恐懼に堪えない日々

【恐懼】(きょうく)・・・ おそれかしこまること。日々の生活は恐懼に堪えないことばかりですよね。

8/30(金)池袋演芸場 昼席(主任:入船亭扇辰)

2019年08月30日 | 噺とか
八月下席の池袋は初日にも来たわけなのですが、
林家正蔵師匠と入船亭扇辰師匠が交互のトリということもあり、
ここはやはり入船亭扇辰師匠のトリも聞いておきたい、
ということで8月の終わりに池袋まで再びやってきました。

八 楽「からぬけ」
辰乃助「マオカラー」
さん助「熊の皮」
吉 窓「大安売り」
二 楽「紙切り」(三K辰文舎・扇辰一門)
志ん橋「野ざらし」
正 蔵「普段の袴」
-仲入り-
小 辰「猫と金魚」
小燕枝「宗論」
小 菊「粋曲」
扇 辰「匙加減」

辰乃助さんの「マオカラー」は初めて聞く新作。
いやはや、てっきり古典ばかりの顔付けだなぁと思っていたので、
ここで新作が来るとはいい意味で裏切られました。
この噺をかけたところで、今日の客層がどんな感じか知る手掛かりにも。
寄席のネタや落語にまつわるネタをちりばめてありますからね。
ともかく、この噺を聞いたのがちょっとした収穫でした。

さん助師匠は「熊の皮」で、幾度も聞いた定番の噺ではあるのですが、
さん助師匠のキャラクターも相まって、不思議と笑えてしまう。
なんでしょう、力の入れるところと抜くところが絶妙なんでしょうね。
この噺で声を出して笑ってしまうとは思いませんでした。

吉窓師匠は定番の「大安売り」。末廣亭でもよく聞きますかね。
でもやはり聞いていて安定感があります。
「大安売り」もいろんな人がやりますが、
吉窓師匠のものが一番好みかもしれません。

志ん橋師匠は「野ざらし」を熱演。
いやはや、これもなかなかにパワフルで聞きごたえがあります。
この噺自体が結構好きなのですが、志ん橋師匠のキャラもそうですし、
無理に笑わせようとしないのに、つい笑ってしまう。
これぞ円熟の技なのかもしれません。

小燕枝師匠は「宗論」で、これまたびっくり。
しっかりとした古典をやる師匠のイメージでしたが、こういう噺もやるんですね。
もっとも、いろんな若手の方がやるような入れ事は少なめで、
インチキな外国語訛りなんかもありません。
にもかかわらず、小燕枝師匠の演じる息子のキャラクターが何ともいえず可笑しい。
いやはや、いろいろと裏切られ続けます。

トリの扇辰師匠は「匙加減」でした。
歌奴師匠で何度か聞いたことがありますが、扇辰師匠では初めて。
高座に近い位置からたっぷりと楽しませていただきましたが、
大きいところから小さいところまで扇辰師匠の表情の移り変わりを見ているのも楽しい。
わざとらしくなく、さらっと前の演者のネタを入れこんだり、
時事ネタを入れこんだり、それが不思議と噺の世界観を妨げないのがいいですね。
ついつい話に引き込まれる、そんな心地の良い30分でした。

仕事のこともあるので、ここに来るべきか迷っていましたが、
意を決してここに来てよかった、と思えるそんな寄席でした。
そして、今度こそ8月も終わりですねぇ。

恐懼謹言。

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