三津嚴島神社ブログ

愛媛県松山市神田町に鎮座する嚴島神社の神主の記録

幽霊の話

2020年08月15日 | 今月の言葉

8月は盆月
先祖供養の時期ですが「暑い時期に怖い話を聞くと背筋が寒くなる」という事で
「怪談話」が夏の風物詩ともなっております。

「一枚…二枚…」と皿を数える声が響く「皿屋敷」や
お岩さんが出てくる「四谷怪談」ご存知の方も多いでしょう。

日本の幽霊には三つの特徴があります。

1、髪をずっと後ろに長く引いている。

即ち済んでしまったどうにもならない事をいつまでも引きずる姿を表しております。

2、両手を前に出している。

これは先の事を限りなく取り越し苦労する姿です。

3、足がない。

これは心が過去や未来に飛んでしまって上の空になって仕事に身が入らない、
即ち足が地についていない事を表しています。

終わったことをいつまでも引きずる、先の事を取り越し苦労する、
足が地についてなくて身が入らない、良く考えてみると
この幽霊の姿は他ならぬ自分の姿ではないでしょうか?

幽霊は死んだ者がこの世に未練を残して姿を表したものと言われますが、
私たちもついつい幽霊のような生き方をしている事があるのではないでしょうか?

神主が日々唱える祝詞には
「今日の生日の足日」(きょうのいくひのたるひ)という言葉が必ず出てきます。

今日という日はいつも生きいきと輝いて、神様のお蔭が満ち足りた日という意味です。

過ぎてしまった事にいつまでもこだわったり、
まだ来ぬ先の事を心配し過ぎたりしないで、
今日一日一日を精一杯生きて行く、これが大切なことです

明日もしも自分が死んだとしても、悔いの残らないように今日できる事に全力で取り組む、
昨日まで出来なかったこと、無理だと思っていた事にも思い切って挑戦していく、
そういう姿勢が充実した人生につながります。

暗い気持ち、不安な思いは毎朝神様に手を合わせる柏手(かしわで)の音で打ち消して、
「さあ、今日も頑張るぞ!」
という清々しい気持ちで一日を過ごして参りましょう。

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