下の公式サイトを見れば
より映画で観たことが深く感じると思います。

(追記:11日映画『硫黄島からの手紙』を観たが、
このドラマの市丸少将役の藤竜也の演技は、
映画の栗林中将役の渡辺謙に比べても
まったくひけをとらないクォリティだったと感じました。)


『硫黄島 戦場の郵便配達』公式ホームページ

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これで完結『武士の一分』(2006年の17本目)

   
あ~原作を読んでおくんだったな。
観終わってからすごく後悔した。


なぜならストーリーに大きな展開がなく、
そこを期待していくと空振りしてしまうからだ。


監督の山田洋次さんが
「藤沢さんの素晴らしい時代劇がたくさんあるなかで、
一本の映画にするには、あまりにも短かったり、断片的だったりして、
なかなか一本の映画にするのは難しい。~(中略)~
『盲目剣谺返し』はちゃんと一本の映画ができる素材なんです。
それをやり残しているな、という思いがずっとありまして、
これで打ち止めにするなら、
『盲目剣谺返し』しかないだろうと思いました」

と言っている。


「たそがれ清兵衛」(2002年)や、「隠し剣 鬼の爪」(2004年)は
藤沢作品の短編を何篇かつなぎ合わせたオリジナル脚本だけど
この映画はほぼ原作に近い。

原作は文庫本でわずか47ページということなので本当の短編。
そうするとストーリーがすごくシンプルだったのもよく理解できる。

それと原作は盲目モノの定石どおり、
視覚を失ったことにより、聴覚や嗅覚が研ぎ澄まされ、
そのために妻の不貞に気がつくとなっているのだけど、
映画ではおしゃべりな叔母の告げ口から不貞に気がつくというふうに
変えられて盲目剣士という凄みはあまりない。

でも一般の人が妻(夫)の不倫に気がつく場合、
より相手への猜疑心に悩まされたり、
武士のプライドを傷つけられるとしたら、
それは告げ口の方ではないだろうか?

そこを変えたあたりに山田監督のこの映画の意図があるのかな。
『武士の一分』というタイトルどおり映画の主人公の方が
より武士の誇りに強くこだわっていて
原作の主人公はもっと夫婦間の愛情だけで動いているといった印象。

その変化の部分で47ページの短編を
2時間の映画へと膨らませていった印象を受けた。

ただやはりその膨らましたことの影響か
映画の前半の展開はすごく進むのが遅く感じた。
そのわりには失明後の中盤から後半にかけての山場は
何となく進むのが早く個人的に前半を短めで、ここからを時間をかけて
もっともっと濃く描いてほしかった。

ストリーや展開にサプライズがあるタイプの映画ではないので
あとはいわゆる芝居部分と映像の面白さに興味が移る。
話題性が高いのはやはりキムタク初の本格時代劇というところだと思う。

随所によくモノマネの芸人さんが真似をするキムタクらしい口調があったけど
それも役者の個性と思える程度だったし、
失明前のそのキムタクらしい部分が失明後の表情や口調から
ドンドン消えていくことで主人公の気持ちの変化をよく表現していたと思う。
さらに最後にはまたキムタクらしい表情と口調に戻ることで、
また夫婦間に心が通い合う様子を表していたと思う。

ただ突っ込みを入れるとしたら、あの貝の毒にあたったシーン。
キムタクは体の不調を必死に堪えるけど、あれってどうなの?
そりゃ他の役職なら武士らしく『忍耐』が必要かもしれないけど
いわば『モニター』の毒見役なら、体調の変化を敏感に感じて
いち早く危険を伝えるのが役目じゃないのかな~?
ちょっと不思議な感じを受けるシーンだった。

共演者では女房役の壇れいはよかったと思う。時代劇に合う女優だと感じた。
「蛍が飛んでいるか」と聞かれ目のみえない夫を思いやり
「まだです」と答えるシーンはとても印象的だった。

徳平役の笹野高史の存在は大きかった。
風景と同化するくらいに自然な存在感と演技で
キムタクと壇の情愛を際立たせていたのは見事でした。
彼がいなかったらハッキリ言って成り立たない映画だったなと思う。

