Life 天国で君にあえたら(2007年19本目)

これも先月観た映画の一月遅れのレビュー。

これは肝臓ガンのために38歳の若さで他界したプロウインドサーファー
飯島直樹さんの半生を描いた実話を基にした映画。

奥さんとの出会いから始まっているけど物語のメインの部分は
末期ガンで余命が短いことを彼が告知されたところから始まる。

彼が『やがてくる死』を襲い来る恐怖とどう戦い、どう受け入れ、
その日までどう生きて、どう死んでいったのか

その日まで家族や友人たちとどう関わり合い
また家族や友人はどう彼に関わっていたのか。

それを極端に美化することなく、
なるべく自然に描こうとしている映画だと感じた。

観終わった後、俺は涙が出る替わりに
寂しさと切なさとさわやかさを同時に感じた。

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怪談(2007年18本目)

ズバッと直球のそのもののタイトルのこの映画
原作は落語家というより講談師に近い雰囲気をもつ三遊亭円朝の怪談噺『累ヶ淵』(かさねがふち)

ストーリーはオーソドックスな日本の怪談で
男女間の感情のもつれからくる愛憎のはてに、
やがて女の情念が男に対して恐ろしい怪奇現象を生み出すというもの。

この映画、ちょうど観たのが厳しい猛暑の盛りの先月のお盆の頃。
暑気払いのつもりで軽い気持ちで観にいったのだけど、
期待以上に面白い映画だった。

なによりキャスティングがよかった。
物語の中心になる男女の男の方新吉の役は歌舞伎界のプリンス尾上菊之助。
その新吉に惚れる年上の女の豊志賀に黒木瞳。

まず尾上菊之助、さすがに梨園の御曹子だけあって和風な顔立ちで
和の男の色気がムンムン。男の魔性を感じさる。

対する黒木瞳に方はというと、スレンダーなボディで顔もキレイなのだが
いわゆるフェロモンというかドロドロの女の情念を感じさせるタイプではない。


この二人の持つキャラクターの違いが実にいい効果を映画に与えていたように思う。

それは、まず男の魔性を感じさせる尾上菊之助の雰囲気が日本古来の「怪談」、
クールビューティな黒木の方が「モダンホラー」とそれぞれ違ったティストをこの映画に与え
非常に古典的な『幽』を感じさせる怪談でありながら
サスペンスとプロットによって生み出されるモダンホラー的な恐怖感を併せ持つ作品に仕上がっている。

監督があの日本モダンホラー映画の金字塔『リング』の中田秀夫氏であればそれもなるほどといった感じだ。

あくまでも『怪談』でありながら、決して泣かない赤ん坊の天井を見つめる目の描写などに、
モダンホラーの風味がバッチリと効いている。
そんな心理的な恐怖と暗闇で急に後ろから「ワッ!」と声をかけられたときに驚くような即物的な恐怖がうまくブレンドされている。

個人的には監督がタイトルどおり「怪談」にこだわり、
ホラー要素を入れながらも日本古来の『幽玄』の世界を失わなかったことに好感を覚える。

逆に『リング』のようなホラー的な恐怖感を求めた人には不満がでるかもしれないけど、
そのあたりは評価に個人差が出るだろうと思う。

ラストの浜崎あゆみの歌は、映画のテーマが愛ということで選ばれたのかもしれないけど雰囲気が合ってなかった。
ここだけは余計なことをしたな~という感じ


映画館のロビーに作られた『怪談神社』


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ハリーポッターと不死鳥の騎士団(2007年の17本目)

最近、夏バテと転職の準備などで、
なかなかブログの更新ができずにいたけど
映画の方は気分転換にいつもと同じペースで観ていた。

ただし、レビューを書くまでにエネルギーがなく
ここまで放置状態に

遅まきながら忘備録代わりに簡単にレビューを。

ファンタジー映画の人気シリーズ、ハリー・ポッターシリーズの5作目。

実はオレ、このシリーズを劇場で鑑賞するのはこれが初めて。

ストーリー云々はひとまずおいといて、
この映画を観て感じるのいかにも英国風味な映像だな~ということ。

全体に暗めのダークなトーンの映像だけどいかにもロンドンらしくていい。

さらにこの映画で描かれている魔法使いの世界が
あの漫画家水木しげる氏の描く『妖怪の世界』とよく似ているのだ。

水木しげる氏の描く妖怪というのは人間が気がつかないだけで
常に人間社会のそばの存在している。

この映画の中の魔法使いの世界も
ロンドンの一般社会のすぐそばに存在している異空間だという雰囲気が感じられる。

『自分の身近にあるのに、まったく近づけない世界』
あの『おもちゃのチャチャチャ』の歌詞にあるような人間が寝静まった夜になると動き出す人形の世界にも通じる
この要素はファンタジーには欠かせないものではないだろうか。

