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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024年)7月12日(金曜日)
通巻第8326号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オルバン、「ウクライナとロシアの間に「ほとんど合意はなかった」
「メルケルならウクライナ紛争は「国際戦争」までエスカレートしなかった」
**********************************
「ハンガリーのトランプ」こと、オルバン首相の「暴走」はEU議会とNATO加盟国を大きく動揺させ、また反発をもたらした。
オルバンはタブーを口にした。「兵士、装備、技術のバランスを考えると、プーチン大統領が負けるはずはない。ロシアの敗北は想像しにくい。ロシアが実際に負ける可能性は計算できないほど小さい」。
オルバンはNATO創立75周年のワシントン会議出席の途次、ドイツへたちよった。
そしてドイツのメディアとのインタビューで「メルケル前首相がまだ権力を握っていたら、ウクライナ紛争は「国際戦争」にまでエスカレートすることはなかった」と妙に持ち上げて見せた(ディ・ウェルト紙、7月8日付け)。
これはEUのオルバン批判に対しての一種「変化球」である。
オルバン首相はNATO会議の前にドイツのショルツ首相と会談した。ウクライナ紛争の解決について「ウクライナとロシアの間に「ほとんど合意はなかった」と述べ、「いつも(発言を控えて何もしない)ショルツ前首相がいなくて寂しい」と強い皮肉を言った。
そのあとで、「もしメルケル首相がまだ権力を握っていたら、現在の形のロシアとウクライナの紛争は決して起こらなかっただろう」と発言したのだった。メルケルに高い評を与えるオルバンの思惑とは何か?
「彼女(メルケル)には、ヨーロッパにとって有害な紛争を隔離する能力、理解力、スキルがあった。我々は紛争を許し、戦争を許すという過ちを犯した。そして隔離する代わりに、エスカレートさせ、国際問題にしたのだ」。
ゼレンスキーは「オルバー首相にはロシアとウクライナの紛争終結を交渉するために必要な影響力がない」と指摘した。
習近平国家主席はロシアとウクライナの紛争解決に向けたハンガリー首相の努力を称賛した。中国外務省は会談後、「ウクライナ問題に関しては北京とブダペストの立場はかなりの程度まで一致している」とした。
これがNATO75周年記念のワシントンでの動きだが、裏舞台で囁かれているのはバイデンの交替とともに、じつは「ゼレンスキーの交替」説である。停戦交渉の障害物は、いまやゼレンスキーではないか、というわけだ。
またNATOのメンバーでもない日本、韓国、豪州、NZが招かれ、[IP4](インド太平洋四ヶ国)などと煽てられたが、欧米の真意を探る必要があり、この動きは要注意だろう。
令和六年(2024年)7月12日(金曜日)
通巻第8326号
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オルバン、「ウクライナとロシアの間に「ほとんど合意はなかった」
「メルケルならウクライナ紛争は「国際戦争」までエスカレートしなかった」
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「ハンガリーのトランプ」こと、オルバン首相の「暴走」はEU議会とNATO加盟国を大きく動揺させ、また反発をもたらした。
オルバンはタブーを口にした。「兵士、装備、技術のバランスを考えると、プーチン大統領が負けるはずはない。ロシアの敗北は想像しにくい。ロシアが実際に負ける可能性は計算できないほど小さい」。
オルバンはNATO創立75周年のワシントン会議出席の途次、ドイツへたちよった。
そしてドイツのメディアとのインタビューで「メルケル前首相がまだ権力を握っていたら、ウクライナ紛争は「国際戦争」にまでエスカレートすることはなかった」と妙に持ち上げて見せた(ディ・ウェルト紙、7月8日付け)。
これはEUのオルバン批判に対しての一種「変化球」である。
オルバン首相はNATO会議の前にドイツのショルツ首相と会談した。ウクライナ紛争の解決について「ウクライナとロシアの間に「ほとんど合意はなかった」と述べ、「いつも(発言を控えて何もしない)ショルツ前首相がいなくて寂しい」と強い皮肉を言った。
そのあとで、「もしメルケル首相がまだ権力を握っていたら、現在の形のロシアとウクライナの紛争は決して起こらなかっただろう」と発言したのだった。メルケルに高い評を与えるオルバンの思惑とは何か?
「彼女(メルケル)には、ヨーロッパにとって有害な紛争を隔離する能力、理解力、スキルがあった。我々は紛争を許し、戦争を許すという過ちを犯した。そして隔離する代わりに、エスカレートさせ、国際問題にしたのだ」。
ゼレンスキーは「オルバー首相にはロシアとウクライナの紛争終結を交渉するために必要な影響力がない」と指摘した。
習近平国家主席はロシアとウクライナの紛争解決に向けたハンガリー首相の努力を称賛した。中国外務省は会談後、「ウクライナ問題に関しては北京とブダペストの立場はかなりの程度まで一致している」とした。
これがNATO75周年記念のワシントンでの動きだが、裏舞台で囁かれているのはバイデンの交替とともに、じつは「ゼレンスキーの交替」説である。停戦交渉の障害物は、いまやゼレンスキーではないか、というわけだ。
またNATOのメンバーでもない日本、韓国、豪州、NZが招かれ、[IP4](インド太平洋四ヶ国)などと煽てられたが、欧米の真意を探る必要があり、この動きは要注意だろう。
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