胃 癌 日 記 20
(雷鳥沢から振返る 立山連峰)
12月13日(火)
6時30分目が覚める。
8時40分にはT先生、Y先生が回診に来て、背中から挿管してある麻酔のチューブを抜く。麻酔のチューブを抜いても、「痛み」を別段感じるわけでも無かった。
「痰がつらい。痰との闘いです。」
と先生に言うと、吸入をしてみようとのこと。ただ、吸入をしたからといって痰が止まるとか、楽に吸出せるというわけではないとのこと。カチカチの痰が柔らかくなるので少し楽になるかと言うことらしい。
10時過ぎには同室のK氏が結腸癌の手術をおえ、一晩の回復室から歩いて病室に戻ってきた。辛いだろうと気を遣い、話しかけることは無かった。やがて奥さんがやってきた。
10時30分頃看護師さんが実習生とともにやってきて清拭。本日をもって尿の管も抜管した。これからはおしっこもトイレで出来る。すっきりとして気持ちが晴れ晴れとした。まだ膵液を出すチューブと点滴はつけたままだが、それでも少しずつの回復の幸せ感が膨らんでくる。
(ついに剣御前から、剱岳の雄姿を望む)
清拭が終わると再び実習生が2人でやって来て、本日もヒアリング。本日のヒアリングは、課題が課せられているのか、緊張している様子で一生懸命だが空回りして、通り一遍のことしか聞けてない。私のほうから、山や家族のこと、遍路のこと、自分の脳動脈瘤クリッピング手術から最近の社会保障や若者の雇用状況の話、私のブログの話などしてあげた。
午後2時過ぎに連れ合いが来る。抜管もして少し気が晴れたこと、実習生とのヒアリングで冗談も入れていろんな話をしてあげたことなどを話ながら、手術前の緊張や自分のこれからの残された人生への「立ち向かい」のことなど、自覚はしてなかったけれどずっしりと気持ちの上にのしかかっていた鉛のような「重し」から、少しずつ開放されてきているのかな、と、ふと思った。
5時前に吸入。6時に連れ合い帰る。9時前に2度目の吸入。
吸入のおかげか、夜中の痰は少し楽になってきた。しかし、吐き出すことが出来ない。相変わらず、一生懸命口まで吸い上げようとするが、嘔吐反応でオエーッとなり、そのときには傷口が痛い。この夜も、一晩でティッシュペーパー1箱以上が空になった。
絶飲食6日目。本日歩き1,530歩(2周×1、3周×1、4周×1)
(剣御前たから、富山平野へのサンセットを見る)
(続く)