izumishのBody & Soul

~アータマばっかりでも、カーラダばっかりでも、ダ・メ・ヨ ね!~

「鬆」と「緩」、「旋」と「転」ーー日本語と中国語。同じ文字でも意味するところが違う

2021-04-07 11:19:43 | 太極拳

太極拳は中国の伝統身体文化であるから、そこで言われる言葉は中国語である(もちろん!)。

漢字であるから文字を見ればおおよその意味は分かる。。。しか〜しッ!日本語としての理解でいると、思わぬ違い(それも基本的なこと。大きな間違いになる違い)がある。

 

よく聞かれる言葉に「放鬆(ファンソン)」がある(放松と書くことも)。

最初に太極拳を習い始めると、「力を抜いて」という意味でしきりに言われる言葉だ。

これを単純に力を抜く、緩める、と取ってしまうと、身体全体の芯もだらっと抜けて、「立身中世」も崩れる。丹田にも力(気)が入らない。やがて腰回りやお腹周りが締まりなくだらっとしてきて、歳を取るほど体型が(普通に)崩れてくる(!)。”剛柔相在”ー柔らかさの中に強さもあるのが太極拳なのであります。

 

日本人が理解している「緩む」の状態は、実は中国的には「散」。バラバラになることを意味する。「散」を避けるとは日本でも指摘されるが、では「鬆」とは何?

song)は、中国語でも緩むという意味はあるが、空間を空けるとか、ゆとりがある。キツくない。といったニュアンスを含んでいる。硬く結んだ結び目を緩める、ネクタイを少し緩める。ほどくなどなど、バラバラになるのではなくて元はまとまっているのだ。

「鬆」は緩まない。身体の芯はしっかりと立ち上がって力がある。その中に柔らかさ、弾力、膨らみがあることが要求されるのだ。

Wikipediaによると、鬆は、日本語では「す」。「本来は均質であるべきものの中にできた空間をいう」とある。蓮根の孔とか煮過ぎた豆腐にできる気泡のようなもの。いずれにせよ、実体があるものの中にできるゆとり、隙間、空間。。全体が萎むわけではない。

 

 

同じように転と旋の違いもある。

「転」は転がる。軸を中心として回転すること。

一方、太極拳や気功は「旋」。回転に方向性が加わることで旋転となる。(足元から)巻き付くように(全身に伝わり)、(足から手に)纏わり付いて、(上下に)伸びていく、(左右に)広がる。。

伝統拳で良く言われる「纏糸勁」は、形としては前腕が内旋・外旋をすることによって掌が外に向いたり中に向いたりするが、これは軸を中心として回転すること。陳式太極拳ではそれに方向性が加わることで「旋」になる。台風とかトルネードの渦巻きをイメージすると分かりやすい。下(足の裏)から湧き上がった渦巻きが背中を通って大きく広がって指先に至る。その中心は柱のように下から上まで繋がっている。これが「旋」。螺旋階段のように柱に巻きつきながら上がっていく感じ。

 

他にも“拳理”と言われる言葉(大抵は四文字熟語)がいくつもあって、文字面だけを見ると難しくもない(と思ってしまう)が、正く理解するには相当の意識と感覚が必要。四文字熟語大好き!なワタシ的には、言葉の説明は簡単。でもそれを身体の状態で説明するには言葉の真の意味を知り、身体の感覚を認識してそれをもう一度日本語に置き換えるのが必要。でなければ人に指導するにも行き詰まる。指導する立場になっても、勉強はまだまだ続くのであります。

伝統拳は知れば知るほど深い!面白い!!

