車内広告やあちこちの施設に置かれたチラシでは、「エッシャーが命懸けで守った男。」というサブタイトルが強烈なインパクトがあり、画家の名前”Mesquita(スペルが読めないし)”という文字も、”メスキータ(細長い文字の縦組みで)”というカタカナも一瞬では読み取れず(こちらが知らないこともあるが。もちろん)。。。。でも、その文字も含めてキッパリとインパクトのあるモノクロのデザインは、イヤでも眼に入る。
日本初の回顧展になるメスキータ(正確には、Samuel Jessurun dc mesquita 1868-1944)である。
”19世紀から20世紀初頭のオランダで活躍した画家、版画家、デザイナーで、この時代における最も重要なグラフィック・アーティストの1人と言われている”。まさにこのチラシはメスキータの全体像を集約しているのであった(!)
木版画は元々好きなジャンルであるが、メスキータの木版画は力強くシャープで、余分なものを一切省略した簡潔な線と構図、線の太さ細さによってモノクロ画面にコントラストと陰影を深めている。
展示作品の多くは1900年代前半(1930年代頃まで)とあるが、その後、1944年1月、ユダヤ人であるメスキータはゲシュタポに逮捕され(この時70歳を超えていた)、アウシュビッツで亡くなる。この間、美術学校でメスキータの指導を受け大いなる影響を受けたM.C.エッシャーは、アトリエに残された膨大な作品の一部を友人たちと共に決死の思いで救い出し、戦争中をつうじで守りぬいた。。。。「エッシャーが命懸けで守った男。」メスキータなのだった。
5種類のチラシの表と裏にそれぞれ作品が掲載されていて、どれもこれもダイナミックな構図多種多様な彫りの線に感歎!驚愕!線によって主体の輪郭を際立たせたものもあれば、白と黒の面だけでユーモラスな表情を描いたものもあり、こんなにも豊かな表現ができる版画の画法と、同時に1900年代前半の社会背景を合わせて想像すると、どこか見えない影が覆っているようにも思えてくる。
8月18日までの開催。これは絶対にオススメ!の展覧会でありました。
メスキータの日本初回顧展は、以下です。
・会期:2019年8月18日まで
・場所:東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201906_mesquita.html
東京ステーションギャラリーの階段室天井。ここも好きな空間だ。
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