そんな感じで観るとなかなか面白かった


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あの男が12年ぶりに再起動!『ダイ・ハード4.0』(2007年16本目)

いい味出すオヤジになったな~

ブルース・ウィリス演じるニューヨーク市警のジョン・マクレーン刑事


ダイ・ハードが日本で初公開されたのが1989年の2月。
もう18年になるのか・・。
前作の『ダイ・ハード3』からも12年。

90年代アクション映画の名作として映画ファンの記憶に残る作品の突然の復活。
なんだよ『ロッキー』じゃあるまいし、ブルースよオマエもか・・・

と思ったのだけど意外や意外・・これが実にいい。

決して単なる【昔の名前で出ています映画】ではなかった!


元々このシリーズは80年代後半、
それまでのシルベスター・スターローンや
アーノルドシュワルッツネッガーなどの超人的な肉体を持つ主人公が
巨悪と真正面から戦い倒すというヒーロー像と一線を画して
私生活で悩みを抱えたNY市警の中年刑事という等身大の主人公が
たまたま偶然に巻き込まれた犯罪で
圧倒的な劣勢を必死に跳ね返しながら戦う姿が
観客の共感を得て大人気を博してきた。

その精神はこの『4.0』でもきちんと生きている。

・・・というか12年の年月で老けた分だけ
タイトルである『ダイ・ハード』日本語訳『こんちくしょう』が
体からオーラのように染み出てくるほど似合うオヤジになった。



新作は今までよりミステリー風味が強まり
内容も過去のシリーズより正常進化している。

最初、東洋系の女性が出てくることから、
今度の敵はアジアの共産主義国家をモチーフにしたテロ集団か
と思ったのだが・・
アメリカの国家システムの根幹を襲うサイバーテロリスト。

この敵の設定こそまさに12年の時の流れを感じさせる。
現代社会にとっては一番やっかいなテロ集団かもしれない。

これはデジタルに弱いアナログオヤジデカにっとては最強の敵!
そのアナログなオヤジデカを助け共に戦う相棒は若きハッカー。
この老若コンビというのも昔からアクション映画の定番ならば、
人質になるのが中年オヤジにとっては一番扱いにくい
年頃の自分の娘というのも定番。

だがこのベタな設定が味のしっかりとしたオカズとなって
主食のスリルあふれるサスペンスを引き立てている。

前作までのリアクションで話しが進んでいく展開にくらべ
犯人像、犯人の狙いを解明しながら進むこのミステリー風味が
より緊張感を高めていると思う

冒頭の爆発シーンからラストまで本当に気を抜く暇がない。
カメラワークやサウンドがとにかくものすごい。
CGなのか実写なのかわからないものが多いし、
それを考えるゆとりがないくらいに面白い。
「ありえそうなリアルなもの」から「ありえねー」ものまで
極上のアクションシーンの連続。

オタッキーやFBIのおエライさんがジョンを助ける
ベタな泣かせのシーンがこれまた壷にはまり
胸を熱くする。

まさにエンタの帝王のような映画。
堪能しました。


それと音楽を忘れちゃいけない!
CCR!クリーデンス・クリアー・ウォーター・リバイバル!
よくこのグループを思い出したもんだ。
いや~実にジョン・マクレーンにピッタリの泥臭いサザンロック!
ジョン・フォガッティの弾くギターの音色がなんともいえない。
この選曲に大拍手!!


ところで次の再起動はあるのだろうか??


『ダイ・ハード4,0』公式サイト(音声が流れるのでPCの音量に注意!)