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陳鑫著「陳氏太極拳図解」その15〜搂膝拗步の続きから初収に

2021-01-12 11:53:15 | 太極拳

(2020,09,06から続く)

前回から4ヶ月も経ってしまった😅

前回は「白鶴亮翅から搂膝拗步に入って「上勢の「白鶴亮翅」は体然たる開勁の本勢で、本勢の「膝拗步」は合勁である。上勢は即ち下勢の前半勢であり、下勢は上勢の後半勢に相当し、一開一合で一勢となす」まで。

この続きであるが、原本に付け合わせてみると、どうも翻訳に抜けてる箇所があるようだ。省略されている箇所は太極拳をやっていないと分かりにくい部分でもあり、易(方向)に関する説明もある様だが、中国語辞書と首っ引きで調べてもよく分からない。。。

辛うじて前回からの続きの頭部分だけ訳してみたのが💦以下。その後、また省略があり、第七勢に続く。

前の「白鶴亮翅」の動きは停止するところでである。であるけれどここではの中のである。後の「搂膝拗步」は動である。けれど停止するところではである。合に見えるのはこれすなわち一動一静である。前の静は前半勢の結果であり、客(主ではない)に属する:後のは全ての勢の終わったところであり、故に主である。・・・・一部省略あり・・

で、今回は以下の箇所から。

〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜・

長短句俚語

 拳勢はもともと規則的ではない。別に大きく開き、大きく合わせたりする必要はない。右手を西北に左手を東南に、左足は西南に右足は東北に置き、胯を開き肱を伸ばし、一歩進んで停止する。両手を平に持って両側に落とし、いっせいに膝を抱いて右手は胸に落とし左手は背後に隠す。両足は西に向けると威風堂々の勢となり、吉祥の光を放つ。別に古い規則に捉われる必要はない。続けていくと変化無藭(止まるところはない。極まることはない)であることを悟り、楽しいものである。

腎の入出は、纏糸勁は身体を正く保ち、揺れをなくし、足下が穏やかに安定し、胯が円襠に開き、硬気が柔らかに沈むために必要である。全て欠けるところがなく、元気が満ち、合致している。

〜〜〜〜〜〜一部省略あり〜〜〜〜〜

 

第七勢 初収

左肘を沈め、左手を左頬下の側へ持っていく。左腋を開き、右手甲側を向け手首を内側へ向ける。

 ① 眼は指腹を見据え

 ② 頭を起こし、身体を引き締め全身に精気が漲るようにする。精神を統一し、些かも気を散らしてはならない。気が散れば身法はますます小さくなり、敵を御すことは難しい。精神が集中してはじめて前後左右を防御することができる。これを収引来進の勢という。

   ③ 右肘を落とした右手を右乳の中位(乳から七、八寸)はなれたところへ持っていき、手甲を外に向け、両手の間隔は約一尺位。

 ④ 左膝を曲げて身体を支え、勁は内側に向かって合わせる。硬くてもいけないが、あまり柔らかくてもいけない。中間を取るよう。

 ⑤ 右足を左足の側に納め、両足は4、5寸の間隔をとる。足指を地につけるのは虚足で下勢の伏脈となす。

 ⑥ 右膝を曲げ、足指を西に向け、股は開ける程まるく勁を含む。下腹を据え、胸を前に合わせ、腰の勁を下に引きつける。軟は不可。

 左手指は斜めに右肩に向け、手甲も外に向け、これも左手は右手に従う。敵の右肘を引いて前進させて我に近づけ我を撃とうとさせると敵は勢を得たものと思って我を撃つ。我は両手を引いて敵に落空(ふいになる。だめになる)を与える。これは先んずる者勝ち目にあう理で、左足は右に置き、足先は地につき埋伏の勢を整える。これは上に向ければ敵を打撃し、また下勢に進む準備姿勢でもあり、もっとも優勢な形である。初収の形勢は小さいようだが、胸襟は広大で大空の如く、又、大地の様に果てしない。しかも頭上勁は濁気を導いて下降させ、精気を丹田に入れ込むので、姿勢は小さいが気はおおらかで、他人の目からは推測できないものである。即ち動中に静あり、静中又動ありで、形勢の小規模のみでこれを軽んじてはならない。

 

