「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)2月12日(月曜日)
通巻第8128号
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「AIと遺伝学の研究を止めることは不可能、「超人」誕生への道が開かれる可能性。
人類は最終的脅威に気づき、規制に関する国際合意に達するだろう」(プーチン)
****************************************
プーチン大統領がタッカー・カールソンとのインタビューのなかで、脳に埋め込んだAIと医療分野でもAI革命とも言える最近の動きについて語っている箇所がある。
これはイーロン・マスクのニューラリンクが行った医療の技術進歩をロシアの指導者がいかに評価したかという世界観の認識に繋がる問いである。
「AIの進歩は続くだろうが、規則が必要である」として、プーチン大統領はカールソンに発言を続けた。
「AI帝国が間もなく現実になると思う。イーロン・マスク氏を止めることはできない。AIと遺伝学の開発は形式化され、一定の基準に従う必要があるため、何らかの共通点を見つけることが重要だ」
さらにプーチンは次を指摘した。
「AIと遺伝学の研究を止めることは不可能であり、これにより「超人」誕生への道が開かれる可能性がある。けれども人類は最終的に技術の野放しな開発がもたらす脅威に気づき、規制に関する国際合意に達するだろう」。
AIと遺伝学の発展を核兵器の出現に例え、「ひとたび人類が核兵器による生存の脅威を感じると、すべての核保有国は核兵器の過失による使用が危険な可能性があることに気づいて以来、互いに歩み寄り始めたように、AIを人間存在の「新たな章」と認識すべきだろう。認知機能をもつAI誕生を阻止することはもはや不可能である」。
このような大議論が展開されたのだが、西側の反応はやぶにらみ、最初から否定的な態度だった。
ジョンソン英元首相は「プーチンの言い分を聞くなど裏切りだ」
スナク現英首相は「西側が戦争を始めたというプーチン大統領の主張はばかばかしい」
ジョルツ独首相は「不条理だ」
ヒラリー・クリントン元国務長官は「米国政府よりロシアの指導者を信頼するとは!」
ロシアでリベラルな立場に立脚し、プーチンに批判的なのが『モスクワタイムズ』である。同紙はプーチン政権から「外国の代理人」と批判されている。しかし、中国がリンゴ日報を潰し、創刊者のジミーライを逮捕し、起訴したが、ロシアではまだ言論の自由が担保されている。
同紙はこう皮肉った。「プーチン大統領は、約2年前の戦争開始以来定期的に持ち出してきた、疲れ果てた不満に満ちた歴史物語を語った。彼は西暦862年のリューリク王朝の創設と西暦988年のルーシの洗礼か、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンが「人為的に」ウクライナ国家を創設したとされる時代、その後のソ連の崩壊に至るまで、あらゆることを語った」
『キエフポスト』に、次のコラムがでた。
「タッカー・カールソンのモスクワへの旅行は、内なる欲求不満を和らげ、誇大妄想を満たすために、自分を認めてくれる簡単な機会を掴む人々の長い伝統に従っている」。つまり敵のプロパガンダを宣伝し、売名に使ったのだと批判である。
プーチン礼賛の英語版プラウダは、書いた。
「プーチン大統領は、一冊のメモも持たずに東ヨーロッパの1000年の歴史を28分以上費やしたが、バイデン氏は昼食に何を食べたか全く分かっていない。恐ろしいことだ。」
こっぴどく非難するかと思われたニューヨーク・タイムズは意外と冷静に「ロシア大統領が米国にウクライナ問題で交渉するよう求めた。プーチン大統領は2時間のインタビューで、ウクライナ侵略が軍事的勝利で終わるのではなく、西側諸国との合意で終わるとの見方について、いつもより率直に語った」と伝えた。
まったく奇妙なのが保守系メディアのFOXニュースだろう。カールソンの古巣である。同局はものの見事に一行もカールソンvsプーチンの記事を報じていない。黙殺である。
その一方で、米国メディアはバイデン大統領の記憶力を問題としている。
トランプが言った。「バイデンは自分が生きているのかさえ認識できないのではないか」。