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歴史モノというよりスピード感あふれるアクション映画『アポリカプト』(2007年15本目)

   
ここまで引き込まれるとは・・・


あまり予備知識もなく観た映画だったが
自分には想像以上に面白かった。

中米メキシコに3世紀から16世紀まで続いたマヤ文明の崩壊を
モチーフした作品。
だが歴史映画というよりはアクション映画。


シンプルでわかりやすいストーリーに迫力の映像。
140分の長時間、中だるみすることなく
スピード感あふれるスリルとサスペンスで
スクリーンに釘付けにさせられた。

『本能で感じるエンターテイメント』という
この映画のキャッチコピーもオレにとっては
あながちおおげさではなかった。


R-15指定があるとおり、
正視するのがキツイ残酷なシーンもいくつかあるけど
それ自体が売りのスプラッター映画ではないと
オレには感じられた。

残虐なシーンをぼかさなかったからこそ、
最近の見慣れたファンタジー映画の血のないキレイな戦闘シーンとは
一線を画していたし
残忍な死を描くことで命の尊さや家族の愛、
友情がよりリアルに浮き上がった。

観ている方も迫り来る死があるからこそ、
主人公や彼の妻子の『生きたい』という欲求に
より感情移入できる。

血しぶきさえ飛ばないが、強者が弱者をとことんいたぶる
追いつめるは現代社会でもよくあること。
オレも主人公のようにしぶとく生き抜かなければ。

歴史映画につき物のナレーションがなく
俳優陣の演技にも無駄なセリフがなく、
言葉以上に目の演技というか『目力』のような
言葉に頼らない演技が多かったことも
スピード感アップに貢献していた。

さらにセリフがマヤ語というのも画面の中の世界に没頭できた大きな要因だと思う。
あれが英語だったら、なんとなくハリウッド臭さがモロにでて
スクリーンの中の世界とギャップができたと思うし。
たしかに字幕に頼って観ているとしても、
耳から入る音としてかなり雰囲気が違ったと思う。


観た人の多くが面白いという映画や駄作だという映画がある一方
感想や評価が分かれる映画がある。
この映画はまさに後者。

同じ種類の面白さの度合いを競うだけではなく
観る人によって感想のギャップが大きい映画。
そんな映画がもっと増えてほしい。

『アポカリプト公式サイト』
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迫力のバトルアクションムービー:300・スリーハンドレッド(2007年14本目)

紀元前500年前に起きたペルシア帝国(現イラン)と
ギリシャの都市国家連合軍との戦いの史実を
ファンタージー風味で仕上げた作品。

タイトルの『300』は、
そのギリシャ都市国家連合軍の中で
中心的な役割を演じたスパルタ国の
戦いに参加した兵士の数からきている。


歴史学上ではこの戦いはスパルタ軍が全滅し敗戦となっているのだけど、
この少数部隊の善戦が後にギリシャ連合軍の勝利につながるのである。
この映画はその少数で勇敢に戦ったスパルタ軍と王を描いている。


とにかく見所は戦闘シーン。
独特の処理がしてあるという映像は
迫力満点だし、色彩的にもキレイ。

やたら首が飛ぶシーンがあり生々しいのだが
不思議なくらい現実感がない
なんかゲームの映像のようだ。

だからかこの映画は歴史モノというよりも
ファンタジー映画といった趣が強い。

この映画、戦闘シーン以外にも
【スパルタ教育】という言葉を生んだスパルタの育児法や
ギリシャの議会政治による民主主義、
王と王妃の愛などのフレーバーも散りばめられているけど
どれも、戦闘シーンと並ぶもう一つの柱になるほどは
深く描かれてはいない。

飲んだ時の刺激は強いけど、後味が残らない
強炭酸飲料のような印象の映画だった。

バトルムービーとしてなら楽しめる。

『300』公式サイト

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三部作完結!パイレーツ・オブ・カリビアン・ワールドエンド(2007年13本目)

単品として観ると映像の迫力もすごく面白いが、
完結編として観るとわかりづらかった。


これが観賞1回目での正直なオレの感想。

ディビー・ジョーンズの心臓を手に入れ、
海賊を滅亡の危機に陥れた東インド貿易会社を相手に結束して戦う海賊たち。

海賊たちの処刑のシーンから海賊達の集結→最後の決戦と、
ストーリーの流れ自体はとてもスムーズなのだが、
一方ウィルとエリザベスをはじめ、ディビー・ジョーンズ、バルボッサ船長など
多くの登場人物たちのそれぞれの完結は、
この映画を観る前に1作目と2作目を観ていかないと、
すぐには理解できないかも。