四言俚語

 初収の象は大気の転回に似て猫がネズミに躍りかかる如く、虎が人を襲撃し、獅子が象と奮闘する姿に似ている。動作こそは小さいが縮小しても一心の霊は妙を得、手と眼は相随い放つの一声で放ち、強敵に手向かうことができる。屈してこそ伸ばすことができる。その意を解すれば拳術も自ずと会得できよう。

 

   

 

 

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陳鑫著「陳氏太極拳図解」その14〜搂膝拗步の続き

2020-09-06 15:43:41 | 太極拳

前回(7/14)搂膝拗步より続く 〜その14

 

上勢「白鶴亮翅」は両手を挙げ内勁が十分に行きわたるのを待って、そして両手を平らにして両側に下げる。右脚を正しく西に向かわせ、左足を左に二尺ほど大きく一歩開く。足指も正西方角へ向け、強く踏みしめる。手を平に下げるとき、右手は右膝をかすめて通り、下から右上に向かって右に大きく一回りさせて胸の前に落とし、手をひねり手首を左に向け、手の甲は右に向け、手指を揃え斜め上にもっていき鼻と付き合わせる。

左手は左膝をかすめて下へ持って行き、左上からまた下に向かい、後に向かって一回りさせる。この際、反背勁を用い、手は後背中位に落として腰と同じ高さの位置に止まり、右手も倒転一回りする。

右手と左手は一斉に運行を始め、同時に停止する。右手は胸の前に落とすが、左手は後身の中位に落とすので腹と背は丁度ひとつの輪を隔てる様で、右手が呼べば左手はそれに応え、前後の神情は自然かつ一貫し、右手が西正位にあるのは人の血気が水の様に流れるからで、水が流れ渡るのは絶え間がない。右手は前にあって前を顧み、左手は東にあって背後から突然侵されるのを防ぐ。東は「离」に属し离中は虚であり、拳者が左手を後に置くのは極虚極、何かを感ずればすぐじ、臨機応変の効を奏する。手ばかりではなく、背後全面これ皆であり、左手を後に置くのは決して無駄なことではない。左手を後に置いて指を揃えるのも他人が指をつかんで節を折ったりするのを防ぐためである。左肘が南を向くのは、南が乾の正位であるためで、乾は剛中に凜然の気があり、誰しも侵しがたい。右手は北にあるが、北は坤の正位で「順」である。即ち、順理順勢、以て万物に応ずる。易では美はその中にあり、四肢に流れ、業の完璧はここにあるという。右肘はこの意味で北に向かう。北方角には強敵があろうとも何を恐れることがあろうか。耳は敵が来る音を聞き出し、眼は敵が発する気象を見る。頭眼は前後の見境をつけ、左右の手はそれを助ける。これこそ乾を首に円をなすの気象で、足は左から、右から、敵を御し、前にも後にも一挙足一行動にも疾雷の如き力を発揮する。敵が我を侵す時、足は下体を守る。まさに「六封四閉」、上下四方とも封鎖され、敵は入る口さえ見つからない。閉じれば左右前後無縫で、間髪を入れない。敵が虚をつこうが、実に手向かおうが、側面なり正面なりから当たってこようとも、恐れることがないわけである。上勢の「白鶴亮翅」は体然たる開勁の本勢で、本勢の「膝拗步」は合勁である。上勢は即ち下勢の前半勢であり、下勢は上勢の後半勢に相当し、一開一合で一勢となす。

(訳註: 坎=真北  离=東に属する  灵=霊、靈、魂.精神)

 

以下続く。20209月6

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陸 瑶先生のオンラインレッスンで、陳正雷老師に教わったことの裏打ち、補足、確認!

2020-08-09 17:12:31 | 太極拳

8月に入って一気に猛暑が続く💦💦

通常教室が始まってたこの暑さの中でも、陸 瑶先生のオンラインレッスンは相変わらずの絶好調!!

