硫黄島 戦場の郵便配達(フジテレビドラマ:土曜プレミアム)

『硫黄島、もうひとつの感動のドキュメントドラマ』
昨夜9日に放映されたフジテレビのドラマ。

ちょうど同日から封切られた話題のクリント・イーストウッド監督の映画
『硫黄島からの手紙』の公開に合わせた企画なのだろうが、
これが単なる便乗企画と思ったら大間違いだった。

まだ映画の方は観ていないのだが、
映画「硫黄島からの手紙」は硫黄島の戦闘が終わって発見された
数百通の届かなかった手紙を基に作られた映画だけど、
こちらのテレビドラマは「硫黄島から届いた手紙」と手紙を届けた人の話。

だいたい、メールなどがない時代にあんな最前線の戦場から電信ではなく
ハガキや手紙が届いたこと自体が驚きだ。

その陰には
その手紙を書いた人のドラマ。
その手紙を受け取った人のドラマ。
そして手紙を命がけで運んだ人のドラマ。
など手紙というまさに『人の思いを込めたモノ』だからこその
数々のドラマがある。
この番組はそんな『硫黄島からの手紙』をテーマにした感動のドラマだ。

戦闘シーンのスケール感は、映画には遠くおよばないけど
島の郵便配達に関わったパイロットや
戦場でも『手紙を届ける』という職務に喜びを感じて働く郵便局員。
戦場で唯一兵士と愛する人たちと心の交流になる『手紙』を届けようと
する人たちの姿に心を打たれる。

戦闘シーンより実話を基に人間ドラマを中心に作られ
俳優陣が好演したドラマ部と
実写のフイルムや硫黄島で戦った本人や遺族の証言、
そして硫黄島から届いた多くの家族宛ての本物の手紙などの
ドキュメンタリー部がとてもよく組み合わされて
硫黄島で起きていたことが明らかになる。

このドラマとドキュメンタリーの組み合わせは
資金を大きく投入できる映画と同じ作りでは存在感がないし
『テレビ的』な方法としてなかなか工夫されていたと感心した。

硫黄島に赴任した日本兵は終戦間近ということでだんだんと人手が減り
30代~40代の中年の兵士が多かったことや、
本土に非難した島民に代わり10代の少年兵が
食料の野菜作りに島に送られてきたことなど
今まで知らないことが多く描かれていて
改めてその戦いの悲惨さを感じさせられた。

そして映画「硫黄島からの手紙」では渡辺謙が演じる
陸軍の栗林中将にスポットが当てられているが、
こちらでは海軍の市丸利之助少将にスポットを当てている。
彼が家族に宛てて書いた手紙の数々とそれを受け取った
彼の娘さんたちの証言。

父親が戦場から送ってくれた愛情あふれる手紙を大切に保管し
今も読んでは涙を流す娘さんの姿にジーンとしてしまった。
『手紙』という形で『想い』と『心』はいつまでも残っているもんなんだな~。

そして一番驚きだったのは、市丸少将が硫黄島で最後の突撃をする前に
なんとアメリカのルーズベルト大統領宛てに和文と英文で手紙を書いて
それを部下にアメリカに届けよと命じていたことだった。

これこそ驚きの手紙。

内容は「日本を戦争に追い込んだ責任は英米にもあること」を責め
この戦争はアメリカが勝つと認めたうえで
「第2次世界大戦は第一次世界大戦の戦勝国が
     ドイツを徹底的に責めたことが原因で起きた」
という事実を述べ、その二の舞を踏まないよう
「戦勝国アメリカは敗戦国の日本に寛大な措置をとるように」ということを
強く要望して書きしたためている。

この手紙は最後の総突撃で死んだ日本兵の遺体から見つかりアメリカ本土へ運ばれた。
硫黄島陥落直後に死んだルーズベルト大統領に届いたかどうかは不明だけど、
手紙の内容はアメリカの新聞に大々的に報道されたということなので
市丸少将の手紙も硫黄島から目的地に届いたということだと思う。
「硫黄島からの手紙」というのはなんといろいろな思いを
読む人に届けたのだろうか・・・とても感慨深いものがある。

自分も今週「硫黄島からの手紙」を見るつもりだけど、
この企画ドラマは映画の『届かなかった手紙』に対して『届いた手紙』
陸軍栗林中将に対して海軍の市丸少将と映画を補足、補強する内容になっており、
映画(2本)と合わせて観るとより硫黄島の真実に迫れる。

このドラマを観ずに、もう映画を観終わった方も下の公式サイトを見れば
より映画で観たことが深く感じると思います。

(追記:11日映画『硫黄島からの手紙』を観たが、
このドラマの市丸少将役の藤竜也の演技は、
映画の栗林中将役の渡辺謙に比べても
まったくひけをとらないクォリティだったと感じました。)


『硫黄島 戦場の郵便配達』公式ホームページ

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