というか一度これを観た後に、1作目2作目をもう一度観て
またワールドエンドを観るのがいいのかもしれないな~。
そうすれば、きっともっと深いところまで楽しめそう。
(エンドロール後の映像で出てきたエリザベスとウィルの息子と
初めの方で処刑台に上がった男の子が同じように感じたので
それも確かめたい)

あまりにもジャック・スパロウの存在が大きくて、
他の登場人物のエピソードをいつの間にか忘れてしまっている。
それを痛感した今回の『ワールドエンド』観賞であった。

あと解せなかったのが『カリプソ』
ジャックの元カノという設定だったテイァ・ダルマが
実はディビー・ジョーンズと恋愛関係にあった女神カリプソだったとは

しかもこのカリプソ、映像のなかでは渦巻きとしか表現されてないし
なんかわかりにくい存在。
ファニーフェイス好みのオレとしては美形のエリザベスより
ティアのファンだったのでここがイマイチだった。



エンドロール後のオマケの映像を観ると
この映画の本当の主人公というか本当のテーマはウィルとエリザベスだったんだな~と思い出させられる。


三部作が終わるだけでシリーズは続くというのが世間での評判だが、
これからは名実ともにジャック・スパロウ中心の映画になっていくのだろうか。

パイレーツオブカリビアン・ワールドエンド公式ホームページ

※ロックファン、ストーンズフリークとしてはジャックの親父役で出演して
ギターまで弾いたキース・リチャーズの登場シーンはお宝映像だ


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中途半端な印象『サンシャイン2057』(2007年12本目)

「結局何だったの?」
観終わった後にそう感じる映画だった。


太陽がその力を弱め、それによって地球が存亡の危機を迎え
8人のクルーがそれを救うために宇宙船で旅立つ。

アルマゲドンに代表される地球滅亡を救うSFサスペンス映画。

この手の映画の常道で、
その救出作戦を遂行するにあたり
数々の苦難が待ち受けている。

その苦難の種類が、この映画はかなりユニーク。

まず一つ目が『太陽の存在』

宇宙船内からでも直視すれば目が焼け、
船外でその光に直射されれば一瞬にして焼けてしまう太陽の光。

それほど危険な光なのに、
その光はクルーを魅了する。

光の中に『神の存在』を見出したかのように、
任務や自らの命と引き換えに太陽の光に焼かれる乗組員。


太陽は太古の昔から信仰の対象だし、
あのアメリカのアポロ計画で宇宙遊泳を経験した宇宙飛行士が
その後、宗教活動に目覚める例が多いというような話を
以前なにかテレビで聞いたことがある。

そしてもう二つ目がクルーたちの感情。
『地球を救うために命を捧げる』という建て前の覚悟はあるものの、
『生への執着』や『地球への未練』などから、
クルー間の確執や自分の中での葛藤。

この人間の内面や精神世界に目を向けた発想はよかった。

この路線で映画を仕上げてほしいと個人的には思ったのだが


深く掘り下げることができなかったのか、
後半、前回同じ任務に着き失敗した宇宙船のクルーが
バケモノ化して作戦を邪魔するという
『エイリアン』や『プレデター』のようなSF恐怖映画の様相を帯びてくる。



・・・かと思えばラストシーンはやけにロマンチック。
パーツひとつひとつは悪くはないのだけど、
つなげてみるとうまく組み立てられない。

真田広之をはじめ俳優陣の演技そのものは悪くはなかった。
でも役者を活かしてないな~この映画。


『サンシャイン2057』公式サイト


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社会性と娯楽性が見事に融合『ブラッドダイヤモンド』(2007年11本目)

キレイなダイヤの輝きの中に潜む闇の部分を描いた力作!


