「編集人くん、はんこ持ってちょっといらっしゃい」
課長が鬼の形相で自分を呼びつけます。
ま、自分のミスですから、仕方ないと思いつつ、でも何が始まるんだという不安が体中を駆け回りながら、自分は課長の元に向かいました。
そのまま応接室に・・・
席について、しばらく沈黙の時間・・・
多分そんなに時間はかかっていないんだろうとは思いますが、雰囲気が時間をもの凄く長く感じさせます。
「編集人くんね、君のやった事がどれだけ大変な事か、わかってる?」
「申し訳ございません」
「謝って済む問題じゃないんだよ」
課長は自分の前に便箋を差し出しました。
「退職届書きなさい」
えっ!
退職届?
「退職しなければならないんですか?」
「これだけ会社に迷惑かけてオメオメいるほうがずうずうしくないか?」
「いや、すみません、すみません。退職だけは勘弁してください」
「ダメだ。さあ、書きなさい」
この時が多分生涯で一番泣いたと思います。
なにせ逃げられない状況ですから。
目の前の課長が本当に鬼に見えました。
泣きながら、退職届を書き終えて、はんこを押そうとした時に人事部長が入ってきました。
「何やってるのかね」
「はぁ、彼が責任をとってやめると」
「違うだろ?」
「は」
「ひょっとして君が退職届を書かせてたんじゃないのか?」
「そんなことはありません」
「そうとしか思えないけどな、この状況では」
ここで本当の事を言ってしまおう・・・と思いました。なにせ退職させられる訳てすから、もう怖いものはありません。
でも、ここでヘンな事を言ったら、この後ますますイジメに拍車がかかるんだろうなぁと一瞬冷静な気持ちになりました。
部長と課長の会話は続きます。
「大体、君は彼の入力したデータを確認したのかね」
「は、はぁ」
「確認していたなら君のミスじゃないか。確認してないなら職務怠慢、違うか?」
「い、いえ。私は今回の件について、これほど重要な仕事をしてるんだから自覚しろという意味できつく叱っただけです」
「本当か?」
「本当です」
「編集人くん、君はもういいよ。職務に戻りなさい」
「失礼します」
涙でぐしゃぐしゃになった顔を洗いに洗面所へ・・・
「編集人くん、大変だったなぁ」
後ろから声がしたので、振り返ると、そこには忠告してくれた先輩が・・・
「まぁ、今後は気をつけることだよ。ただ、今度は部長が睨みきかすだろうから、露骨なのはなくなると思うけどね」
「あ、ありがとうございます」
顔を洗って席に戻るとなんともいえない雰囲気が・・・
普段は課長にのってイヤミを言う係長も、この時は『何もなかったように』仕事してました。
で、課長はというと・・・
1時間経過しても部長との話し合いは終わっていない。
ま、色々あったんでしょう。
この事件は今でも自分の中ではトラウマなんです。
そして、人間のいやらしさを初めて経験した日でもありました。
次回へ続く・・・
課長が鬼の形相で自分を呼びつけます。
ま、自分のミスですから、仕方ないと思いつつ、でも何が始まるんだという不安が体中を駆け回りながら、自分は課長の元に向かいました。
そのまま応接室に・・・
席について、しばらく沈黙の時間・・・
多分そんなに時間はかかっていないんだろうとは思いますが、雰囲気が時間をもの凄く長く感じさせます。
「編集人くんね、君のやった事がどれだけ大変な事か、わかってる?」
「申し訳ございません」
「謝って済む問題じゃないんだよ」
課長は自分の前に便箋を差し出しました。
「退職届書きなさい」
えっ!
退職届?
「退職しなければならないんですか?」
「これだけ会社に迷惑かけてオメオメいるほうがずうずうしくないか?」
「いや、すみません、すみません。退職だけは勘弁してください」
「ダメだ。さあ、書きなさい」
この時が多分生涯で一番泣いたと思います。
なにせ逃げられない状況ですから。
目の前の課長が本当に鬼に見えました。
泣きながら、退職届を書き終えて、はんこを押そうとした時に人事部長が入ってきました。
「何やってるのかね」
「はぁ、彼が責任をとってやめると」
「違うだろ?」
「は」
「ひょっとして君が退職届を書かせてたんじゃないのか?」
「そんなことはありません」
「そうとしか思えないけどな、この状況では」
ここで本当の事を言ってしまおう・・・と思いました。なにせ退職させられる訳てすから、もう怖いものはありません。
でも、ここでヘンな事を言ったら、この後ますますイジメに拍車がかかるんだろうなぁと一瞬冷静な気持ちになりました。
部長と課長の会話は続きます。
「大体、君は彼の入力したデータを確認したのかね」
「は、はぁ」
「確認していたなら君のミスじゃないか。確認してないなら職務怠慢、違うか?」
「い、いえ。私は今回の件について、これほど重要な仕事をしてるんだから自覚しろという意味できつく叱っただけです」
「本当か?」
「本当です」
「編集人くん、君はもういいよ。職務に戻りなさい」
「失礼します」
涙でぐしゃぐしゃになった顔を洗いに洗面所へ・・・
「編集人くん、大変だったなぁ」
後ろから声がしたので、振り返ると、そこには忠告してくれた先輩が・・・
「まぁ、今後は気をつけることだよ。ただ、今度は部長が睨みきかすだろうから、露骨なのはなくなると思うけどね」
「あ、ありがとうございます」
顔を洗って席に戻るとなんともいえない雰囲気が・・・
普段は課長にのってイヤミを言う係長も、この時は『何もなかったように』仕事してました。
で、課長はというと・・・
1時間経過しても部長との話し合いは終わっていない。
ま、色々あったんでしょう。
この事件は今でも自分の中ではトラウマなんです。
そして、人間のいやらしさを初めて経験した日でもありました。
次回へ続く・・・