いせ九条の会

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自然との共生を図る理念は人と人とが共に生きる理念と結びつく/山崎孝

2009-02-01 | ご投稿
1月31日に志摩市阿児町鵜方で開かれた「里海シンポジュームin志摩」という英虞湾の環境を良くする運動をすすめる催し物を見学しました。英虞湾は、リアス式海岸で湾内の海水と外洋との海水の循環が弱く、その上に沿岸部の多くが埋め立てられてしまったので、干潟に棲む生物やアマモなどが減少して海水を浄化する役割が低下する。真珠養殖のよる海水の汚れが加わり、海底に富栄養素が大量に蓄積され、酸素不足が起きて生物の棲息にダメージを与えていると言われています。

「里海」という考え方は、里山のように人間の手を適当に加えて、海の生物が使う資源と人間が戴く資源の調和を図り、再生循環型の環境・持続可能な人間社会にすることだとされています。

基調報告では、これから向かうべき人類の方向として、自然資源を豊かに回復すること、エネルギー規模を引き下げることが、社会崩壊を避け、「持続可能な社会」に導くと報告されました。

現在の「エネルギー規模を引き下げる」という言うことでは、世界的な大不況による生産活動の大きな低下は、地球環境にとってはプラスに働いていると思います。しかし、人間社会は失業によって生きる糧を失い、ささやかな住処を失い、食べることさえ困難な状況になった人が大量に生まれています。

これを考えると生産活動が低下しても、すべての人が、そこそこに生きていかれる調和の取れた社会の仕組みであらねばならないと思います。剰余価値の公平な分配をはかる社会の構築やセーフティサービスの行き届いた社会の構築だと思います。

基調報告で説明された「生物多様性条約」は、①生物の多様性の保全、②その構成要素の持続的な利用、③その利用から生まれる利益の公正な均衡のとれた分配の環境保護条約であると同時に経済条約、南北格差の是正の条約とされています。

これらの理念は、日本国憲法の前文に謳われている理念や生存権を守る理念と一致していると思います。自然と人間の営みの調和を図り、自然との共生を図る理念は、人間社会の調和を図り、人と人とが共に生きる理念とは無縁ではないと考えます。