叔母役の桃井かおりの存在はキムタクとの掛け合いでは面白かったけど
キムタクを活かす存在以外にこの映画に必ず必要な役だったかは疑問。

あと坂東三津五郎は「何か裏がありそうないい人役」にはぴったり。

部分部分ではすごくいい要素が多かったし決して悪い映画ではないのだけど
残念ながらオレとしてはさほど心に残る映画ではなかった。

後読みした原作の方が短くシンプルな作品だった分、
とても余韻の残る味わいが深さがあった。
私見だけど、より楽しむため『観る前に読む』をお薦めしたい映画。
特に映画をストーリー中心に楽しむ方はその方がいいんじゃないかな。
そうすればより監督の意図や俳優の演技、映像が作り出す藤沢ワールドを
より楽しめると思う。
(11日に少し言葉足らずな部分があり加筆)


『武士の一分』公式サイト

庄内新聞『海坂かわら版』原作を読む暇がない人、藤沢周平に興味ある人にお薦めのサイトです。

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日立家:仙台いちごまんじゅう(みちのくスイーツ列伝NO31)


これはオレの私見だけど、東北以外に住んでいる人には
『宮城県』より『仙台』の方が知名度があるのではないかと思う。

かつて自分が旅行や仕事で他の地域に行った時も
そのような感じを強く受けた。
特に西に行けば行くほどほどそうだったな~。

お土産でも、仙台なら「牛タン」「笹かまぼこ」「萩の月」
気仙沼の「フカひれ」松島の「かき」など町ごとには有名な食材、食品は多い。
しかし宮城県の全県的は「県の名物」というとこれといったものがないのが実情。
やはり『宮城ブランド』は影が薄いのだ。

そんなことから宮城県の特産品を使って宮城県内のどの地域でも買える
『全県的な名物お菓子』を作ろうということで
宮城発新名物菓子開発プロジェクト実行委員会
がレシピを開発したのがこの『仙台いちごまんじゅう』だ。

このお菓子はこの実行委員会の作ったレシピをもとに
宮城県内全域の37のお菓子屋さんが同じものを作って、
宮城県全域で売られる宮城の名物お菓子。

今回は日立家のものだけど、販売店の中には和菓子店だではなく
洋菓子店も含まれている。
オレは今回初めて食べたのでわからないのだが、
レシピが同じでも店によって味に違いはないかがとても興味がある。
これは今度機会があればぜひとも確かめてみたいと思う。



いちごというと昔は初夏の果物というイメージだったけど、最近は今頃も旬。
実は宮城県は佐賀県、静岡県、栃木県と並んで日本の4大いちご名産地らしい。
それでこの宮城発新名物菓子開発プロジェクト実行委員会
宮城県の特産品を世に広めるために県が音頭をとっている『食材王国宮城』
というキャンペーンの一環だ。

『仙台いちごまんじゅう』はこのおいしい宮城のいちごの味を活かした
お菓子を作ろうということで開発されたお菓子なのである。

その使われるいちごだが、今頃のハウス物ではなく、
5月~6月の収穫された完熟の路地物を
フリーズドライしたものが使われている。

そして今月の1日からいよいよ今年収穫されたいちごが使用された
まんじゅうに切り替わった。

そのいちごはいちご大福のように丸ごと入っているのではなく
白餡の中に砕かれたいちごが混じっている。
あと皮にも粉末にされた同じいちごがブレンドされている。

まず包装から出すとすごく芳醇ないちごの香りがする。
味はアンコがそれほどしつこくなくいちごがよく効いている。
こうして食べても甘い仙台いちごの味が活きてるな~。
皮もフレーバーだけではなく、しっかりいちご味。

大きさもミニサイズなので2個くらい食べてちょうどいいかも。



これがコンセプトなので本当に優しい味のお菓子。
一口食べれば「ほっ」と和むこと間違いなし
価格も6個で630円とお手頃。
宮城県を訪れた際にはぜひお土産にとおススメしたい逸品だ。