日曜日は、陳式のオンラインレッスンがあった。

 

この日は、懒扎衣から六封四闭までの両手の引き込みと、白鹤亮翅の手の開きについて。

懒扎衣から六封四闭までの両手の引き込みの要領は、手じゃなくて腰回り全体をよ〜くっ!動かすこと。

左手を胸に当てておいて胸から下に押さえるように(呼吸を吐くと肋骨が下に収まる感じがある)することで右手が下按して下がってくる(!)。(形の上では左手は左腰にあるのだが、息を吐くと胸が下りて腰回りが緩むことを感じるための練習である)。気持ちいい!!下腹に充足感があり、足の裏に下りる感じが出て心身が安定する!!。。。一つ一つの動作について身体で感じ、確信が持てる練習である。

六封四闭は、股関節を開き、回転し、背中から両手を押し出すように下按する。踵と頭を合わせる引き合いの具合、手と左足の引き合い、背中で伸ばす勢い等々、太極拳は掤勁であることを箇所箇所で感じていく。

次の白鶴亮翅は、両手を何となく開いて分けるような動作を作っているが、これは、元々は「布を横に裂いていく動作(坼布=che bu )」。上下に分けるではない。しばしば右手を上に開くことが主体になりがちだが、”開く”とは、両手を左右に引いてこそできる動作。左手の意識が(かなり)必要なのであった。。

「聞いたことなかった!」と言ったら、「正雷先生も言ってるよ。通訳を通してだから伝わってないんだよ」と。確かにそれはある!

そういえば、陸先生は「関節をはめる!」と言うが、今回のオンラインレッスンの後で、訪中していた当時のメモを引っ張り出して見たら、正雷老師が手帳に書いてくれた言葉に「扣合襠(kou he danかな?)」というのがあった。辞書で意味を引くと「ぴったりする。はめこむ」という意味がある。これだねっ!!メモには同じページに他に、胯を緩める、虚実はっきり、右は実7:左は虚3とか、膝下が真っ直ぐ垂直、膝の方向=指の方向、というのもあった。かなり初歩の時かあるいはかなり後になって更に注意!の時だったのか。。?? 日付は不明だが、「関節をはめる!」はすでに聞いていたことだたのだ。他にもいっぱいあるんだろうなぁ〜。。。 

 

ワタシがやっている陳式太極拳は、日本太極拳友会の故三代一美先生の指導で始め、一美先生に導かれて、中国河南省鄭州陳家溝陳正雷老師の元に通うこと数十回(当初は王西安老師の指導も仰いだ)。

今考えると、王西安老師にしても陳正雷老師にしても、とても丁寧に細かく動きを指導してくれていたのだが、如何せん、通訳を通しての指導であるからして、伝わっていない肝心なことが多々あるはずだ💦

老師達は日本語は話せず、こちらは中国語が分からない😅それでも「再来一次!再来一次!」と何度もやってもらって動作を見取り、触って直してもらいながら動きを覚え、身体の使い方にも慣れ、剣ー刀ー槍ー大刀などの武器も習った。それでもビミョーな身体の使い方はまだまだハッキリ分かってないところが多いのだと思う。

自分の身体で覚えたことは早々忘れないものだが、一方で、いつの間にか自分流になってしまっていることもある。風格は個人個人で違ってくるものだが、正しい身法、手法、足法、眼法や拳理がぶれてくるとどんどん違う方向にいってしまう。。。

 

3月からのコロナ自粛の期間に陸瑶先生のYOU TUBEによるライブレッスンと、オンラインレッスンで毎回細かい説明とチェックをしてもらって、何をやっているのか?どうすればいい発勁(?)に繋がるのか??腰はどう使っているのか???などがかなりハッキリ分かってきた。毎回、目からウロコが落ちる!!状態だが、いつまでもいくらでも、学ぶことがあるのは楽しい!中国の歴史の深さを思い知ること多大である。

 

 

