世に「悪の栄えたためしなし」とは言うものの、世の中悪い奴ばかりが甘い汁を吸っているとお嘆きの方が多いと察します。古来から、日本人は「正義の味方」の出現を心待ちにしてきました。
日本人はお金よりも義理と人情が大事で名誉を重んじる国民性なのですが、世の中に悪い奴らの何と多いことか? しかし、日本には「勧善懲悪」という言葉があります。
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「勧善懲悪」とは、読んで字のごとく「善を勧め、悪を懲らしめる」ことです。日本の物語にはこの思想が大きな柱となって成立するものが多くありました。
悪事はいずれ露見して天罰が下る、と信じていた人も多いことでしょう。人は元々はみんな善人です。そして「勧善懲悪」を望む気質が根底に根付いているのです。
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最近、時代劇が極端に少ないですよね。NHKなどは比較的予算がありますから、大河をはじめ、BS時代劇、土曜時代劇などを断続的に放送できますが、コストの割に視聴率が取り辛いこともあって、かつて何年も続いたような民放の時代劇シリーズはとんと見かけなくなりました。NHKもシリーズものではなく単発が多く、中身も日本古来の時代劇とは様変わりしてきました。
かつては、民法各局が看板時代劇をシリーズ化していました。それを視るのが日本人の楽しみだったからです。
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中村梅之助の遠山の金さんは最高でしたね(笑)
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銭形平次と言えば、大川橋蔵です(笑)
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「桃から生まれた桃太郎」は高橋英樹のはまり役、桃太郎侍です。
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マツケンの暴れん坊将軍は比較的新しい方ですね。
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かつて日本人は何故、時代劇をこれほどまでに好んだのか?
それは最後には「正義は必ず勝つ」からです。悪い奴らをやっつけてくれる痛快時代劇は、現実に苦しむ人々を救ってくれたからです。そして、子供たちは「悪いことをしても必ず懲らしめられる」という教訓を時代劇から学んできました。
今、世の中が「何だかおかしい」と思えるのは、子供たちが勧善懲悪を知らずに大きくなったからではないでしょうか?
悪代官も悪徳商人も懲らしめられる様を目にすることなく大人になったことで、善悪の境が分からなくなったのではないでしょうか?
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そこで、そういうお嘆きの方にもお勧めです。一部ではファンタジーとも評せられる『警視庁 捜査一課長』をご覧ください。時代劇要素をふんだんに取り入れた勧善懲悪刑事ドラマです。可能ならば、そのあとの『桜の塔』と見比べるのも楽しいと思います。「桜の塔」はどちらかというと白い巨塔と半沢直樹を合わせたような設定なのですが、何とも納得できない不条理が理不尽なほど襲い掛かるので、ストレスがたまった時は「必ずホシを挙げる」と叫んでみると落ち着きますよ(笑)
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ドラマが人生を照らしてくれることを望む時代ではありませんが、それに癒される空間が人の心を豊かにするのも間違いではないでしょう。
嫌な世の中ですが、そういうものに救われて生きるのも悪くないのかも知れませんね。
それもこれも、あなた次第です!
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財前五郎は設定が岡山県和気町の出身で教師だった父親が早くに亡くなった為、母の内職などの援助で苦学しながら医師になった、という背景と岡山県出身という設定から、私は全面的に嫌いになれませんでした(笑) 実際に彼のモデルと言われた神前五郎医師は山崎豊子さんの主治医だったということで、名前と大阪大医学部の外科教授という肩書だけを借りただけのようですね。
最近のドラマが面白くなくなった原因の一つに放送業界が「放送禁止用語」に縛られて何も言えない状態に陥っているからではないでしょうか? 時代背景を考えれば日常的に使われていた言葉が、現代では「差別用語」とされてしまいます。その為、今の放送倫理に沿った形の言葉に直すのですが、それが現実離れを引き起こすので、ドラマ冬の時代になってしまったのではないでしょうか?
時代考証を行って、その時代なら差別用語に当たらないものと注釈をつけてでも作品を作ればよいのですが、クレームが怖いので誰も手を付けたがらないのでしょう。必要以上の配慮が返って人を傷つけることにもなりますからね。
時代劇に出てくる言葉にも配慮が必要となった今では、制作もままならないのかも知れません。そういう全てを理解して視れば良いだけのことなのですが、了見の狭い人が増えたとも言えますね。薄っぺらいドラマばかりになったのは、当たり障りのないところで誤魔化そうとしてきた結末だと思います。
それはともかくとして「勧善懲悪」の心だけは見失いたくないですね。
実は、最近のテレビドラマは、大半、薄っぺらく見えて、あまり見ていません😱刑事物で言えば、相棒などは、秀逸ですね。演劇やってきたりしたので、どうもいろんな視点から見てしまいます(笑)
ちなみに、白い巨塔というワードが出てきましたが、あれは故山崎豊子先生が当初、「日本の大学病院の実態を暴く」ために執筆した作品で、最後は、財前サイドは医療現場裁判でも教授選でも不正な人とカネを動かして勝利し、ウハウハと我が世の春の謳歌で終了…のはずだったらしいですが、それは古きよき日本、(山崎先生としては、主張を曲げさせられる断腸の思いだったかも、ですが)「この終わり方はあんまり酷すぎ、おかしいんじゃないか」という投書が相次ぎ、結局、我が家にも単行本ありますが、続編を連載。作品のクライマックスで財前は社会的にもきっちりと制裁を受け、文字通り滅びますが、いまわのきわに医師の誇りを取り戻す。
ある意味、あまりにも有名なあのクライマックスは
「勧善懲悪」を重んじる、当時の日本人の投書という行動がうんだ、と言えるでしょう。
古来からの日本人の魂は、間違いなく、医師の意義を成り上がるツールとして考え、非常な患者への接し方をも厭わない、財前五郎より、里見修治の方が好き。
日本人とはそうした人種のはずですが、おっしゃる通り、勧善懲悪がお花畑とか言われてしまう時代、本当にいろいろ、おかし過ぎます。
私はこれから、知的障がいや自閉症の人の支援の仕事を再びやりますが、数年前、自分の独りよがりな正義感で障がい者を大量に殺害した犯人に理解を示す輩たちがそこかしこ歩いている、そう考えると、毎日ぞっとしますよ。
なんとか、していきたいですね。