令和六年(2024)2月12日(月曜日)
通巻第8128号
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「AIと遺伝学の研究を止めることは不可能、「超人」誕生への道が開かれる可能性。
人類は最終的脅威に気づき、規制に関する国際合意に達するだろう」(プーチン)
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プーチン大統領がタッカー・カールソンとのインタビューのなかで、脳に埋め込んだAIと医療分野でもAI革命とも言える最近の動きについて語っている箇所がある。
これはイーロン・マスクのニューラリンクが行った医療の技術進歩をロシアの指導者がいかに評価したかという世界観の認識に繋がる問いである。
「AIの進歩は続くだろうが、規則が必要である」として、プーチン大統領はカールソンに発言を続けた。
「AI帝国が間もなく現実になると思う。イーロン・マスク氏を止めることはできない。AIと遺伝学の開発は形式化され、一定の基準に従う必要があるため、何らかの共通点を見つけることが重要だ」
さらにプーチンは次を指摘した。
「AIと遺伝学の研究を止めることは不可能であり、これにより「超人」誕生への道が開かれる可能性がある。けれども人類は最終的に技術の野放しな開発がもたらす脅威に気づき、規制に関する国際合意に達するだろう」。
AIと遺伝学の発展を核兵器の出現に例え、「ひとたび人類が核兵器による生存の脅威を感じると、すべての核保有国は核兵器の過失による使用が危険な可能性があることに気づいて以来、互いに歩み寄り始めたように、AIを人間存在の「新たな章」と認識すべきだろう。認知機能をもつAI誕生を阻止することはもはや不可能である」。
このような大議論が展開されたのだが、西側の反応はやぶにらみ、最初から否定的な態度だった。
ジョンソン英元首相は「プーチンの言い分を聞くなど裏切りだ」
スナク現英首相は「西側が戦争を始めたというプーチン大統領の主張はばかばかしい」
ジョルツ独首相は「不条理だ」
ヒラリー・クリントン元国務長官は「米国政府よりロシアの指導者を信頼するとは!」
ロシアでリベラルな立場に立脚し、プーチンに批判的なのが『モスクワタイムズ』である。同紙はプーチン政権から「外国の代理人」と批判されている。しかし、中国がリンゴ日報を潰し、創刊者のジミーライを逮捕し、起訴したが、ロシアではまだ言論の自由が担保されている。
同紙はこう皮肉った。「プーチン大統領は、約2年前の戦争開始以来定期的に持ち出してきた、疲れ果てた不満に満ちた歴史物語を語った。彼は西暦862年のリューリク王朝の創設と西暦988年のルーシの洗礼か、ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンが「人為的に」ウクライナ国家を創設したとされる時代、その後のソ連の崩壊に至るまで、あらゆることを語った」
『キエフポスト』に、次のコラムがでた。
「タッカー・カールソンのモスクワへの旅行は、内なる欲求不満を和らげ、誇大妄想を満たすために、自分を認めてくれる簡単な機会を掴む人々の長い伝統に従っている」。つまり敵のプロパガンダを宣伝し、売名に使ったのだと批判である。
プーチン礼賛の英語版プラウダは、書いた。
「プーチン大統領は、一冊のメモも持たずに東ヨーロッパの1000年の歴史を28分以上費やしたが、バイデン氏は昼食に何を食べたか全く分かっていない。恐ろしいことだ。」
こっぴどく非難するかと思われたニューヨーク・タイムズは意外と冷静に「ロシア大統領が米国にウクライナ問題で交渉するよう求めた。プーチン大統領は2時間のインタビューで、ウクライナ侵略が軍事的勝利で終わるのではなく、西側諸国との合意で終わるとの見方について、いつもより率直に語った」と伝えた。
まったく奇妙なのが保守系メディアのFOXニュースだろう。カールソンの古巣である。同局はものの見事に一行もカールソンvsプーチンの記事を報じていない。黙殺である。
その一方で、米国メディアはバイデン大統領の記憶力を問題としている。
トランプが言った。「バイデンは自分が生きているのかさえ認識できないのではないか」。