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陳 鑫 著「陳氏太極拳図解」その 13〜搂膝拗步の続き

2020-07-14 16:16:11 | 太極拳

前回掲載したのが4月20日。あれから2ヶ月半も過ぎてしまった💦

6月から各教室が再開し、3ヶ月のブランクを経ての練習は当然前回の続き、とはいかない。

かつて毎年のように中国・鄭州に行ってた時は、1週間から10日間くらいの滞在中毎日陳式太極拳を練習していると何となく身体が自然に動きに慣れていくが、帰ってきたら日毎にその感覚が抜けていく、忘れていく。。。中国の、あの空気・太極拳三昧の日々に身を置いてこそ体得出来ることがあるのだった。

YOU TUBE やオンラインレッスンを続けてきて改めて確認できたことや、疑問に思っていたことが解決できたことがある。それはやっぱり”基本に戻って丁寧に身体を動かすこと”。太極拳は細かい身体の動きへの要求がある。経絡ストレッチでは”経絡ラインを流す”と言い、太極拳では勁( 気)を運ぶとか言ったりするが、どちらも気血の流れを良くすることが気力とか勁力を付けることに通じる(因みに、ワタシは気とは生命エネルギーと理解している)。

コロナと共存していくだろうこの先、{意(識)によって気を生じ、気をもって身体の隅々まで勁を運ぶ」太極拳は自分の身体と向き合って自分を知ることに通じる。意識と動作と呼吸を完全に一致させることーー”やる”じゃなくて”なる”。陳正雷老師がかつて書いてくれたメモ「昼は雲手、夜は読書」をもう一度かみ締めつつの教室再開の日々ではあります。

今回の翻訳部分は、かなり重要なポイントがある。下線部は理屈じゃなくて体感を大切に。という伝統拳の元を再確認できる箇所だ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・

第六勢 搂膝拗步の続き

内気が内に運行するのを“引勁”といい、これは陰に属し、伸張すれば陽となり、歩を出せば陽、歩を仕舞えば陰となる。足指をつけば陰中の陽で、足を平らに踏めば陽中の陰となる。上腕の背面はもともと陽に属するが攬擦衣の勁が右手指から肩に引かれて陽になった場合、その勁は逆に陰となる。上腕の腹面はもとは陰に属するが、勁を用いて心臓から指頭に運行した場合、その勁は逆に陽となる。これは陽は陰に根ざす意で、上腕の腹から外に向かって運行する勁が急に収縮されると陰は陽に根ざし、陽は陰に隠れているため、とにかく互いに根となり合っているため、半引半進、引きながら進む原理で、陰陽一斉に併用して互いに逆らわず、即ち陰陽合徳、初めて心機動じて手の技も鮮やかとなる。

 内気の丹田に帰すの説には別にこだわる必要はないこれは気を臍下小腹に降下させるだけのことで、よく研究すれば分かるが、丹田は気の源をなすところではないから、特にここに帰する必要はない。もともと全身の元気は皆腎から出るもので腎水が足りれば気は自ずと強壮となり、これは胃から養われ、ここが養われれば気は自ずと強くなり、これも肝に貯えられたもので、肝気がひとたび動ずれば逆気が爆発するので気は安らかでいられない。これも心に含まれるもので、心に妄念がなければ平和であり、この気もまた肺に影響する。肺は声量を司る器官で、声は心機により出される。心機の行くところ、言葉表され、心は口より先になることを喩う。心は膽(=胆)の強さと関連し、胆が弱ければ気も進まず、これも脾に連結するもので、脾は経多く気が少なく、血は音にすぐ動ずる。ひとたび動ずれば運行が止まらない。これは心が動ずると脾も動ずるからである。続いて大腸は多気少血で小腸に補われて前臍上後部で背に付着し、滓穢物の濁気を除いて清気を残す機能がある。以上の経絡はすべて拳と関連するので説明した。

腎は経少なく血が多い器官で全部で二個あり、」二つは一体となり心に通じ、上行して脳気に到る。脳気が生ずるのはここで、帰するのもここであり、全身の気は実にこの両腎間から出入りするもので、腎を命門とも呼ぶが、腎は気の出入り口を言うため拳術では命門という呼び方を強調しない

(以下続く。2020,07,14)

 

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