宮城食材王国HP『仙台いちごまんじゅう』

仙台いちごまんじゅう通販サイト

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観るミステリー小説相棒Ⅴ:第九話『殺人ワインセラー』

他人に馬鹿にされたことは忘れられないけど
自分が他人を馬鹿にしたことは覚えていない


これはよく言われることだけど、
それ以前に相手を傷つけたことに気がつかないことも多いかも。
現実の『怨恨』の事件にもこういうのは多いのではないだろうか。

他人に傷つけられた人間が、今度は逆の立場で自分で意識のないまま他人を傷つけてしまう。

今回の話はそんな人間の心理が生んだ殺人事件。
犯人は早い段階で明らかになり、
その犯行の動機に潜む人間ドラマと犯行を立証することがメインの話である。
(※あらすじは『相棒公式サイト』で)

今回のゲストは佐野史郎。
このドラマの素晴らしさのひとつにゲスト俳優のポテンシャルを引き出すという
ところがあるが今回もよかった。
まず佐野のワイン評論家という設定がいい。
あのワインをテイスティングする表情とかすごくいい芝居だった。
ラストのトリックがばれ、自分のトラウマになっていた劣等感を植え付けた
人間の正体を知ったときの演技はとても引き込まれた。

本当に水谷豊との素晴らしい演技力の競演は見応え十分だった。

ドラマの展開的にはすべてのエピソードがひとつになって犯行の謎がとける
ラストでのワインのトリック解明が見事だった。
それとあの劇中の『パルトネール』っていうワインが架空のワインで
『相棒』という意味だってのは洒落た仕掛けだ。

このドラマ、「宮部みゆき」にひっかけた「宮部たまき」とか
第4話の蒲田行進曲のセリフなどそんな隠し味的な仕掛けも楽しみの一つ。

あと今回、秋山エリサの存在がドラマにセレブ感をだしていたんじゃないかな。
彼女の存在は亀山刑事にフォーマルな格好を要求するのが自然な店の品格を
醸し出していた。

今回の話もいつもながらストーリーと俳優の演技が
うまくかみ合った見事なオチでさすが『相棒』という作品だ。



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初雪

   
ついに昨日、仙台でも初雪。
降っても車の屋根に積もることもなくすぐ解ける。

今日、ベガルタ仙台のサンタナ監督が仙台を離れた。
今夜は東京に泊まり、明日ブラジルへ帰国の途につくらしい。

雪の積もっている頃に来て、雪が降り始めた頃に帰ることになった。

多分またブラジルで監督業をなさるのだろうが元気で頑張ってほしい。

ベガサポのアミーゴ!ジョエル・サンタナ!オブリガート!
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ベガルタ仙台今季最終戦(第52節ヴィッセル神戸戦)


当たった~!
ホームゲームの度に買っている試合のプログラムの抽選。
今年初めて当たりのシールが貼ってあった。
(左が当たりで右がハズレ)


賞品は宮城米のパックご飯の3パック詰め合わせ。


<ベガルタ仙台とサポーターを心から愛してくれたサンタナ監督>


ベガルタ仙台2-1ヴィッセル神戸

長かった2006年のJ2リーグも昨日が最終戦だった。
終わってみれば短く感じるな~
今季は第5位の成績で残念ながらJ1へは昇格できず来年もJ2で戦う。

でもチームを愛してくれた監督や選手と戦った思い出は宝物。

そんな監督やチームを支えてくれた有力な選手を解雇したフロントは
もう完全にサポーターの信頼を失ってしまっている。
もういいかげん嫌気がさしてきた。

だけどサンタナ監督が男泣きしながら最後に残した

「ベガルタ頑張れ!仙台頑張れ!泉(泉区)頑張れ!日本頑張れ!」

この愛情にあふれた言葉は重い。

やはり裏切れないよ。



2006年J2_total
順位表
【2006/最終順位】
------------------
チーム[勝点]得失
・・・・・・・・・・・・・・・・
1.横浜FC[93]+29
2.柏  [88]+24
3.神戸 [86]+25
4.鳥栖 [79]+15
5.仙台 [77]+32
6.札幌 [72]+10
7.東京V[71] -6
8.山形 [65]+11
9.愛媛 [53]-12
10.水戸 [51]-21
11.湘南 [49]-26
12.草津 [42]-32
13.徳島 [35]-49

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