この映画の舞台になったアフリカのシエラレオネ共和国共和国は実在の国であり、
実際にあったその国の内戦をモチーフに、この映画は作られている。

アフリカ大陸で内戦が勃発している国が多いのは、なんとなく知っていた。
でも、それがどんな原因でなのか・・そこまでは知らなかった。
ダイヤモンドなどの鉱物資源の利権がその原因の一つであることが
この映画でわかった。

ダイヤの非合法の輸出で得られる莫大な資金で富を得ようとする密売人や
傭兵舞台の指揮官。
その資金で軍事力を整え国の権力を握ろうとする反政府勢力。
その反政府勢力によって拉致され奴隷のような扱いで
そのダイヤの発掘作業をさせられる人々。
さらに反政府勢力による麻薬と洗脳で少年兵士にさせられる少年たち。
キレイなダイヤモンドの輝きの裏に隠された
アフリカの陰の部分が、とてもリアルに描かれている映画であった。


一般人の村が反政府勢力のRUFに襲われる映像シーンは残虐だ。
しかもその戦力の大きな割合が少年兵だというが
なんともいたたまれない。

この映画は社会性の高い問題をテーマにし
それを娯楽作品としても楽しめる映画にすることにより
より問題を観る側に印象深くしている。

それには主演のレオナルド・デカプリオや
ジャイモン・フンスーの名演技、力演による功績が大きい。
デカプリオは【レオ様】と呼ばれたタイタニックの頃に比べ
スコセッシ作品での起用が続いてから、
実にこの手の映画にピッタリの役者になってきたように感じる。
ラストシーンにちょっと甘さが漂うけどオレはそれを否定しない。
より映画が印象的になったし、
あの雰囲気を出せるのがデカプリオのいいところだと思うのだ。
彼は骨太と繊細さが同居した役をうまくこなせる役者である。

ソロモン役のジャイモン・フンスーの演技もすごい。
彼の熱演がこの映画に骨太感とリアリティを与えることに
貢献しているのは間違いない。
父親の存在、男の友情・・・デカプリオ演じるアーチャーと絡む後半の演技は
見応え十分。
特に隠れていなければならないのに、
息子の名前を思わず叫んでしまうシーンには
観ていて本当にハラハラした。

2時間20分を越える長時間の映画ながら、
まったくその長さを感じさせない展開で
ラストまで映画の世界に浸りきれた。
映画の持つ力を感じさせる作品で印象に残る映画だ。

『ブラッド・ダイヤモンド』公式サイト

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良作時代劇『あかね空』(2007年10本目)

   
平成の時代小説の第一人者といわれる山本一力の直木賞受賞作品の映画化。


オレは邦画の時代劇というと
戦国時代や大名を描いた歴史物や
いわゆる『チャンバラ』の剣豪モノというイメージが強い。

だからこの映画のような江戸町人の生活を中心に描いた映画は
とても新鮮だった。

前半の永吉とおふみ、それをとりまく長屋の人々、
同業のライバル、相州屋の夫婦が織り成す人情話はベタだが
ベテランの芸達者たちの演技で質の高い芝居に仕上がっていて
とても楽しめた。

しかし、話が一気に二人の18年後を描いた後半へ展開していくのは
唐突すぎて面喰らった。
あれだけ仲の良かった永吉とおふみの夫婦が
長男の栄太郎のことで夫婦仲も冷え切っているのには
それ以上に驚いた。

あとでおふみが栄太郎を溺愛するのは、
自分の不注意で栄太郎に火傷を負わせ
体に傷跡を残したことに対する負い目と
その息子への不憫さからだとわかるが、
ここはあまり凝らずに、シンプルに時系列で
話を展開した方がよりストーリーが活きたのではないだろうか?

非常に長い時間の話を2時間に収めるのだから、
一気に18年後に話がとぶのは仕方がないと思う。
だからこそ、その一気に飛ばした部分の出来事はなるべく
わかりやすく進めた方が良かった。

そんな注文はあるけど、
永吉を生き別れた実の息子のように想い応援する
岩下志麻演じる相州屋の女将さんとその永吉の作った店の危機を救うのが
実の息子の傳蔵親分というこの話の一番の見所・・・・
それを内野聖陽の一人二役で芝居にしたアイディアは実に素晴らしいと思った。

夫婦愛と親子愛そして傳蔵の数奇な運命・・・
映画全体のまとまりという点では今一歩だったし、
名画や秀作ではないかもしれない。
でもオレには観終わった後に
心にしっとりとした余韻が残るよい映画だった。




『あかね空』公式サイト
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